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月モカ!!vol.264「夜は夜のままで」

さっき新連載についての記事を書く際にカバー画像をギャラリーから検索してみてそれでふと(月モカもそうしたらいいのではないかな)と思い
やってみた。自分が撮った写真よりも他者の感性が入った方が、ちょっと脱プライベート、エッセイにも輪郭が生まれる。

ところで先日、志磨さんのライヴに行ったのに渋谷からクワトロへのたった8分ほどの道のりが歩けなく感じてしまい、渋谷のロイヤルホストで1時間休むという「自分的一大事」が起こった。
そもそも22歳から25歳くらいまでは住んでた渋谷だし28歳くらいまでは円山町のClubで働いてもいたから渋谷はかつてホームだったのだけど、遠のくがごとにあの街の波動に自分がうまくマッチしなくなって、志磨さんのライヴもクアトロという箱のチョイスの秀逸さと、あの箱はなぜあの場所にあるんだツライ、という反復横跳びをしながらこの1年通っているわけなんだけど、今回とうとう気持ちを決めるのに1時間もかかってしまった。

折しも今回の対バンの相手は小西康陽さんで、ピチカート世代の自分としてはこれまでの対バンの中でも一番楽しみにしていたにも関わらず、わたしは今回小西さんをほぼ諦める判断をした。
(おそらく長時間あの場所にいれないだろうから、ラスト3曲ほどのところで入ろう)

その判断は英断だったと思ってる。
今、わたしは「良くない」のだ。心身ともに具合が。
多分、がんばろうとしない方がいいのだろうと思う。

(写真を挟もうと思いましたが、何を挿してもカバー画像と合わないので、今日は文章だけでいきます)

ステージにいる志磨さん自身も「喪失」の中にいた、ということがその日、心からありがたい出来事だった。先日買った江國さんの新刊(と言っても2年前)が死をモチーフにしていたこともそうだけど、
長く追いかけていたり、人生のそこかしこにその人の作品が傍にあった、みたいな場合に、もしかして神様が少しはからってくれるのかなと思えるほどに、江國さんも志磨さんも、喪失の中にいて、
それは彼と彼女の作品の中で息をして生きてきた自分にとっては唯一の救いだったのである。

「夜は夜のままで。無理に昼にしなきゃと頑張ったり、陽気にやろうとか、しなくていいって感じかな」

最近スピリMの代わりにわたしの身体を診てくれているロミロミサロンのMarieさんが言った言葉を思い出す。

夜は夜のままで。

そうだな。自分は今が夜だってことにも、
あまり自覚的でなかった。志磨さんのライヴに行けなくなるという未曾有の事態に直面して(結果的に見直した予定通り小西さんのエンドあたりから入った)今自分が丑三つ時にいることを知る。


既存の写真に気分が合うものがなかったので今撮ってみた/2023.05.15 23:28

何が理由かよくわからない。
もちろんきっかけは4月の訃報であって、同時に累積した1年前の訃報であって、そこからわたしの中で始まった、溶け始めた過去や未来や前世や後世のタイムラインをたゆたう行為の疲労蓄積であって、
肺炎が完治しないまま訃報に突入した4月のショックの反映が今来たのかもしれないのであって、
いくつかめぼしいものはあるけど、例えばその訃報だって、
彼の親友は寝込んだりすることなく台湾にドイツに「サプリ代わりにベンザブロック飲んで」出張を繰り返していていて、
うちの栞も度々ダウンするわたしの代わりに店に建ち続けてくれている。

肺炎での休みがあったので、
なんだかどうも5月になっても「いつもイーディ閉まってる」「モカコ全然店にいないね」となるのを避けたいのでギリギリのところでなんとか出勤しているのだが、もしかしたら本当は今こそまとまった休みをとった方がよいのかもしれない。でも「ここでわたしがそれをするのか」という気持ちもある。もっと辛い彼らが、毎日をタフにこなしているのに、と思ったりする。

でも夜は夜のままで。
今わたしの人生は真夜中なのだ。
どんちゃん騒ぎをしないタイプの夜更け手前なのだ。

なんとなく何度かちょうど4年前の、店を始める直前の肺炎のこと、
店を始める直前の色々辛かった真夜中の時期を思い出すので、
ここの4年分が今まとまって押し寄せているのかなとも思う。
入院は4回目で4年前のそれが1回目だった。
3回目はコロナで2回目は肺炎だったけどわたしはあれはコロナだったと思っているから(そうすると3回目はちょうど2回目の入院時に獲得した免疫が切れたあたりになる)、結局正真正銘の肺炎は4年前と先月のものかなと思ったりして、思い返してみればハードな4年だったから、
ここで一旦それらにまつわる心の苦しかった事などの膿出しをしてるのかなと考えたりはする。

大人になった。
情緒不安定になると一日中伏せったり泣きわめいたり、新宿の風林会館のあたりにマスカラの滲んだひどい顔で朝座りこんだりしていた二十代後半から三十代の頃とは違う。

心身の損傷に気づかないわけじゃないけど、なんとなく鈍くて、
昔は鮮血に気づいたけど今は内出血のような感じ、
なので調子は悪いけど、さっきアップしたような記事を感情を切り分けて書くこともできる。

きっとそういうのが、体を通してお伝えされるのであろう。
先週は眠れなくて発狂しそうだったが、眠れ出したが最後、眠くて眠くて困ってる。脱ルネスタには成功したが、その副反応なのか脱力感や”ぐったり”が凄く、それが大体 19:00~22:00頃にやってくるので大変困ってる。それはわたしの出勤タイムだからである。

昨日は子守の手伝いで妹宅に行ったが、同じ倦怠感に襲われ結局洗い物などもワンオペ育児中の妹がして、わたしは姪っ子たちと22時半に就寝(帰る気力もなかった)、ぐるっと寝たにも関わらず今日午後にまた4時間ほど寝た。今からもまだまだ寝れそうな感じがする。

つまりはもうそれしか言ってないけど「夜」なのだよな。
夜は夜のままで。

大人になった自分、自暴自棄にならなくなってきた自分が、
「だって悲しいんだからしょうがないじゃん」って全部を投げ出したりすることはもうとても困難なのだけど(笑)
気分はそんな感じでやってみよう。


夜な足元2023

大人のみなさん、今時代はこんな感じで、なかなかいいニュースもないし、
理不尽や不運やえもいわれぬ出来事を咀嚼し飼い慣らさねばならない瞬間がたくさんあると思うけど、大人のわたしたちこそ、自愛していこう。
気合いと根性ではちょっと乗り切れないことが多すぎるから。
それらを抱擁し他者にやさしくあれる為にも、まずは自愛から。

月モカvol.264「夜は夜のままで」
※月モカは「月曜モカ子の私的モチーフ」の略です。


👇そんな最中にもレディオは明るく更新しています。(大人なのでね!笑)

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☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。
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