見出し画像

【10冊読むまで帰れま10】(20年3月⑤)「紳竜の研究」の研究篇

どもmoaiです。

DVD「紳竜の研究」見ました。

漫才コンビの島田紳助と松本竜介のDVDで、1枚目は漫才、2枚目の一部は島田紳助が07年にNSCの生徒に実施した漫才の講義を収録している。

この講義が秀逸すぎる。

漫才の組み立てから、M-1の勝ち方など、島田紳助がガチ講義1時間半。この中で話している内容は、僕ら平凡な人間にとっても非常に有益である。

その講義が書籍化していたので、合わせて読んでみた。

その名は「自己プロデュース力」。講義の内容がそのまま再現されている。自分はDVDをすすめるが、本でも十分だ。この講義を深掘りして、

紳助流自己プロデュース術を大まかに4テーマに細分化してみる。


①自分だけの教科書を作れ

→結果を出すために、相手を市場を研究しろ

紳助が周りの凡人漫才師と違ったのは、自分だけの漫才の教科書をつくったことだった。紳助以前の売れた漫才師の掛け合いをすべてノートに書き出し、ウケている理由を分析した。サラッと書いてしまっているが、これがなかなかできる芸当ではない。

紳助は恐らく、爆笑を巻き起こす漫才の法則性をこの教科書で解き明かしたのだろう。客という「市場」を分析し、「笑い」というメカニズムの分析に成功した、ということだ。

例えば、売上NO.1の営業マンの先輩がいたとする。その先輩に同行する機会があって、その営業マインドを教科書化しようと思えるだろうか。

ようは、対象となるモノをまずは研究しなさいと。スポーツに例えると、野球の打者であれば対戦する投手を、サッカーのFWならば対戦相手の守備陣形、相手DFの動きを、ということだろう。ビジネスでも同じことだろう。

②【X(自軍戦力)×Y(努力量)】の公式を確立せよ

→【X】まずは自分の武器を整理しろ

紳助は漫才で笑かすに当たって客=市場の分析を終えると、自軍戦力の把握に入った。そこで紳助は自軍把握のために【X=自分の武器×Y=自分の努力量】という公式を確立していた。

まずはXで自分の武器を明確にし、Yで圧倒的な努力量を叩き出す。

これまたサラッと書いてしまうから難しさが見えてこないが、【X】が難敵。紳助が秀逸だったのが、自分の力、キャラクターを客観的に分析し、さらに“競合他社”を見て、最適解を用意できたことにある。ここが売れる人間の違いである。

紳助の同期に、明石家さんまとオール阪神巨人がいた。紳助は気付く。明石家さんまの天真爛漫な明るさには、敵わない。セミプロで活躍していたオール阪神巨人の正統派漫才にも勝てない。では、紳助はどこを目指したのか。「ヒールしか、あらへんやん」と。

そこで紳助はツッパリ漫才というジャンルをイメージし、その役割をこなせる相方を3人目で見つけ出す。それが松本竜介だった。紳助は漫才で売れることを第一義とし、仲良くできそうな相方候補には目もくれず、自分の作った「漫才の教科書」に則った理想の漫才を表現できる相方のみを探していた。そこで相方に求めていたのが、紳助の指導に耐えられる根性の持ち主だった。

紳助がセルフプロデュースに長けていたのが、ツッパリ漫才を表現するツールとして、衣装に着目したことである。当時はスーツが当たり前だった漫才の衣装に、ツナギを着て、よりツッパリ感を演出した。

紳助は講義で、「【X】は人それぞれだから、そこを分析せな売れる漫才はでけへん」といい、「そこらへんの漫才師はそれにすら気付けへん」とまで言い切る。僕ら凡人には耳が痛い話だ。

③他人の成功のシステムをパクれ!

→成功のノウハウを学んで【Y=努力量】を稼げ

恐らく紳助は【Y=努力量】を定量的なモノとして考えていなかったはずだ。つまり、物理的に時間を投下しただけで解決できる問題ではない、と。紳助は①で市場の把握をしつつ、兄弟子の島田洋七の漫才のメカニズムも分析していた。つまり洋七のネタをパクらず、メカニズムをパクったというわけだ。DVD、書籍の中で紳助は、島田洋七の笑いのメカニズムを実際には明かしていない。それは、お前らで考えろということなのだろう。ただ闇雲に努力するのではなく、他人の成功モデルを分析して、最短距離を走れ、ということだと解釈した。

④負け戦はするな

→市場を限定し、勝てる土俵で勝負しろ

紳助はマーケティング能力が異常に高い。市場を分析して笑いのメカニズムを把握して【ツッパリ漫才】という戦法を考えつく。その戦法が最大に生きる相手を「20代〜35歳の男性」に限定したのが、素晴らしい。

理由は簡単、当時の紳助の年齢に近く、感覚的なものが似通っていると判断したからだ。漫才で売れていくと女性ファンがキャーキャー言い始めて、その層を笑かしにいってしまう傾向があるというのを、紳助は見抜いていた。だから女性ファン層には見向きもせず、ひたすらテレビの先にいる「20代〜35歳の男性」だけを意識して漫才をつくっていた。

これは非常に示唆に富む話で、闇雲に万人ウケを狙うことで焦点がボケてしまうのを回避している。ようは、明確にターゲットを絞れ、ということだ。

□■□■□■□■□■□■□■□

他にも紳助はためになる話を連発しているのだが、コンパクトに4点にまとめると、上記になった。割愛した要素はまた、別の機会に。

整理すると、

市場を分析して、自分の教科書をつくり【①】

自軍の戦略を把握【②】

他人の成功システムをパクって最短ルートを走り【③】

勝つために市場を限定しろ【④】

ということになる。

とはいえ、一筋縄ではいかない。

面白いデータがある。この紳助の講義を生で受けたNSC29期生でM-1の決勝に進出したコンビは「見取り図」のみ。

自己啓発本を読んでも、自分を変えられるのは一握り。

結局、やるかはやらないかは、自分次第です。








この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?