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[理系による「カルチャー」考察] The Piper at the Gates of Dawn(1967) by Pink Floyd ➡共感覚のシド・バレットが天才すぎて、薬物中毒になってしまった理由が分かる、"能"な音楽


Pink Floydのファーストアルバムですが、一般的に認知されているPink Floydらしいプログレな音楽ではなく、一般的にはサイケに分類されているようです。

が、個人的には、サイケという言葉だけでは不十分で、ハウス,、ダブ、アンビエントの気配ありつつ(もちろんロックも)、なんだかえも言われぬ幽玄で色気のある音楽で、こんな音楽を奏でるアルバムはいまだ聞いたことがなく、いい意味でとても異質な音楽であり、しいて言うなら"能"な音楽(あの世とこの世の狭間に連れていかれる音楽)です。

で、なぜ他のPink Floydのアルバムと違うかというと、シド・バレットがこのアルバム作成時は在籍していたからであり、というかこのアルバムはほとんどシド・バレットがディレクションしたようなものの認識ですが、このアルバム以降は(もしくは中)に過度の薬物摂取によってバンドを脱退せざるを得ない状況になり、それ以降はPink Floydに参加していないからです。

というわけで、Pink Floydのアルバムと言うよりかは、シド・バレット with Pink Floydと言った方が良いアルバムです。

このアルバムを聴いていただければすぐに分かるのですが、シド・バレットはあからさまな天才です。具体的に、どうやったらこういう"能"な音楽の発想がでるのかよくわからず、端的に言うと発想の元ネタが見つからないのです…。

シド・バレットは共感覚(例えば、女性の高い声を「黄色い声」、というように音を色で認識できる感覚)だったようで、天才たる所以はそこから来る独自の感受性からだと思われます。よって、そのような天才の思考など、一般人が理解できるわけないですが、このアルバムはそんな天才シド・バレット一人の内面から湧き出てくる何かを音楽というツールでもって具現化しています。

で、1~2曲だけならまだしも、あんな質の高い曲を短期間で11曲…。そして作ってて全く楽しそうな曲でもなく、かつ今までになかった音楽を作ろうする気概は大いに感じ、そうなると、もう薬物を使うしかないのもなんとなく分かる…。

このアルバムに近しいものを敢えて挙げるとするならば、RadioheadのKid Aなのですが、Radioheadはそれまでに3枚のアルバムを作っているので、Kid Aの場合はトム・ヨーク一人で作るのではなく、バンド全員で作っている感じがあり、負荷が分散されるのですが、The Piper at the Gates of Dawnは、Pink Floydのファーストアルバムであり、シド・バレット一人で作っている気配があり、通常の精神では負荷に耐えきれるわけもなく…

と、その当時の状況を見たかのように記載してしまいましたが、とにかく、RadioheadのKid Aや、Primal Screamのスクリーマデリカ、が好きな方におススメのアルバムです。








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