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森見登美彦 著 「夜行」を読んで

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森見登美彦先生の「夜行を」読んで、考察とか感想を綴っていく予定です。
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森見登美彦 著「夜行」考察その1

森見登美彦 著「夜行」考察その1

こんにちは

最近森見登美彦著「夜行」を読みました。怪奇話で、森見さんの「きつねのはなし」「宵山万華鏡」に続く、怪奇話第3弾と勝手に数えています。

読んだ感想は、ほかの方もおっしゃっていますが伏線回収があまり行われず、解釈の幅が広いというか、発散してしてしまってヨクワカラン。「きつねのはなし」に近い、というかそれよりだいぶ難しい。私は森見さんの小説を読むときには人物をメモしながら読むのですが、読

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森見登美彦 著「夜行」考察その2

森見登美彦 著「夜行」考察その2

前回のその1では、書かれていることを時系列にまとめて、頻繁に使う言葉を定義しました。ここからは考察に入りたいと思います。作品には不思議なことがたくさんありますが、まずは「ホテルマン」「中井さんの妻」について考えます。

2020/09/02 編集:「きつねのはなし」の詳細は削除しました

注意:これより下には小説「夜行」のネタバレがあります。

怖い話も、読み進んでいくうちに「実はAはBを恨んでい

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森見登美彦 著「夜行」考察その3

森見登美彦 著「夜行」考察その3

前回はいくつかの仮説を立てて、それがあればこの作品中の出来事のつながりがある程度わかるのではということで、いくつか主要な人物・出来事について考察をします。

まずはこの話の中心的な失踪について。あとは鬼(あるいは魔)に憑かれたのが誰と私が考えるかについて考えます。

作品中では直接述べられていないけれども、いろいろな事象をつなげるために必要とは判断して私が仮説を勝手に立てています。いろいろな解釈が

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森見登美彦 著「夜行」考察その4

森見登美彦 著「夜行」考察その4

前回が長くなってしまったので二つに分けることにしました。

今回は、タイトルにもなっている「夜行」版画シリーズについて考えます。

注意:これより下には小説「夜行」のネタバレがあります。

夜行遭遇とは?「夜行遭遇」は夜行の銅版画をみて、手を振るような女性が見えてしまうことです。誰が見てもそのようにはならず、岸田さん曰く「夜の世界」を胸に秘めているような人は神隠しに遭いやすい。本考察ではこれを言っ

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森見登美彦 著「夜行」考察その5(最終回・まとめ)

森見登美彦 著「夜行」考察その5(最終回・まとめ)

最終回までお付き合いしていただいてありがとうございます。

「夜行」の、特に版画をめぐる謎について考察をしました。おもに「夜行世界」です。「曙光世界」については深追いしていません。みんな幸せそうで、「成就した恋ほど語るに値しないものはない」という感じがしました。否、時間がないんです。

それから、第2夜 奥飛騨はあまり考察の対象になっていません。あちこちに怖い要素がある作品ですが、特にこの第2夜が

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