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弛み
止まりかけた、
何がかなんていうまでもない。
「人生だよ、人生」
独り言だけがポツンと側に居た。
コンビニで安い酒を買った、飲めもしないのに。
振られてやった、たいして好きじゃなかったし。
秋雨前線が南下、東京の街を濡らした。
終わらない就活、リクルートスーツの裾から雨が垂れている。
使い古した黒いパンプスのヒールが折れた帰り道、
転けた、擦り傷、
いたい、いたい、いたい。いたかった。
別にあんたとじゃないよ。
なんかこんな歌あったな、とふと思い出した。
「悲劇のヒロイン気取りじゃん。」
馬鹿馬鹿しさに笑いをこらえながら泣く20:36。
マンションに着いた、
転がり込んだ 元 恋人は もう いない。
心にも転がり込んだくせに片付けずに出ていきやがった。
散らかった心だけが私の首を絞める。
元 恋人の持ち込んだCDが積まれてた部屋の隅、今は埃があるだけ、何のCDがあったのかは覚えてない。
座り込む、落ち込む。
もう泣いてない、泣かないし。
ぬるくなった缶ビールを一気に流し込んだ。
ぽつんと佇むラジオ、埃がかぶった右端のボタンを押した。
「あぁそっか壊れてんだ、」
かすれた音が聞こえるだけ。
「あたしみたいだなぁ」
様になった“標準語”が
あたしと 元 恋人との唯一の想い出。
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