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日本心理臨床学会に参加した話
なぜ日心臨に入会したか
私が日本心理臨床学会(以下、日心臨とする)に入会したのは、確か臨床心理士試験を受けた年だったと思う。なぜ日心臨に入会したかというと、臨床心理士試験に受かるには日心臨に入っておいた方がいいという噂がまことしやかに囁かれていたからだ。ただ、二次試験を受けに行った時は、私はまだ入会申請中で、面接で日心臨について問われた時に「申請中です」と答えた。けど、まぁ受かった。程なくして入
新臨床家に勧めたい10冊ースクールカウンセラー編
新臨床家に勧めたい10冊ースクールカウンセラー編を紹介してみようと思う。
①松本俊彦『自傷・自殺する子どもたち 』
自傷行為の実態やメカニズムなどについて豊富な臨床経験や研究に基づいて書かれており、自傷行為について幅広く知ることができる。援助にあたっての心構えや対応についても具体的に紹介されている。
②松本俊彦『世界一やさしい依存症入門』
依存症について読みやすく書かれている。薬物依存、ゲ
ミステリーを読みたくなった話
本屋大賞ノミネート作
4月6日(水)に本屋大賞が発表される。本屋大賞は、毎年楽しみにしている賞の一つだ。これまでの受賞作には、小川洋子著『博士の愛した数式』、恩田陸著『夜のピクニック』、リリー・フランキー著『東京タワーーオカンとボクと、時々、オトン』などがあるが、どれも良かった。最近だと瀬尾まいこ著『そして、バトンは渡された』、凪良ゆう著『流浪の月』、町田そのこ著『52ヘルツのクジラたち』が記憶
楽園ネズミと植民地ネズミの話
世界一やさしい依存症入門
最近、依存症が私の関心事の一つであり、依存症の本をよく読んでいる。依存症の臨床と言えば、精神科医の松本俊彦先生が有名である。今回は松本俊彦著『世界一やさしい依存症入門』を紹介したいと思う。こちらは14歳の世渡り術シリーズの一冊で中学生に向けて書かれており、非常に読みやすい。薬物依存、ゲーム依存、自傷行為など様々な事例を交えて書かれており、実践とも結びついている。同シリー
『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』を読んだ話
夜の航海のよう
東畑開人著『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』を読んだ。この本の読書体験は夜の航海のようだ。小舟に乗って夜の航海をしながら、目の前にいくつものエピソードが現れる。複数のエピソードから心の深層に迫っていく構成は前作『心はどこへ消えた?』からの流れを感じる。
7つのアイテム
夜の航海にはアイテムが必要だ。この本に登場するアイテムは7つの補助線。補助線とは心を理解しや