もげっと

本好きのエンジニアです。仕事の本やら小説やら哲学書やらを読んでいます。

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マガジン

  • 森見登美彦 著 「きつねのはなし」を読んで

  • 森見登美彦 著 「夜行」を読んで

    森見登美彦先生の「夜行を」読んで、考察とか感想を綴っていく予定です。

最近の記事

森見先生の16作品中最強は誰?

先日四畳半タイムマシンブルースを読み終えて、ふと考えました 「太陽の塔、四畳半神話大系、きつねのはなし、夜は短し歩けよ乙女、走れメロス、有頂天家族、恋文の技術、宵山万華鏡、ペンギンハイウェイ、四畳半王国見聞録、郵便少年、聖なる怠け者の冒険、有頂天家族2、夜行、熱帯、四畳半タイムマシンブルース」に出てくるキャラクターが戦ったら誰が一番強いのか? ここでだれが何をするかという詳細を書いてネタバレっぽくなるのは嫌なので、とりあえず名前だけを太字で書きます。 もちろんあれです、

    • 金融テキストを処理したいので読んだ本

      専門ではないのですが、エンジニアの端くれとして金融情報を分析して何か役に立つことはできないかと考え、それについてのヒントを教えてくれる本はないかとチェックしたのが2021年。和泉先生達著(有名な先生)の本を見つけ、読んだのがこれ。 こんなことができるんだと感心する事例があったり、当時あちこちですごいすごいといわれていたBERTも紹介されていて満足感はあったものの、エンジニアにとって残念ポイントが 勉強の常套手段として、動いているサンプルプログラムをいじって壊して直して学習

      • 森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その7 最終回・まとめ

        「きつねのはなし」に関する考察や仮説の話は今回が最後です。このような形でまとめることで、私のモヤモヤは薄まったと思います。自分で作った話で物語を勝手に補強して納得してしまっているので、原作をのままを楽しみたい方には”ナニヲカッテニ!”と怒られそうですが、これは私なりの作品の楽しみ方なのであります。 注意:これより下には小説「きつねのはなし」のネタバレがあります。 今回の考察では、まず地理・時間軸を整理した後、重要な水神・ケモノについて定義して、話から引き出せる考察をいくつ

        • 森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その6 物語後半

          前回で物語4話について書こうと思っていたのですが、思いのほか長くなってしまったので前後半に分けました。文量が多いのは文章力がない証拠と言われそうです。スミマセン 注意:これより下には小説「きつねのはなし」のネタバレがあります。 3.魔こちらについては歴史の時間で全体の流れは書きましたが、疑問点がいくつかあります。 1.ケモノはどこから来たのか 2.最後どうなった? 1.については、樋口家から来た、と考えます。剥製になっているケモノが樋口家にはありますが、あれは直次郎が

        森見先生の16作品中最強は誰?

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        • 森見登美彦 著 「きつねのはなし」を読んで
          7本
        • 森見登美彦 著 「夜行」を読んで
          5本

        記事

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その5 物語前半

          前回私の仮説を話しましたが、あれが考察全体のクライマックスのようなものです。今回は、その仮説を元にこの話をどのように解釈していったかという紹介をしたいと思います。 まずは1.きつねのはなしと2.果実の中の龍について考えます。 注意:これより下には小説「きつねのはなし」のネタバレがあります。 1.きつねのはなし主な登場人物は4名。水神ゲームのプレーヤーが2名とその駒となった2名がいたと考えます。 仮説5:天城さんとナツメさんはある種のゲームで競っていた 直接的にものを奪

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その5 物語前半

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その4 全体像

          この作品の4つの物語をつなげられるか?とまずは考察を進めていきます。 作品から考えられる事柄については考察、作品に書かれてはいないけれども繋げていくにはこういうことを考えると良さそう、という事柄は仮説、とします。言い換えると仮説というこちらが勝手に作った稚拙な物語で、あわよくば「きつねのはなし」を包含できないかという試みです。この仮説をできるだけ少なくかつ本作品の描く世界から離れないように抑えるのが腕の見せ所といったところです。実際は、私の読解力不足などにより、仮説が多く出

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その4 全体像

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その3 歴史の時間

          この作品では4つの物語が語られますが、それぞれ別の”私”が語り手となっていて、それらの関係については明示されていません。独立した話として楽しむのもよいのですが、どうしても「何か繋がりがあるんじゃないか、いや繋がっていてほしい」と考えてしまいます。 繋がりを見る前に、各物語内の主要イベントがどういう順序で起こっているのか、初見でよくわからなかったり誤解してしまうことが私にはありました。そこで、各物語内の時系列をまずは整理したいと思います。 注意:これより下には小説「きつねの

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その3 歴史の時間

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その2 地理の時間

          「きつねのはなし」は、森見先生の多くの作品に見られるように京都が舞台です。場所に関しての記述は実際の地名を使っているもの考えています。そこで、ここに収められている4つの物語について、どこでその話があったのか、その近さ・遠さ・違いなどについて考えます。 # このページで使われる地図は GoogleEarthPro 7.3.3.7786 で作成したものを無加工で添付しています。 注意:これより下には小説「きつねのはなし」のネタバレがあります。 全体地図まずは物語の主要エリア

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その2 地理の時間

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その1

          先日「四畳半タイムマシンブルース」を読みました。2か月前までは森見先生の作品は「熱帯」と「夜は短し歩けよ乙女」しか読んだことがありませんでした。タイムマシンブルースが話題になっていて読もうと思ったものの、どうも以前に書かれた作品も読んだほうがよさそうだと考え、Wikipediaにある小説作品で去年までに発表されているものを一通り読んだのが8月。最後に読んだ「夜行」に分からないことが多く、考察をこちらで書いたのが今月初めでした。 そのあと、夜行を読んだときにも「きつねのはなし

          森見登美彦 著「きつねのはなし」考察その1

          森見登美彦 著「夜行」考察その5(最終回・まとめ)

          最終回までお付き合いしていただいてありがとうございます。 「夜行」の、特に版画をめぐる謎について考察をしました。おもに「夜行世界」です。「曙光世界」については深追いしていません。みんな幸せそうで、「成就した恋ほど語るに値しないものはない」という感じがしました。否、時間がないんです。 それから、第2夜 奥飛騨はあまり考察の対象になっていません。あちこちに怖い要素がある作品ですが、特にこの第2夜が私には怖くて、あまり読み返せないんです。シソウの話とか考えたいトピックはあるので

          森見登美彦 著「夜行」考察その5(最終回・まとめ)

          森見登美彦 著「夜行」考察その4

          前回が長くなってしまったので二つに分けることにしました。 今回は、タイトルにもなっている「夜行」版画シリーズについて考えます。 注意:これより下には小説「夜行」のネタバレがあります。 夜行遭遇とは?「夜行遭遇」は夜行の銅版画をみて、手を振るような女性が見えてしまうことです。誰が見てもそのようにはならず、岸田さん曰く「夜の世界」を胸に秘めているような人は神隠しに遭いやすい。本考察ではこれを言った時点で岸田さんは鬼に憑かれているので、そういう人が鬼から見えやすいという意味で

          森見登美彦 著「夜行」考察その4

          森見登美彦 著「夜行」考察その3

          前回はいくつかの仮説を立てて、それがあればこの作品中の出来事のつながりがある程度わかるのではということで、いくつか主要な人物・出来事について考察をします。 まずはこの話の中心的な失踪について。あとは鬼(あるいは魔)に憑かれたのが誰と私が考えるかについて考えます。 作品中では直接述べられていないけれども、いろいろな事象をつなげるために必要とは判断して私が仮説を勝手に立てています。いろいろな解釈があると思いますので、「ここ矛盾している」とか「これは都合よすぎる」とか思われる方

          森見登美彦 著「夜行」考察その3

          森見登美彦 著「夜行」考察その2

          前回のその1では、書かれていることを時系列にまとめて、頻繁に使う言葉を定義しました。ここからは考察に入りたいと思います。作品には不思議なことがたくさんありますが、まずは「ホテルマン」「中井さんの妻」について考えます。 2020/09/02 編集:「きつねのはなし」の詳細は削除しました 注意:これより下には小説「夜行」のネタバレがあります。 怖い話も、読み進んでいくうちに「実はAはBを恨んでいた」など、裏の線が明らかになっていくのですが、「夜行」場合は何がどうつながってい

          森見登美彦 著「夜行」考察その2

          森見登美彦 著「夜行」考察その1

          こんにちは 最近森見登美彦著「夜行」を読みました。怪奇話で、森見さんの「きつねのはなし」「宵山万華鏡」に続く、怪奇話第3弾と勝手に数えています。 読んだ感想は、ほかの方もおっしゃっていますが伏線回収があまり行われず、解釈の幅が広いというか、発散してしてしまってヨクワカラン。「きつねのはなし」に近い、というかそれよりだいぶ難しい。私は森見さんの小説を読むときには人物をメモしながら読むのですが、読後にメモを見ても結局誰がどこに行ってどうなったか確証が持てません。これはつまり、

          森見登美彦 著「夜行」考察その1