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雑記02|「古代メキシコ展」に行ってきた【「生贄」のゲシュタルト崩壊】

「古代文明」
「ピラミッド」

と聞いて、ロマンを感じる人は同志です。
是非、お友達になりましょう。

どうして私たちは、こんなにも古代文明に惹きつけられるのか?
その謎を解明すべく、私はアマゾンの奥地へ…

ではなく、国立国際美術館(大阪)で開催していた特別展「古代メキシコ展」に行って参りました。
古代メキシコ文明に分類されるマヤ文明、テオティワカン文明、アステカ文明3つの文明にまつわる約140品が展示。

先述の通り、私は元々古代文明に興味があり、古代メキシコの古代文明についてかなり事前に調べてから本展に行きました。

スマホ一つで考古学の教授の解説が見られる。なんていい時代だ。

スマホの中毒性は兼ねてより警鐘されていますが、youtube動画などで気軽にしかも無料で人類の叡智に触れることができるので、私のような貧乏学生にとっては、宝石箱のような存在。

ありがとうスティーブ・ジョブズ。ありがとう、チャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリム。(youtube創設者)

そういう訳で、事前学習を済ませて万全の状態で展覧会に挑んだので、展示品を見たときの感動もひとしおでした。全ての展示が素晴らしく筆舌尽くしがたいのですが、印象に残った展示を紹介します。(本展は、写真撮影可)

マヤ文字のプレート


写真では見にくいが、
レリーフのように石盤に文字が彫られている

本展で、マヤ文字を初めて拝見。模様のような、絵のような、複雑な表意文字。現存するどの言語の文字とも似つかず、文字それ自体がアートのようで神秘的。96文字で一つの物語を表現しているらしい。
それにしても複雑。「画数」という概念でいうと50画くらいある?
古代では識字率が低いので、文字は万人が読める簡易なものでなくてもよかったのだろうか。

現代で複雑な言語として名高いものの一つが日本語である。日本語も数千年後には、未来人に「なんだこの複雑な文字は?」などと言われるのだろうか。「憂鬱」という漢字を発見した未来人が、解読に苦慮して鬱々としてしまうかもしれない、と想像してなんだかロマンを感じた。

チャクモール像


儀式の際に、供え物をする台。
生き物の心臓を置くこともあったそうな。

太陽のピラミッドの前に、儀式を見物するために多くの人が詰めかけ、彼らが注目する。多くの視線が集まる中、心臓がチャクモール像に備えられる。

儀式の様子をイメージすると、ぞっとするような、それでいてどこか高揚してしまうような不思議な気持ちになった。

生贄の儀式はそのような高揚を引き出し、民衆の一体感をつくるのが目的の一つであったようなので、私の持った感情は、あながち間違いではないのかもしれない。


赤の女王のマスク


恐れ多いが写真を撮らせていただいた

今回初来日で、本展の目玉ともいえる「赤の女王」の埋葬品。
初めて発見された際、辰砂という赤い粉にまみれていたことから、その名がつけられたそうだ。

埋葬時につけられていたというマスク。発見時はバラバラの破片だったものが、慎重につなぎ合わされて修復されたそう。

まっすぐに天井を見据える瞳。無表情でいてなにかを訴えかけてくるように感じる。それは気のせいなのだろうか。死者の弔いのために着けられたマスクは、どうしようもなく生を感じさせる。
今にも動き出しそうで、目が合うとドキリとした。

私がじっと見入っていると、赤の女王の展示に訪れていた子供が、
「怖いから見れない」と父親の陰に隠れて怯えていた。確かに、子供の頃にこれをみたらかなりトラウマになる。私は少年に同情した。

余談だが、個人的にトラウマといえば、昔の「世にも奇妙な物語」の作品の「死ぬほど好き」という回が思い浮かんだ。

「世にも奇妙な物語」は「ロッカー」、「雪山」など珠玉のトラウマ作品の宝庫だが、個人的にこの作品がかなりトラウマである。

後味の悪さが最悪。念のため言っておくが、この文脈での「最悪」は誉め言葉である。

トラウマというのは苦しみを生むこともあるが、時になぜか覗いてはいけないパンドラの箱のように、怖いもの見たさで見てしまうものなのかもしれない。

今は色々な大人の事情があって、インパクトのある作品は地上波で放送できないだろうが、私はトラウマ、怖い、ミステリといった要素が大好きなので(世の多くの人も、不気味さを感じるものに惹かれるということもあるのではないだろうか)、テレビ局の皆様、たまにでよいので「トラウマ作品」も放送してほしい、とこの場を借りてお願いしておく。

長い余談終わり。

死のディスク


斜めからの撮影失礼します

1.5メートルほどの大きな円盤状のディスク。
左半分が大きく欠けているのだが、この姿が完全形だと思えてくるほどに、不完全さがアーティスティック感を生んでいる。
古代メキシコには、日没=死、日の出=生という世界観があったようで、このディスクは日没を表しているそうだ。
そういえば、ゲームの「ピクミン」は日没後に死ぬ「日没死」という概念があった気がする。まさか、ピクミンと古代メキシコ文明がどこかでつながっているのだろうか。

むすびに

日常ではまずはお目にかからない、「生贄」、「人身供儀」という言葉をおそらく一生分浴びた。

貧乏大学生ゆえに、お金がないことを理由に娯楽や遠出を断念することも多いため、今回の入場料1300円(大学生)を払うのも簡単なことではなかった。
それでも、古代メキシコ文明のロマンが私を呼んだ。
事前学習をしっかりとして挑み、展示を鑑賞する際にも一瞬たりとも無駄にしないよう、展示を目に焼き付けた。

こういった、お金で良質な経験を買う体験を、もっと増やしたい。
昔読んだ、『テスカトリポカ』という小説を再読しようかな。


ところで、読者の皆様はお気づきになっただろうか。
私のこの記事の文体が、途中で「です/ます」調から「である」調に変わったことに。読み直した際に判明しましたが、このまま残しておくことにします。

2024年3月18日


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