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【ゴジラシリーズ全部観る#1】『ゴジラ(1954)』伝説のはじまりがこんなに切ない物語だとは・・・【映画レビュー/特撮】


【ゴジラシリーズ全部見る】企画始めます。


 先日公開した『ゴジラ-1.0(マイナスワン)』を観て、めちゃくちゃゴジラ熱が上がっているもちぞーです。

👇マイナスワンのレビューです!

 レジェゴジ(ハリウッド版)バース展開の『モナーク』も始まって、世界がゴジラを求めているのは明らか。



 観よう観ようと思って先延ばしにしていたゴジラシリーズ。ちょうどいい機会だし、一気に観ちゃうか!


 と、いうことで今回からゴジラシリーズ、全部観ます!!

 マジで順番に全部見ていこうと思います。国内作品・初代~マイナスワンのあとは、ハリウッド版『GODZIILA(1998)』(ティラノサウルスみたいなやつ)→ レジェゴジシリーズ + コングシリーズ まで観ようかな。虚淵玄さんのアニメ版は気が向いたら。『シンギュラポイント』は当時みててめちゃおもろかったけどそれも気が向いたら見返します。

 で、見たら随時感想記事書いていくってわけ。全部ネタバレで書くつもりなんで、気を付けてね。

てなわけで、記念すべき一本目は当然こちら。


伝説の始まり、初代『ゴジラ(1954)』!!


ポスターがもう良いよね。「水爆大怪獣映画」だって。すごいね。

概要

 2023年現在でも続くゴジラシリーズの記念すべき第一作であり、日本の元祖怪獣映画。同年に発生した第五福竜丸事件を背景にした、反核や文明批判などの重厚なテーマ性が世界中で高く評価されている。


あらすじ

 大戸島に古くから伝わる伝説の海の怪物「ゴジラ」は、度重なる水爆実験によって住処を追われ、東京に上陸。すべてを破壊しつくし、海に帰る。酸素の研究をする過程で、原爆以上の破壊力をもった新兵器「オキシジェンデストロイヤー」を偶然開発してしまった芹沢博士は、人々をゴジラの恐怖から救うために、そして、自分が作ってしまった恐ろしい兵器をこの世界に残さないために、ゴジラ、オキシジェンデストロイヤーとともに、永遠に海の底に沈むことを選ぶのだった・・・。


感想

 まず、映画としてめちゃくちゃ面白い。

 「怪獣」とか「ゴジラ」ってジャンルは、20代の自分(というか50代以下の人)からしたら、当たり前の王道ジャンルのひとつなので、別に新鮮さはない。でも、その王道を作ったプロトタイプとなる作品なので、とことん質の高い王道。
 「元祖だから」という贔屓目なんかいらない。今見ても構成・脚本・キャラクター性・メッセージ性、全部そろってる美しい映画という印象。思ったよりかなりゴジラの登場時間は少ないが、人間ドラマがめちゃおもろいし、いざゴジラが出たときは恐怖と高揚感があるし、最後はしっとり切ない気持ちにさせられる。エンタメとして最高です。

「ゴジラ」というキャラクター

人間のエゴで生まれた怪物を、また人間のエゴのために殺すのか?

 大戸島周辺の海底にずーっと昔から生息していたと思われる初代ゴジラ。大戸島の人は、村の娘を定期的に生贄に捧げてゴジラと共生してきたという歴史(もはや伝説)があったらしい。という設定。
 それがビキニ環礁の水爆実験によって住処を奪われ、日本に上陸して破壊の限りを尽くす。でも、ゴジラはただ生きているだけ。新たな住処を探し、そのためには邪魔なものを排除する。野生の生き物として当然の生命活動が、ただデカすぎるから人の生活を脅かすというだけだし、そもそもゴジラを起こしたのは人間の兵器実験。それなのにまだ人間のエゴでゴジラを殺すのか?という葛藤が映画全体にある。
 ゴジラを生んだのも、ゴジラを殺すのも人間の罪。この葛藤はゴジラ以外には描けないし、原爆被害国であり戦争を始めた加害国、という矛盾をはらんだ日本だからこそ生み出せるキャラクターなんだと思う。だからこそ、死に方にもえぐいメッセージ性があらわされる。

生き物としてのゴジラ

 生き物としてのゴジラを調査をする過程で、山根博士は「人類史上最強兵器の水爆でも殺せないゴジラの生命力は、研究資源としての価値がある」という新しい視点を与えてくれる。これは『シン・ゴジラ』でも提示されていて、「人間に福音をもたらしてくれるかもしれない存在」と表現されているが、当時の自分は意味がよくわからなかったので、今回の新しい発見になった。街をぶっ壊す「怪獣」としての側面だけでなく、いろいろな側面を見せてくれるので、この一本の映画だけでめちゃくちゃ深みが出てる。

芹沢博士とゴジラの最期

 戦争で片目を失い、それが原因で婚約者をイケメン尾形にNTRれた死ぬほど可哀そうな芹沢博士。戦争を憎む芹沢博士だが、研究途中で水爆を超える新たな殺戮兵器「オキシジェンデストロイヤー(以降OD)」を偶然開発してしまう。ほんとに可哀そう。
 この「OD」の存在そのものが罪と芹沢博士は考え、それを生み出してしまった自分の罪、ゴジラを生み出してしまった人間の罪、そしてゴジラを殺すことの罪、そのすべてを全部ひとりでしょいこむことを決意する。ゴジラと心中するのはその罪を償うための禊でもある。
 このラストがほんとに切ない。死んでいくゴジラもかわいそうすぎるし、鳴き声は泣いているようにも聞こえる。芹沢博士はおそらく助かることができたんだけど、ODをその後の世界に残さないため、そしてゴジラとともに死ぬことで罪を償うために、あえて死を選ぶ。めちゃくちゃかっこよくて、ほんとに悲しい。泣いちゃうよ。

 あとこれ👇めっちゃほしくなったわ~。デフォリアルはG2ガメラを一体だけ持ってるんだけどめちゃくちゃ出来が良くて気に入ってるのよね。
 しかも顔部分にゴジラが映ってるのエモすぎ・・・。
 いつかきっと・・・。


映画としての感想

 前述したように、全体としてよくできていて、メッセージ性もあり、キャラクターも最高で、「特撮」や「怪獣」というあらたなジャンルを作ったという功績もある。シンプルにめっちゃ面白い!
 あと、今見てもやっぱり特撮技術が半端ない。白黒で画質が粗いのも手伝って、ミニチュアセットやゴジラの着ぐるみはリアリティがえぐい。当時主流だったモーションキャプチャーやアニメーションもところどころで適切に使っているので、本物感がすんごい。放射熱線で鉄塔が溶けるシーンなんか、マジでどうやって撮ってんの!?って感じ。
 ただ、やはり古い作品なのでちょっとチューニングは必要かも。以下のことを前提として持っておくとより見やすくなると思います。

⑴思ったよりゴジラ出てこない
 いろんな人の「‐1.0」の感想をみると、「ゴジラの登場時間が少なく感じた」と言っている人が結構いた。ずっと戦いっぱなしの『VSシリーズ』や、冒頭からラストまでずーっとゴジラが存在感ある『シン』と比べると、確かに少なく感じる。でも、初代はもっと少ない。冒頭は被害だけで姿は見えないし、次は山の上からひょっこり顔を出すだけ(ここめっちゃ怖い!)。で、銀座をめちゃくちゃにしたあとは海に帰って寝てるので、実質1.5回くらいしか出ない。でも、だからこそ出てきた時のインパクトにぶん殴られるし、満足感は充分。

⑵昭和独特のテンポと静けさ
 ストーリーテリング自体は軽快で、ポンポン話が進んでいくし、そうしながらも途中挟まれる細かいシーンやセリフによって、戦後当時の社会感覚やゴジラに対する社会の動揺はしっかり描かれる。
 しかし、やっぱり古い映画だからか、現代の映画とは違うテンポで映像が作られている感じがする。結構長い時間(数秒間)無音・無言のシーンがあったり、向こうからこっちに歩いてくる人を黙って待ってるシーンが結構ある。だからと言って無駄だとか映画が長くなってるとかそういうことはない(97分くらい、むしろ短い!)し、それぞれ人間関係や緊張感を表現するために必要なシーンなのだが、現代人にはその時間が耐えられないこともあるかも。しかも、当時の映画はほぼフルアフレコで、役者が自分に自分で声を後から当てているため、それ以外の環境の音や雑音が全くなくてめちゃくちゃ静かなので、そういうのが苦手な人はポップコーン食べながら見るのがちょうどいいかもね。

⑶え?編集ミス?
 
最後に、当時の映画の編集について触れておく。当時は映像をデータとして取っておく手段がなかったので、映画は全部くそデカいフィルムになって保管されていた。映画を編集するときはそのクソデカフィルムを引っ張り出してきて、なんと実際にハサミで切ってのりで貼って編集していたのだ!(マジで昔の人すごすぎ!)なので、映像と映像がうまくつながらないことがよくあったみたい。今作初代ゴジラでも何か所かそういうシーンがある。「今なんか一瞬時間巻き戻った?」と思う瞬間があるけど、それはむしろその時代の味として楽しむのがいいと思う。


最後に

 というわけで今回は、【ゴジラシリーズ全部観る】企画第一回。誕生から70年経った今でも色あせない怪獣映画の元祖『ゴジラ(1954)』を語ってきました。
 マジで今まで見てなかったのがもったいないくらいおもろかったし、こっから広がってくゴジラシリーズやそれ以外の怪獣作品の観方も変わると思うので、観たことない人はこの機会に是非!絶対見た方がいいよ!オススメです!


次回予告


驚天動地なんて聞いたことねえよ!すげえ!

 次回の【ゴジラシリーズ全部観る】#2はゴジラシリーズ2作品目『ゴジラの逆襲』!
 
早くもライバル怪獣「アンギラス」が登場して怪獣バトルものになっていくっぽい。めっちゃ楽しみ!

👇(追記)2023.12.12 【ゴジラシリーズ全部観る#2】『ゴジラの逆襲』レビュー出ました!


 ここまで読んでくれた方、ありがとうございます!
 次回もよろしくね!


おわり


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