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今週の1冊 『モモ』

今週の1冊と題してお送りする木曜日。
記念すべき第1回の作品は、
ミヒャエル・エンデの『モモ』です。

有名な作品なのでご存知の方も多いかと思います。

ミヒャエル・エンデは『はてしない物語』で有名な児童文学作家で、
従って『モモ』も児童書になります。

岩波書店のホームページには、こう紹介されています。

時間どろぼうと,ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語.人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に〈時間〉の真の意味を問う,エンデの名作.

対象年齢は小5、6年〜となっていますが、
紹介文を読むと、
「うーん、なんだか深そうだな」と思いますよね。

僕は実際『モモ』を小学校高学年で初めて読みました。

そして20歳を過ぎてもう1度読み直しました。

話の内容を書き過ぎるとネタバレになってしまいますし、
ただ本の内容を話しても面白くないので、

なぜこの本に僕が魅了され、
わざわざ時を経て読み直し、
なお違った意味で感動し、
大事な友人にプレゼントしたり、
こうしてnoteで皆さんに紹介するのか、
その話をしたいと思います。

とは言いつつも、内容について全く触れないわけにもいかないので、
少しだけ内容の話を。

モモは不思議な魅力を持った女の子です。

モモは特別何もしていないのに、
モモに悩みを聞いてもらうと、
その問題は解決してしまうのです。

人々はみな、悩みを抱えている人を見かけると、
「モモのところへ行ってごらん」
と言います。

特別なアドバイスをするわけでもなく、
ただ聞くだけで人の悩みを解決してしまうモモ。

そんなモモと周囲の人たちの幸せな暮らしに影を落とすことになるのが、
「時間貯蓄銀行」からやって来た、怪しい灰色の男たちの存在でした。

彼らの目的は、人間の時間を盗むことでした。

知らぬ間に時間どろぼうに時間を盗まれた人々は、
時間を節約しようと躍起になり、せかせかと暮らしていくようになります。
ゆったりと人生を楽しむことをやめてしまうのです。

そんなみんなを見て異変に気づいたモモは、以前のみんなに戻るように訴えかけますが、
もう誰もモモの話を聞いてくれず、終いにはモモは時間どろぼうたちの脅威として付け狙われるようになってしまいます。

そこからモモの、たった1人で挑む
「みんなの時間を取り戻すための戦い」
が始まるわけです。

小学生だった僕は、モモの不思議な魅力と、灰色の男たちから感じる名状し難い不安、そしてモモの冒険のワクワクに心奪われ、夢中になって読み進めました。

そして、大人になって読み直した僕は、
「時間」とは何なのか、「本当の豊かさとは?」
「効率や合理性って本当に大事なことなのか?」
と言ったことを考えさせられました。

と同時に、モモの優しさや懐の深さ、度量の大きさに触れることで、
肩の力がふっと抜けて、優しく穏やかな気持ちにもなりました。

「そうだようなあ。人って本来、いればそれで良いはずなんだよなあ。
 誰かの役に立つ必要なんて無いんだよなあ」
と読後に思いました。

子供の頃に読めば純粋にワクワクできる。
大人になってから読めば人生について考えるきっかけをくれる。

そんな「2度美味しい」作品は、いくら読書が大好きな僕でも、
数えるほどしか挙げることができません。

そんな「お得ですよ」的なことを言うと、モモに嗜められるかもしれませんが。

小学校高学年のお子さんが居られる方は是非、プレゼントしてあげてください。
活字を読むのが苦手、という大人にも、児童書なのでおすすめです。

ミヒャエル・エンデの『モモ』。
是非ご一読ください。

小野トロ





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