緊急避妊薬を考えた。
僕は今大学4年生で社会(というかコロナ)に揉まれながら、フィンランドのセクシュアリティ教育や自分の原体験、韓国での国際交流などをきっかけに大きく「ジェンダー」を学んでいます。
と言っても「さぁ!セクシュアリティやジェンダーについて学ぶぞ!」
と意識的に学び始めたのは今年の2月くらいになってから。様々なイベントに参加したりして学ばさしてもらっていました。そんな中。
今日ツイートで周りのお友達やフォロワー様方がこのようなツイートをシェアしてくれてました。内容はNHK番組での「緊急避妊薬」についてのこと。
「ふむふむ…これは個人的に下の方の発言がムムッとするなぁ。」
と思いつつ、ここで僕は気づいてしまった。
「緊急避妊薬って何となく聞いてたけどあんまそのものを知らない…」
ということでこの記事では緊急避妊薬についてわからない僕が、わからないなりにまとめて行こうかと思います!
なお過程で役立ちそうな文献やデータ、サイトは一番最後の参考URLに載せてありますのでぜひぜひ!
🌿 🌿 🌿 🌿 🌿
そもそも緊急避妊薬とは?
NPO法人ピルコンにはこのような説明がされてました。
避妊に失敗した時や性被害にあった時は、女性が産婦人科・婦人科を受診し、72時間(3日)以内にアフターピル(緊急避妊薬、緊急避妊ピルともいいます)を服用することで、約80%の確率で妊娠を防ぐことができます。アフターピルを服用することで排卵を遅らせたり、子宮内膜(受精卵が着床する部分)の状態を変化させて妊娠の成立を防ぎます。
すごくまとまっていてこの5行をみるだけでだいぶ理解が深まる…
まず僕は「緊急避妊薬=低容量ピル」と混同して考えていたのでここで知識の修正ができてまず良かった。
・薬の種類
「ノルレボ」というお薬が一般的のようです。なお、アフターピルはあくまで緊急避妊のためのお薬であり、普段の避妊法には向かないそうです。
(他のピルについてはこちら)
・価格について
6,000~20,000円程度(医療機関によって異なる)で、低容量ピル1ヶ月の費用がいくつかのサイトで調べて平均3,000円前後であることをみると、比較的高価なことがわかりました。
保険外診療という点やお薬以外の診療や血液検査などを含めると購入までにかなりの費用がかかってる。現状は多くの場合女性が自ら産婦人科やクリニックでそれらの費用を自己負担している。
・避妊率
低容量ピル99%
コンドーム:85%(あくまで適切利用の場合。妊娠率は2-18% データも)
緊急避妊薬:84%
低容量ピルの避妊率の高さに驚くと同時にやっぱりコンドームのリスクって大きいんだなとこの数字をみていて思いました。なんで日本はこのリスクをマネジメントしないんだろう。
・副作用
ほとんどないと言われていますが、一時的な出血や頭痛、吐き気、眠気、倦怠感などがあるそうです。Twitterで確認するとアフターピルでも嘔吐や気怠さに襲われたという方がいらっしゃったのを見ると、ないとは言い切れなさそうです。(プライバシーの観点でコメントは載せませんでした。Twitterで緊急避妊薬についての検索をかけると実情を見ることができます。)
🌊 🌊 🌊 🌊 🌊
世界の避妊事情ってどうなの?
アフターピルについてまとめただけでも知識だけじゃなくていくつか問題点が浮き彫りになりましたね。「じゃあ他の国ではどうなんだろう?」
広い目でみてみようと思います。
まずピル使用状況についてはデータがあったのでまとめました。
このデータによって欧州やアメリカ、東南アジアの一部では日本よりも内服率が高いことがわかります。
日本では避妊具とされているコンドーム、実は「性感染症予防にはなるけど避妊用具としては不完全」というのが世界の常識。
またイギリスではアフターピルを含め避妊はすべて無料、ドイツやフランスは未成年には無料で提供しています。
少しピルとは離れますが、海外で適用されている避妊法の例としては他に
避妊インプラント、ホルモン剤、避妊リング、避妊シールなどがあります。
これらは低容量ピルと一緒で副作用が伴うこともあるけれど、いずれも避妊率が90%を超えるためコンドームよりも圧倒的に確実性が高くなります。
ちなみに避妊薬や方法についてはセクシュアリティ教育の一環で学んでいる他、病院やイベントに際するセミナーなどで学んだりしているそうです。
現状問題だと思うこと。
ここまで調べてまとめてきた上で、現状の日本の問題だと思うこと、そしてツイートの何が問題だったのかを書いてこうと思います。僕が挙げたこと以外にもきっと問題はあると思いますが、ここでは3つ。
「他にもこういう課題がある!」というのがあれば是非コメントで教えていただきたいです‼︎
①コストがかかる
他国が無料提供していたり保険適用で安価だったりするのに対し日本の場合保険適用外かつ高価。まず金銭面でのコストがかかります。
社会人の方ならまだしも中高生に何万といった大金は払えるでしょうか。
(というかそもそも女性自己負担ってとこがおかしい)
また日本はドラッグストアでの処方はないため、処方にはクリニックや産婦人科へいく必要があり、そう言った距離的なコストもかかる。
学校や仕事で行く機会が失われたり、地方であれば距離的な問題でアフターピルの処方が遅れたりとリスクでしかありません。
何より現状費用を払う/行く女性に精神的なコストがかかっていることも忘れてはいけないと思います。
思うに日本のピル服用率の低さは認知度の低さも起因していると思ってて。
「ピル=性に奔放」みたいな本当滅却したいデマが未だに信じられていたりするんですよね。ただ、海外のようにドラッグストアでの販売が認められれば認知や内服率も上がるのではないかと僕は考えます。
日本のドラッグストアはすでに2万店舗を超えています。コンビニよりも身近になりつつあるドラッグストアで販売されることになれば、状況はかなり変わる。なので僕は今回の活動に賛同することにしました。
②規制
今回の産婦人科医会前田津紀夫副会長の「日本の若い女性は性教育不十分だから安易に緊急避妊薬に流れる」という旨にも見える通り、現在日本で緊急避妊薬がドラックストアで買えないことや、他の避妊方法が認可されていない理由も「性が乱れるから」「悪用や濫用の懸念がある」といったもの。
では、現状日本の性環境は整っているのだろうか?乱れていないのか?
育てる責任や能力が十分でない両親によるネグレクト、胎児の遺棄などの報道はきっと月に1回は目にする機会がある。
伊藤詩織さんを巡る性暴力の訴訟ではあまりにも悲惨な被害に日本だけでなくヨーロッパや北欧からも非難の声が集まった。
こういった "事実"が少なくない中でなお、「性は乱れていない」
と言えるのであろうか。
・考え方
副会長のコメントにはジェンダーバイアスがかかってて、もうその時点で「何でこの人のコメント通したんだろ?」とNHKに不信感を抱きました。
まず気になったのは「若い女性」って部分。なんで若い女性と絞ったんだ⁇確かに日本の性教育は未熟で、変えてく必要があるとは思うけど、それと今回の緊急避妊薬とは話が別じゃない⁇
それになんで女性だけの問題にしているんだろう。これは老若男女に関わる話であって、若い女性だけの問題じゃありません。
また、上に挙げたように課題が山積みである現在の日本で、
「安易に緊急避妊薬に流れるから心配」という発言。
現状問題になっていることを黙殺しておいて、自分の予想で話しています。
それに「流れるから心配」とはどういう意味だろ?ドラッグストアでアフターピルを購入できるようになれば認知が上がり、女性の身体に負担はありつつも避妊率自体はあげることができます。しっかりとした避妊ができないよりも、まずはそういったステップから始め、同時にセクシュアリティ教育も進めていけば、さして問題はないのではないでしょうか。
さいごに
調べてみてやっぱりまだまだ知らないことがあるなと思いつつ、こうやって学ぶことによって考えることができ、自分の意見も述べられるようになるのでやっぱり大切なことだなと思いました。
今日の放送にも出演していた染谷明日香さんが現在オンラインで署名を行っています。賛同したい方がいらっしゃればこちらでご署名ください!
必要のない不幸や苦しみは取り除いていきたい。もし今、そういうような苦しみの中にいる人がいたら、情報によって少しでも楽にしてあげたい。
そういう思いで生活の中で習慣としてジェンダーを学び、発信しています。
それでは、ごきげんよう。
参考URL
●私が参考にした人やモノ
・シオリーヌさんの動画
・性教育プロデュ〜サ〜りのさんの動画
・SEX EDUCATION (Netflixコンテンツ)
個人的にすごくすごくおすすめです。映像で楽しみながら避妊を含めた性を学ぶことができます。
●ピル関連を調べ
・フランスのピル事情
・Buzz News アフターピルの記事
・漫画で見る「避妊」について
・VOGUE