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社会に出て使わないことをなんで勉強しなきゃいけないの?にどう答える?

「社会に出て使わないことをなんで勉強しなきゃいけないの?」

つい先日、この質問を浴びせられました。

めちゃくちゃ難しい質問ですよね。

職業上(塾講師)、時々この質問をされることがあります。

みなさんならどう答えますか?

ちなみに僕の先日の例ですと、より具体的に
「二次方程式なんて仕事で使わないじゃないですか」
と言われました。

この質問にどう答えるかを考える前に、
僕たちも当然この疑問にぶつかってきたであろうことを考えてみたいと思います。

誰もが思春期や受験勉強に行き詰った時などに、抱いた疑問じゃないかと思うのですが、
僕は正直この疑問をどう解消したか、だれか大人や同級生ににぶつけてみたかすら、記憶にありません。

きっと受験へのタイムリミットが迫ってきて、必要に迫られて渋々無になって勉強に打ち込んだのでしょう。

では現在に時を戻して、この質問にどう答えるか。

僕の意見の前に、考えうる回答を思い浮かべてみましょう。

「直接的には使わないかもしれないけど、嫌なことも頑張って乗り越えた経験が後になって活きてくるんだよ」
「(数学の場合)論理的思考が身に着くと将来役に立つよ」
「そうやって目の前のやらなきゃダメなことから逃げないで現実を見なさい」
「大人になったらきっとわかるよ」
「文部科学省が定めたことで、国が決めたルールだからだよ」

まあこの辺がベターでしょうか。
どれも聞いたようなセリフですよね。

学校の先生が言いそうです。
ですが、学生時代も現在も、これらの言葉に心底納得できる人はいないのではないでしょうか。

僕の学生時代にも、この問いに満足いく答えをくれる先生や大人はいませんでした。
「大人になればわかる」と言っていた大人は、果たしてその答えを知っているのでしょうか。

「お久しぶりです。僕も晴れて大人になったので、社会に出ても使わないことを勉強する意味が分かると思っていたのですがさっぱりわからないので、先生に聞きに来ました。教えてくれませんか?」

と聞きに行ってまともに答えてくれる先生はいるでしょうか。
はっきり言ってそんな卒業生が来たらホラーですよね。

とにかく、自分でも納得できていない、自分も子どもの時に大人に何となくごまかされてきた答えを、そのまま使いまわして子どもに言うのって、
すごくダサくないですか?
少なくとも僕は嫌です。

しかし、だからと言って自分も生徒も納得できる答えを僕は持ち合わせていません。

少なくとも僕個人の意見としては、いくら社会に出て使わないことを勉強させるのはおかしい!なんて言っても、
仕事や日常生活で役に立つ実用的なことだけ教えりゃいいなんてのは暴論だと思いますが。

「海外の学校では自分の興味関心に沿った勉強を選択できたり、自分のやりたいことをベースにプロジェクトを作ってそれに必要な学びをしていたりして、
日本にもそれは徐々に取り入れられていて、少しずつ変わりつつあるんだよ。」

と僕は答えましたが、これも何となくごまかしてる感は否めません。
僕も話していて何となく違うな、と思っていました。

今困っている生徒に、
これから変わっていくはずの未来の教育の話をしても響かないのは明らかです。

「へえー、これからはそうなるんですね、でも、今じゃないですよね。僕は今困ってるんです」

とは流石に言われませんでしたが、そう言われたら僕は何も言えません。

こうなるともう僕には、

「そうだよね、俺も嫌だった」
という共感を示す、という手札しか残っていませんでした。

子どもの疑問を大人の都合で誤魔化すダサい大人ではいたくないし、
子どもはそういった大人の誤魔化しをいともたやすく見抜きます。
それはこの仕事をしていて学んだことの一つです。

子どもが大人に不信感を抱き、こんな大人になりたくないと絶望し、それでも結局その仲間入りをし、己に絶望する。

こんなカッコいい大人になりたい!
大人がみんな楽しそうだから早く大人になりたい!

そう子どもが思えない未来なんて馬鹿げてる。

けれど実際、大人が子どもに「本当」を言わないことで生まれる不信感は、
きっとその未来へ続いている。

僕はもうこれ以上、子どもたちに嘘はつきたくない。

そして、嘘をつかれ丸め込まれ、
次第にそれに慣れ、疑うことを辞め、
その大人たちの仲間入りをする頃には、
自分が疑問を抱いていたことすらも忘れ、
自分も誤魔化す側に回っていく。

そんな子ども、人が増えていくのは、もう見たくありません。

あなたなら、
「社会に出て使わないことをどうして勉強しなきゃいけないんですか?」
この問いにどう答えますか?


小野トロ

以前の記事はこちらのページからどうぞ。
良かったら読んでみてください。


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