見出し画像

見えないチカラ

 愛用バッグが壊れ、ついに新調。ポケットが好きで、たくさん収納できるバッグ(SUNOGE)を購入。ただ、どこに物を入れたか忘れる始末(笑)漸く慣れてきたが、果たして使い切れるのか。
 我々は、見えなくて、実態の不明なモノである「力」を抗ったり、怖がったり、ときにはそんな力を欲する。たとえば、便利には力がある。大概の人はこの力を欲する。数百年前までは歩いていたのに、現代では出かけるのに車は必須になった。また、手紙はいつぞやメール、LINEに変容した。便利という名のもとにスピード感は増したが、何か大切なモノを見失っている気がしてならない。
 授業で話をしていて、ふとした瞬間、こんな疑問が感覚的に湧き上がってきた。本質とは一体何なのか。それは本当に分かり得るものだろうか。正直に言えば、教える身でありながら知ったふりをしていると言っても過言ではない。古人の知を模倣し、学んで積み重ねてきたものを、未来を担う者たちに紡いでいく。これが生きる者として課されている、せめてもの務めかもしれない。
 本質を理解しないとうまくいかないわけではない。たとえば、スマホについての仕組み、いわゆる数学的・物理的・工学的構造などをすべて理解してからでなくてもスマホは利用できる。つまり、仕組みがどうなっていて、どんなことに役に立てるべきか理解せずとも、我々はあらゆるモノを活用することはできる。よくよく考えてみると、そういうもので世界は埋め尽くされている。過去の賢者たちの叡智の繋がりによって、文明は発展してきた。果たして、現代の文明はいつまで続くのやら。
 勿論、事物の本質を全く理解しなくてもよいということではなく、片鱗でもよいから理解しようと努めることは至極大切である。正しさを追い求めるというより、飽くなき探究といえよう。
 ところで、2020年にデビューした韓国グループaespaは、Avatar X Experienceを表現した“æ”と、両面を意味する“aspect”をかけ合わせた造語で、「自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」という世界観を形容している。この世界観を露わにした新曲『Girls』が7月に発表されたが、この曲はどんな背景を意図して作り、どんな力を表現したのだろうか。
 私より先にヘルメス・J・シャンブ著『プルートに抱かれて』を娘は読んでいたが、哲学的であり難しかった。娘は何を考えたかは分からない。でも、本を読むとはそういうことだ。その人にしか味わえない世界観に入り込むことに他ならない。その本は娘に読んでほしい力を発していたのだろう。本質という力を理解せずとも、この本を読む前にはなかった力を何かしら得た自分に変わっている。この本にあったが、私は何のために生きているのだろう。自分は果たして何を望んで、今日は何をしたいのか。何をすべきか分からないが、何の努力もせずとも、一日を終える。花は努力せずに自然と咲く。そう考えると、生きることの本質は意外と単純なのかもしれない。
 
 모든 존재가 의미를 가져
 すべての存在が意味を持つ
     (aespa『Girls』)


🎵 人生相談&哲学対話ほのぼのカフェ 🎵
 
【Q54】数学にはまったきっかけは何ですか。
【A】自分が解くというより、友だちに教える方が快感でしたね。教科書レベルでは達成感は薄かったですが、新しい分野で考えたり、入試問題を解いたりして、四苦八苦して紐解けたときの喜びは凄まじく、アドレナリン大放出です。最近は、算数の入試問題にはまっています。面白いです。
 
【Q55】なぜ教員を目指したのですか。
【A】学校という空間が好きだからです。毎年たくさんの出会いがあり、新しいことにも挑戦できるし、創造的な世界です。さらには、ずっと数学と向き合い、“楽しさ”を伝えていけるなんて最高です。
 
【Q56】社会に出て最初に大変だなと思ったことは何ですか。
【A】大学でもそうでしたが、全部身の回りは自分でやらないといけません。当たり前のことですが、誰も手伝ってくれません。何も教えてくれません。世間知らずを痛感しました。知らないとか、苦手とかという甘ったれた言い訳は社会では“一切”通用しません。できないなら、できるようにしないといけないのです。だからこそ、今のうちにたくさんのことを学んでおいた方がいいですよ。そして、分からないことをサッと聞ける人間関係を作れることも大切なことです。
 
【Q57】同じ人間で同じ地球に棲んでいるのに、なぜ国というもので人と物事を分けるのでしょうか。
【A】人間の本能として、自分が自由にしたい陣地territoryを持とうとしています。たとえば、家を作ることで他の人たちとの境界を作り、自分や仲間を守ろうとしています。自分たちが住み始めたところを勝手に縄張りにしてしまいます。それに、国境なんてそもそもないから、本当は仲良く過ごせればいいのですが、強い遺伝子を残すためにも闘争本能が働きます。全くもって不思議ですよね。
 
【Q58】なぜ人は死ぬのでしょうか。
【A】仏陀は“生老病死”を「苦」と考えましたが、これはずっと考えている深い問いの一つです。遺伝子のコピー回数には制限があるといえば単純ですが、それでは納得いきません。そもそも、人どころか、生きとし生けるものはすべて死にます。永遠なるいのちは存在しないのです。『鬼滅の刃無限列車編』では、「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ死ぬからこそ堪らなく愛おしく尊いのだ」と、煉獄杏寿郎は語り、信念というか正義感、使命感に惹かれ、感動しました。世阿弥は能楽論『風姿花伝』において、“花は散るからこそ美しい”と説きます。有限の世界において、無限の美を演出したのです。うむ、問いは深まるばかりですね。でも、この問い、すごく大切ですよ。
 
【Q59】家族とは何ですか。
【A】相互的に支え合う関係であり、足りないところを補い合います。無償の愛が育まれます。自分の発見にも繋がり、自分自身を確立させてもくれます。実は、周りに人がいないと、自分とは何かを考えることには意味をあまり持たないので、自分がどんな人物かを考えられません。どんな形であれ、家族を大切にしてほしいですね。

2022.7.22

この記事が参加している募集

オープン学級通信

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?