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少年たちのひと夏の思い出を、読み返す

昨夜、数年ぶりに読み返した本がある。湯本香樹実さん「夏の庭」。『六月に入ってから雨ばかり降っている』と今の時期にピッタリな書き出しで始まるこの本の英訳は「ーThe friendsー」。主題を端的に表すと「死とは?」だと思うが、同時に「友達って?」についても紡がれている一冊であるような。そんな風に、私は読後、感じた。

町外れの古い家に暮らすひとりの老人を、ぼくらは「観察」することにした。生きる屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごとに高まるけれど、不思議とおじいさんは元気になっていくようだー。いつしか少年たちの観察は、老人との深い交流へと姿を変え始めていく…。喪われ逝くものと、決して失われぬものとに触れた少年たちを描く清新な物語。

湯本香樹実/夏の庭 あらすじより

クラスで『きゅうり』と揶揄される細身な一人称「ぼく(三人称は木山)」と、仲間内で『でぶ』といじられる「山下」、眼鏡で短気な「河辺」の小学六年生の三人が主軸となって、物語は進んでいく。

物語と言っても、彼らにしてみればそれはあまりにも日常であり、読者からしたら、それこそが非日常なのだと思い知らされるような。どこにでもいそうな実在しそうな彼らは、だからこそ唯一無二で、同じキャラクターはどこにもいないのだろうと、読みながら考えさせられた。そんな、少年たちのひと夏の思い出を読み返していた。



読んでくださってありがとうございます。








P.S.
読み返した昨夜は窓を殴りつけるような大雨が降っていたのに、noteを書いている今日は身体を溶かすような暑さ。お互い健康第一で、と書きたいところだけれど、これを書いている私が現在、軽く気候に調子を狂わされているので人のことは言えない。実は昨日も入浴後、目眩と貧血の間のような状態になってしばらく気持ち悪さに悶えていた。何とか就寝して起床した今もまだ本調子ではない。襲い掛かるようにしてこの暑さ。地球は私のこと、殺しにかかっているのかなあ。なんて思いながら過ごしている。私何か、地球が気に障るようなこと、したかなあ。

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