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古代ギリシャと現代の人間関係:マンスプレイニング?

1.男と女が演じている役柄

(…Facetimeの呼び出し音)

ーもしもし、スミさん。

ああコイさん、今日は顔がなんか元気そう。
目がぱっちりしてる。

ーそう、昨日寝たからね。やっぱり睡眠は大事。

よかったですね。
やっぱりコイさんは元気で、ちょっと尊大じゃないと。笑

ー笑。そういえば最近、Podcast聞いてたら、なるほどと唸ったことがあった。
スミさん、「マンスプレイニング」って知ってる?

なにそれ。初めて聞いた。

ー教える年上の尊大な男、教わる年下の女という関係のことを指すらしい。

マンスプレイニング(英語: mansplaining)
男(man)と解説(explain)をかけ合わせたかばん語。男性の持つ「女性は自分より知らない・わかっていない」という前提の根拠が差別意識にすぎないことを指摘するものだが、一般的には「男性が、女性を見下すあるいは偉そうな感じで何かを解説すること」。
(Wikipediaより)

へえ~。知らなかった。

ーでもこれって、男が一方的に見下してる、みたいな単純な話だけでもないよな。

と、言いますと?

ーつまり、本当に実態上そういう関係だけじゃなくて。
「男が先行して、女が賞賛する」みたいな、社会で伝統的に認知されてきた「役柄」があるじゃないですか。

はい。

ーそれをお互いが暗黙で求めあって「演じてる」、ってのもそれなりにあると思うんだよね。

あー、それはわかる。
”男が私に教えを乞うて来たらなんかイヤ!リードしてほしい!”って思う人もいるよね。肉食系男子が良い、てのも近い気がする。

ーそうそう。単なる友人関係じゃなくて、恋愛関係とかが絡むと余計ありそうだよね。お互い同意の上での、ある種の演技。

2.同性ならどうなる? -古代ギリシャの場合

それで思い出した。
この前、プラトンの『饗宴』って本を読んでたんだけど。

ーまたすごいもの読んでるね。笑

でしょう。
男子会で、エロス(愛)を賛美しまくりあうゲームをする、っていう感じなんだけど。笑

なぜ男は女を求め、女は男を求めるのか?愛の神エロスとは何なのか?悲劇詩人アガトンの優勝を祝う飲み会に集まったソクラテスほか6人の才人たちが、即席でエロスを賛美する演説を披瀝しあう。プラトン哲学の神髄ともいうべきイデア論の思想が論じられる対話篇の最高傑作。
(『饗宴』解説より:Amazon)

ーおもしろい。
古代ギリシャの愛といえば、少年愛と同性愛だね。

うん。まさにこの男子会のメンバーもそれぞれカップル。

ーそれで、「異性同士の肉体の愛」を超えた、「同性同士の魂の愛」を語り合うってことか。

そうそう。それで美の本質イデアにまで議論がたどりついていく。笑

ーすごい飲み会だな笑

3.まわるまわるよ時代は…?年下と年上、男と女

うん。笑
で、
ギリシャの同性愛って、恋愛だけじゃなく「年上の男が年下の男を導く」っていう師弟関係、教育的関係もあったんだって。

ーマンスプレイニングのような、必ずしもネガティブじゃないんだ。

そうそう。
それでね、この場合いずれは「若い教わる男」が年をとると、「年上の教える男」になるわけでしょ?

ーうん。

今度は自分が年上で「教える側」になって、関係性がまたアップデートされるじゃない。
同性同士だと、いつかは教える側になるから、ある意味台頭な関係だな、と思って。

ーああ、なるほどね。

性別でその関係が規定されてると、それは一生変わらないからさ。

ーほんとだね。男女の関係って考えてみると色々面白いよね。

そう、人生のうちで生徒にも先生にもなるっていう、役柄が固定されないほうがおもしろいじゃん。
ところで私もポッドキャスト聞いてみようかな。なんていうやつ?

ーこれ。

おお、聞いてみよ。

ーおれ、マンスプレイニングになってませんかね?笑

いやいやなってませんよ。笑

ーよかった、いつもスミさんには色々気づかされてます。笑

笑。
あ、もうこんな時間だ。

ーあー、そろそろ行かなきゃ。
じゃあまた!今日もありがとう。

はい、ありがと~。ばいばい。

(…Facetime終了)

★参考文献★
『こんにちは未来 〜テックはいいから:第37回 つかわない頭をつかおう』佐久間由美子、若林恵(Podcast)
『New Yorker Cartoon Speaks To Every Woman Who’s Been Mansplained To』Jenavieve Hatch(Huffington Post)
『饗宴』プラトン(光文社古典新訳文庫)

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!嬉しいです☺︎