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【10冊読むまで帰れま10】(20年4月①)東野作品は2度おいしい篇

どもmoaiです。先月4月は外出自粛で、通常よりもふんだんに読書の時間を確保できた結果、新記録の15冊読破を達成した。内容が鮮明に残っているうちにレビューに入る。(5段階評価、順不同)

4月第1回は東野圭吾作品3連発!

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①「予知夢」東野圭吾(評価★2)

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言わずと知れた東野圭吾作品の出世頭、「ガリレオ」シリーズの第2弾である。帝都大理学部教授の湯川学が事件解決に一役買う。

第1弾の「探偵ガリレオ」とともに、「予知夢」も短編集。短編集ならではの良さも当然あるのだが、東野作品は長編でこそ生きてくると思っている。

僕なんかが東野作品を語っていいのか分からないが、、、他のミステリー作家と東野氏が大きく違うのは、伏線回収を普通にこなしつつも、人間描写が深いところにある。「人間の業」の延長に殺人があり、そこに人間のドラマがあり、見事にそこを描ききっている。

当作品は短編ながらも、伏線回収と人間描写を両立できてはいる。だが、もっと長編を読みたい!と思ってしまうのは、なぜだろうか。

サクサク読めるという意味でのエンタメ作品としては十二分に成立している。

②「容疑者Xの献身」東野圭吾(評価★4)

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東野圭吾の「直木賞」受賞作品。前回、長編をよみたい!と叫んでいた理由は、順番として「探偵ガリレオ」→「予知夢」→当作品の並びを守りたかったから。続きものじゃないから、別にいいんですけどね。

さて、当作品の主人公はある意味「天才数学教師・石神」でしょう。ストーリーは割愛するが、キャラ設定に迷いがないし、無理がない。石神が隣人の花岡靖子を庇う理由すら、常人には考えられないが、この石神なら(良い意味で)やりかねない。そこに物語としてのリアリティーがある。

裏を返せば、いくらストーリーが練りこんであっても、設定にリアリティーがなければ感情移入もできない。

その石神が身を呈して守った花岡が最後、警察に現れるシーンがハイライト。ここでどういう、情景描写を脳内に擬似再生できるかが、「読書人」としての腕の見せ所だ。文庫版393ページから続くの次のページに描写されている救いのない世界に、小説とはいえ、心と体が奥の方から揺さぶられた。それでも【評価★5】にしなかった理由は、東野作品の巨塔「白夜行」は超えてないと判断したから。十二分に面白いですけどね。

脱線しますが、合わせて映画も見ましょう!

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福山雅治&柴咲コウの主演コンビを、石神役の堤真一と花岡靖子役の松雪泰子が完全に食ってしまっている。作中の石神のイメージと堤真一がかけ離れているが、ラストシーンの迫真の演技を見たら納得。

みなさんが脳内擬似再生したラストシーンを、堤真一が軽く超えて表現してくれている。「どぉぉしてぇぇぇ」は名シーンでしょう。

東野作品のいいところは、多数の作品が映画・ドラマ化されているところ。小説と映画の設定の違い、自分がイメージした登場人物と配役の違い。脳内擬似再生したシーンと、描かれているシーンの違いなど、楽しみ方が多岐にわたるし、作品に対しての理解が深まる。

諸説あるが、自分は「小説→映画」の順番を死守している。逆に見る意味があるのかな?小説の世界観を基準に映画の再現性を楽しむ、というのが理想だと思うが、異論がある方は是非コメント欄へ!教えてください!

③「放課後」東野圭吾【評価★3】

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4月最後に読んだ一冊。東野圭吾のデビュー作品で、江戸川乱歩賞受賞。1988年、昭和63年の作品だが、古さを全く感じさせない。だがデビュー作ということもあって、読みづらさはないのだが、現在の東野作品の確立された筆致とは程遠い。
よって、東野作品には珍しくダラダラと読んでしまった。ストーリーは学園サスペンスで、淡々と進んでいく。346ページの長編を終始ダラけた感じで読んでしまっていた。犯人にも驚きもなかったが、

339ページに書かれていた殺人の動機に度肝を抜かれた。さすがにこの部分の内容は書けない。

多感な女子高生の考えることなのか?前言撤回になってしまうが、リアリティーがないからこそ、ぶっ飛んだ、というのはある。

くそぅ、面白いじゃないか。さすがは東野作品。ただじゃ帰してくれない。作品は違うが、

「うーむ、実に面白い」

【続く】

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