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映画 窓ぎわのトットちゃんを鑑賞してきた。

病気や障害、多様性。

優しさとか、いい人って、何だろう。


映画、窓ぎわのトットちゃんを鑑賞してきた。

本当に色々な要素が絡んでいる作品(と言っていいのか絶妙ではあるが。)だと思った。ひとつの要素でも、下手に話せばネタバレになってしまいそうで。できることなら私の心の中に、留めておきたい。でもきっとそれでは私自身がいつか、忘れてしまうから。忘れないための備忘録として、そしてこのnoteと言う場所で、私は誰かと思考の共有をしたいと思った。

以下、ネタバレを含みます。まだ見ていないよと言う方は、ここでそっと閉じていただいた方がよいかもしれません。


木登り

小児麻痺で、片側の手足が思うように動かせない少年(以下:少年)。ある日、何でもないかのように木登りするトットちゃんをよそに、木登りを渋るその少年。トットちゃんはそんな少年に、「やってみないとわからないじゃん!」と手を差し伸べる。その手を取った少年。二人はあれこれと試行錯誤し、長い時間をかけて木登りに成功する。そこにあったのは二人の清々しい何とも言い難い、いい表情だった。

私はこの場面から、病気や障害を持っているからと言って、始めから「できない」と諦めるよりも、周囲の力を頼ってもいいから、一度は試してみてはどうか?と提案をしているのかもと思った。

空想

トットちゃんの空想シーンが何度か出てくる。それぞれタッチが異なり、人によって感じ方もそれぞれ違うのではないだろうか。色彩豊かな世界観の一方で、映画の終盤に映し出されたのはどこか暗く、もの悲しさ漂う場面。それはトットちゃんが見ていた夢だった。その中に広がっていたのは、夜の森林や氷上を飛び回り、追手から逃げるトットちゃんと少年。その中で少年が立っていた氷にヒビが生じて砕け散り、少年は落下してしまう(=それが少年の「死」を表していると私は感じ取った)。

腕相撲

少年とトットちゃんがとあることがきっかけで行った、腕相撲。どちらもいい勝負が続き白熱している最中、トットちゃんは、わざと負けた(少年に勝たせてあげた)。次の瞬間、少年は悔しそうに顔を歪め、トットちゃんに放った。「ずるしないでよ!」と。

この描写から、私は病気や障害を持った人に対して、所謂「健常者」とされる人達はどこか、下に見ていたり、その人達のことを「可哀想な人」だと思っていたりする?人が多いのかもしれないと感じた。(トットちゃんも頻りに「可哀想」と発していたところからも、それを読み取った)また、その人達を特別扱いせずに接して欲しい、と言うメッセージも受け取った。

「じゃあ」と、自分に置き換えた。私はどう思っているんだろう?

大学で、これまで福祉を学んできた身として、そもそも「障害とは何か」を基礎の基礎から学んだ。しかし、当事者でない限り、それが何なのかや、その人のことを完全に理解することは、極めて難しいのだと思う。

ただそれでも、「その人のことを理解しよう」と努める姿勢を示していくこと、またその人のことを、あくまでも障害者ではなく「その人」として見る視点が必要なのではないか。これが、四年生の、今の私の率直な意見だ。

ひよこ

祭りの日。トットちゃんのお願いに根負けした両親が買い与えた、虚弱なひよこ。かわいがっていた描写が続く。しかしある日、ひよこはトットちゃんの両手の中で、息を引き取る。母親の身体に顔をうずめて、泣き叫ぶトットちゃん。両親は恐らく、事前にトットちゃんがこうなることを見越して、敢えて買う(=飼う)ことを反対したのだろう、と容易に察しがついた。

この場面から、私は、人間含む生物の命の尊さや、命は有限で限りのあるもの、だから粗末に扱ってはいけないんだよ、ということを伝えたかったのではないだろうか、と感じ取った。

約束

雨が降りしきる日の夜。トットちゃんと少年が、駅で指切りを交わしたとある約束。それは少年に借りた本をトットちゃんが読んで、少年にそれを返すこと。ただ、それは叶わぬものとなった。

少しの休暇の後、トットちゃんが次に登校した日の朝、校長先生から少年の訃報を受けたのだ。

葬式の場面の後、誰にもこの涙を見せまい、と葬式会場を走り抜けるトットちゃん。走ったその先に見えたのは、彼らの居場所であるトモエ學園だった。

そして、知らぬ間にトットちゃんを追いかけてきた校長先生がトットちゃんに「(トットちゃんにとって)大切なものなんだろう?」とその本を差し出す。堪え切れずに、大泣きするトットちゃん。

人は死んでも、周りの人が覚えている限り、その人達の心の中で、生き続けるのかもしれないと思った。

※あくまでも、一個人としての感想を書き連ねたまでです。

あいみょんさんの主題歌「あのね」。

鑑賞を終えた今、何度も何度も聴き返して、心に沁みる歌詞を噛み締めて、味わっている。

許されない願い事があるとは信じたくはないんだよ

あいみょん あのね

許されない(=叶わない)

願い事(=本を返すことができない)がある(=少年の死)

とは信じたくはないんだよ

私はこの歌詞をこんなふうに解釈した。

私は、トットちゃんと出会えて本当によかった。最後に、誘ってくれた友達には誠心誠意感謝を。

読んでくださってありがとうございます。

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