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小説『鉛色のカエル』

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横浜出身のバンドマンと舘林出身の少女の小説。
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『鉛色のカエル』12(終わり)

36 キョウ 過去 横浜みなとみらいは新しい夕暮れを待つのには最適だった。僕とキョウはク…

モジゃもん
10か月前
4

『鉛色のカエル』11

34 キョウ 過去キョウを連れて車に戻るとコンビニの目の前で若い男が数人で輪を作って、く…

モジゃもん
10か月前
3

『鉛色のカエル』10

33 春子とキョウ 過去 春子から僕のケータイへ連絡が入ったのは索漠とした冬がようやく過…

モジゃもん
10か月前
1

『鉛色のカエル』9

31 自主イベントの後で 過去「多香美さんはなぜバンドスタッフされてるんですか?」と楓が…

モジゃもん
10か月前
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『鉛色のカエル』8

26 キョウ 現在 会場内に入ると懐かしい振動と熱気が僕の喉を渇かした。身体を揺らすほど…

モジゃもん
10か月前
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『鉛色のカエル』7

21 キョウと楓 過去『モノプランさんの昼イベントには行かれますか? ご一緒できるなら、…

モジゃもん
10か月前
5

『鉛色のカエル』6

18 キョウ 過去 キョウのお父さんと山に行くことになった日の空は見える限りに青かった。夏の朝が広々と落ち着いていて、僕は久しぶりにオアシスの『モーニンググローリー』を聴きながら保土ヶ谷バイパスに乗っかった。  軒先の水滴につられて見上げると、キョウの家の棟と並ぶように群馬の山々は近くに見えて、山霧が渡り立体になり、山鳴りが聞こえそうなほどに透き通っていた。キョウに腕を引かれて玄関に入ると「おい、おはよう。あさはん喰ってきたん?」と出会い頭にキョウのお父さんは言った。キョウの

『鉛色のカエル』5

15 銀色のカエル 機材をまとめて熱気が残る地下から外に出ると、僕らは必ずたくさんの宿題を…

モジゃもん
10か月前
3

『鉛色のカエル』4

12 キョウと春子 過去  「れいくんはタバコでも吸ってて」郊外にあるファストファッションの…

モジゃもん
10か月前
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『鉛色のカエル』3

8 現在  横浜の実家では僕の机の上で当時録音に使っていたMTRやKORGのミキサー、それにアンプ…

モジゃもん
10か月前
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『鉛色のカエル』2

4 楓 現在  両手をいっぱいに広げ、レストランの店先まで、日曜日の人々の間を走っていく少女…

モジゃもん
10か月前
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小説『鉛色のカエル』

1 セラピー それではひろちゃんについてお話ししましょう。ひろちゃんは私よりひとつ年下の…

モジゃもん
10か月前
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