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薄れゆく、映画への情熱

 僕は映画が大好きだ。時間もメンタルも余裕があった大学生の頃は頻繁に映画館に行った。ハリウッドの超大作映画やアカデミー賞候補の映画、芸術映画など色んな映画を観た。僕にとっては映画館で過ごす時間は至福のひとときだった。

 僕の最も好きなタイプの映画は、主人公が栄光から奈落へと転落する悲劇物である。我ながら趣味が悪い。「スカーフェイス」、「レイジング・ブル」、「ゴッドファーザー PART III」がお気に入りだ。

 「ゴッドファーザー PART III」は前二作と比べると荘厳さは欠けるし、コッポラ監督の娘の演技が微妙で悪い点もあるが、アンディ・ガルシアはカッコいいし、クライマックスの暗殺劇はなかなかの緊迫感である。何よりも特筆すべきなのは、最後のアル・パチーノによる迫真の演技だ。その場面はうっとり見惚れてしまうほど美しく描かれている。EDで流れる「Promise Me You'll Remember」は哀愁漂う名曲なのがまた良い。あれはいいものだ!(マ・クベ並感)

 悲劇物以外には、時代劇、西部劇、SF、バディ物、スパイ、サスペンス、ホラー、メロドラマ、社会風刺物など様々なジャンルの映画を観てきた。黒澤明、キューブリック、スコセッシ、リーン、チャップリン、デ・パルマ、フィンチャー、ノーラン、サム・ペキンパー…といった有名監督の名作も数多く観た。

 正直、面白い作品は数十年前の作品でも凄く面白い。めちゃくちゃのめり込む。しかし、合わない作品は途中でダレてしまう。特に、最近のノーラン監督の作品は好きになれない。「インセプション」までは面白かったんだけどな…。ちなみに、「ダークナイト」は大好き。僕はヒース・レジャーが演じたジョーカーが一番のお気に入り。本当に気が狂っているようにしか見えなかった。

 お気に入りの映画について語り始めると脱線してしまうので、映画館の話に戻ろう。映画館の魅力は何より上映時間中は現実のことを忘れ、映画の世界に没頭できることだ。やはり家で観るのと、映画館で観るのとでは迫力や臨場感が全然違う!映画館で観たら面白かったのに、家で見返すと魅力が半減することがあるのもこういった鑑賞環境の違いがあるからであろう。

 映画館には基本的に1人で行っていたが、学生の頃はそれなりに良好な人間関係を築いていたので、友人や先輩と一緒に観に行くこともあった。上映終了後にお互いの表情を確認し、率直な感想を共有する時間は気持ち良かった。今から思えば、映画鑑賞に明け暮れ、仲の良い人と屈託なく語り合っていたあの頃が自分の人生の中で最も楽しい時期だったんだろうな…。

 しかし、以前の記事<https://note.mu/mogumogude21/n/ne4f9e7fedc58>で少しだけ触れていたが、僕が入っていた団体でのトラブルをきっかけに精神が著しく消耗し、更に直後の就活が追い打ちをかけた。このダメージは絶大的で、僕は極度の人間不振に陥り、友人と映画を観に行く回数は激減した。自分が理不尽な扱いを受けた場面が脳内で毎日フラッシュバックし、四六時中イライラしていた。映画館でも同様の症状が起こった。眼が疲れ、頭痛に襲われると嫌なことを思い出し、無性に腹が立ってくる。そうなると映画に集中できなくなり、何だか嫌な気分になった。

 メンタルだけでなく、時間も、お金も余裕が無くなっていた。何とか苦しみから抜け出し、レールに戻ることに躍起になり、そっちに労力を費やしていた。そのためか、大学を卒業してからは映画館に行く機会は数えるほどしか無かった。ここ数年間は年に1、2回しか観に行っていない。観に行く時は1人で、以前のように映画の世界に没入できない。

 映画館に行かなくなった理由は他にもある。それは映画配信サービスが物凄く便利だからだ。家族がNetflixに登録したので、僕も利用しているが、コンテンツがとにかく充実している。アニメも、映画もバリエーションが豊富で、オリジナル作品も多い。Netflixがあればレンタルショップに行く手間をかけることなく、家で楽しめるのだ。ストレス解消したい時はNetflixでマイリストの作品を観れば良い。

 以上のことから、僕はあまり映画館に行かなくなった。別に映画は今でも大大大好きだし、最近だとレンタルショップで借りた「スパイダーマン スパイダーバース」がとても面白かった。でも、映画館で観たらもっと楽しめたんだろうなぁ。恐らく「2019年度No.1映画だ!」と豪語していただろう。

 しかし、もう学生の頃のような情熱が湧かなくなっている。現実で直面している問題をどうするかで精一杯で、映画館に行くのが億劫になっている。午前十時の映画祭は1回ぐらい行きたいと思っているが、実際に行くかどうか分からない。

 もし現状が良くなってメンタルが安定し、映画の途中で嫌な事を思い出さないようになったら、積極的に映画館へ訪れるようになるのだろうか。そうであれば、また友人や先輩と一緒に観に行きたい。かつてのように純粋に映画を楽しみ、笑顔で感想を語りたい。映画館での至福のひとときが再び僕の下に戻ってくることを願うばかりである。

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紆余曲折を繰り返しながらも何とか生きています。