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最近読んだ本の話 vol.18

 「最近読んだ本の話」の第18弾です。GWも終わって日常生活が戻ってきたけど、相変わらず緊急事態宣言が出ている中で、引きこもるには読書はいいですね。本があって良かった!と思う毎日です。今週も最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、又吉 直樹『人間』

僕達は人間をやるのが下手だ。

38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。
何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?
初の長編小説にして代表作、誕生!!

「変な話だが、自分が小説を書くことになるなんて想像もしていなかった子供の頃から、この物語の断片を無意識のうちに拾い集めていたような気がする」(又吉直樹)                                         -Amazonより引用-

 又吉さんの言葉は素通りできない。立ち止まって考えて、自分はどう思うのか確認しながら読んでいくような感じがします。又吉さんがいろんな人から今までに言われたんじゃないかと思うようなことがたくさん書かれていたり、本当はこんなふうに言い返したいけど言わなかったのかな、と思ったりして、又吉さんの真意を探りながら読むのですが、両方の理屈が描かれているので真意はわかりません。小さな頃の思い出のエピソードも多数描かれているし、主人公のおとんが面白いです。物語の後半は、おとんとおかんの話が面白くて笑いながら読みました。きっと一番伝えたいことは「何者かにならなくてもいいじゃないか」だと思いました。この物語を読めてよかったです。


2、高山 羽根子『如何様 (イカサマ) 』

敗戦後、戦地から復員した画家・平泉貫一は、出征前と同じ人物なのか。
似ても似つかぬ姿で帰ってきた男は、時をおかずして失踪してしまう。

兵役中に嫁いだ妻、調査の依頼主、妾、画廊主、軍部の関係者たち――何人もの証言からあぶり出される真偽のねじれ。
調査を依頼された私が辿りついたのは、貫一が贋作制作を得意としていたという事実だった。

復員した貫一は「本物」なのか? そもそも「本物」とは何なのか? いま最も注目される作家が到達したミステリアスな傑作。   -Amazonより引用-

 高山 羽根子さんの小説を初めて読みました。気になっていた作家さんです。文章が淡々として美しいです。『如何様』と『ラピード・レチェ』の2篇が収録されています。『如何様』は、戦争に行き、帰って来た時には別人のようになっていた画家・平泉貫一が本人なのか別人なのか調べてほしいと頼まれて調査をするお話です。変わっているなあと思いながら読み進み、平泉貫一が戦争中にどんな任務についていたのかが明らかになっていきます。読み進むにつれて「本物」なのか「偽物」なのかはそんなに重要じゃないような気がしてきました。『ラピード・レチェ』も不思議な物語です。ある競技に携わる日本人女性が、その競技が普及していない外国に指導者として滞在して、そこでのできごとが書かれたお話です。設定が変わっていて不思議な物語なのですが、引き込まれます。


3、古市 憲寿『アスク・ミー・ホワイ』

今年No.1ロマンチック・ストーリー
装画は雲田はるこさん。

過去はね、変えられるはずなんだよ。
もしかしたら、未来よりもずっと簡単に

初めて港くんと会ったのは、大寒波が到来した冬の日だった。
港颯真・元俳優。写真週刊誌のスキャンダル報道によって、彼は、
少し前に芸能界から姿を消した。
ヨーロッパの街を転々としていたようが、
ここアムステルダムに住み始めたという噂は本当だったのだ。
                         -Amazonより引用-

 古市さんの小説を読むのは2作目で、前回読んだ時も思ったのだけれど、小説に出てくる食べ物がすごく美味しそうです。読みながら「それ食べたい!」と思うような料理がたくさん出てきます。主人公は日本からオランダに移住して日本食の店で働いています。アムステルダムに行ってみたくなる描写に魅了されます。港くんと主人公が仲良くなっていく過程もいいです。読みながら「勇気」が大事なんだと肝に銘じました。めちゃめちゃ素敵なお話です。


 今週も書き終えることができました。よかったです。書けるとホッとします。頭の中にはまだ色々なことがぐるぐるとあって、そういうのも書けたらいいなと思います。最後までお読みくださってありがとうございました。

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