アトピー周辺知識28: ナイアシン・ホルモン異常(暫定版)

アトピー性皮膚炎患者におけるナイアシン摂取の重要性
何故肌の症状のみならず痒みまでもが軽減されたのか?

一般にはセラミド合成促進による皮膚症状の改善、エネルギー代謝促進が注目されるが…
ナイアシンはコルチゾールの前駆体であるコレステロール合成に不可欠であり、コレステロールはコルチゾール合成に優先的に使われてしまう
→アレルギー患者・アトピー性皮膚炎患者にはこちらの性質がより重要となる

そもそもアトピー性皮膚炎患者はコレステロール値が低い傾向にあり、重症者ほどその値は低くなる
アレルギーによりコルチゾールが多く必要とされるにも関わらず、コレステロール不足により合成出来ず炎症や痒みが収まらない(炎症や痒みの慢性化)
皮膚症状の改善にもナイアシンは必要とされるため需要は更に逼迫し、炎症と痒みにより皮膚症状は改善せず新型栄養失調の悪循環に陥る事になる(アトピー性皮膚炎患者に抗ヒスタミン薬の効きが悪い理由も、胃腸障害と皮膚症状から来るナイアシン欠乏とその結果としてのコレステロール・コルチゾールの需要に比しての過少供給にて説明が付くか)
→アレルギー患者は副腎疲労だけでなく副腎の飢餓にも見舞われていた?


ナイアシンの摂取はコレステロールの合成を有意に促進させるため、コルチゾール合成をも増やして痒みの軽減に寄与したと思われる(結果として痒み止めとして抗ヒスタミン薬以上に機能した)

故にナイアシン(ナイアシンアミド)はアレルギー患者やアトピー性皮膚炎患者に必須の栄養素である(またコルチゾールの機能と相乗効果の有るビタミンCも同時に多く摂取すると尚良い)
また効率と即効性を求めるならNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を摂取するのも有りだが比較的高価である
→一応ナイアシンを大量に摂取する際は肝臓機能への影響に注意が必要、シリマリン等のサプリを併用するのが望ましい


追記:下部リンクはアトピー性皮膚炎患者のホルモン異常についての参考に(コルチゾール・成長ホルモン含む)。睡眠障害についても記述がある。


 結局の所アトピー性皮膚炎患者は(胃腸障害と自身の疾患に起因する)新型栄養失調によるホルモン異常を来しているのでステロイド薬での直接的なホルモン補充療法が効いていた、というのが正しい理解である様だ。サプリメント摂取か医療薬使用かは同じ治療法に対するアプローチの違いに過ぎない(ホルモンを直接補充するか、栄養補助により滞った内分泌を促進するか)。

 詰まる所アトピー性皮膚炎の皮膚症状に対する最良の治療法は両者の併用による対症療法から(双方を上手く用いればデメリットを緩和出来る)、症状の回復に併せて効果の弱い薬や栄養補助による体質改善中心の治療へと舵を切り(始めから出来るだけ弱い薬を使うという選択肢も勿論有る)、やがては栄養補充療法による症状の安定へと落ち着かせる事だと考えられる。その過程で腸内環境の改善も行う。

 ステロイド薬はデメリットの明確にある薬であるため大は小を兼ねず、弱い症状に対応する薬も持っておくと重宝する。
 何より大体の皮膚科医は使い慣れているからと気軽に強い薬を出し過ぎる上、市販のステロイド薬も強い薬ばかりなので意図して弱い薬を選ぶ必要が有る。ステロイド薬が問題というより敢えて弱い薬を選ばずに強い薬をすぐに出す皮膚科医に問題が有る(強いて言うならばステロイド薬の不適正使用か)。
 これはアトピー性皮膚炎発症の根本原因である「抗菌薬の不適正使用」と同じ構図であり、その発症から悪化までが医療制度の問題により引き起こされている事がよく分かる。

ステロイド外用薬の効果比較
ステロイド内服薬の効果比較(下部リンクより転載)


 …治療において大いに役に立つにも関わらず、医療者は皆等しくアトピー性皮膚炎の発生機序について一切語らないものらしい。

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