[OldCityBoy的「アート」鑑賞] 美術・工芸品でもある日本刀の鑑賞方法
美術館で日本刀が展示されているのをよく見かけますが、
「綺麗なのは分かるけど、どうやって鑑賞すればいいの?」
な声をよく聞くので、自分の鑑賞方法を
・刀身
・鍔
・鞘
の3つに分けて紹介しますね。
まずは、刀身です。
"反り"とか"刃文"が見どころ、と良く解説されますが、いまいちピンと来られない方が多いと思います。
自身としては、
これって全部手作業でやっているんです!
の背景説明があった方が、より分かりやすく鑑賞できると思っています。
というのも、今だと工業製品による綺麗な形のモノって身の回りに溢れていますが、当時は機械なんてものはないはずで、全部手作業でモノを作るのです。
日本刀だと、まずは鋼を作り、その後、それを熱してトンカチで叩きながら形を整えるのですが、日本刀の美しいプロモーションを手作業だけで作るって(つまり金属加工を機械なしでやる)、想像すると、実はどえらいことやってません?
つまり、鉄加工を機械使わず"超美しい造形・色"を手で作り出すって、ものすごい高度な技術が必要なわけで、そういう意味で日本刀は美術・工芸品となり得るわけです。
それを踏まえて、"反り"と"刃文"を考えてみると、
"反り"は、日本刀は切りやすいようにわざと曲げているのですが、金属加工にて直線でつくるならまだしも、"曲げる"って…。
"刃文"は、"研ぎ"で出すわけですが、左右対称に立体的に美しくなるように研ぐって…。
というわけで、機械なしでこの完璧な造形を作り出す技術って、世界でも類がなく、よって日本刀が美術館で展示されている理由の1つだと思います。
次に鍔です。
"鍔"って実はあまり注目されにくいんですが、実は自身は一番好きな場所です。なぜなら、お洒落だから!
"お洒落"よりは"伊達"な言葉の方が適切な気もするのですが、実は色々なデザインがあって、またその美意識が蒔絵や日本画のようななんとも日本独自のものでいいんですよね~。
よって、当時の侍も実はお洒落さんだったのかな~、と思ったりするのですが、鍔は東京国立博物館でたくさん展示されているところを見ると、「もしかしたらアクセサリーのように気分によって付け替え可能だったのかな?、もしYesであればなんともお洒落だな~」、と思いながらいつも展示の前でニヤニヤしています。
最後に鞘です。
"鍔"がお洒落なので、"鞘"も負けじと様々装飾がされています。
ただ、鞘はお洒落というよりは、所有する男性の美意識を強調するように装飾しているのではないかと思います。
また、鞘は、それ抜いたときに美しい刀身が出てくるので、その辺のバランス感を加味したり、また、鎧の装飾に合わせてデザインを決めたんだと思われますが、それってファッションと同じ感覚なんですよね~。
ちなみに、鞘を装飾するって日本だけでなく、世界でも共通する価値観のようで、刀と言うものは、武器というよりは男性のアクセサリーの一部なのだと思われます。
というわけで、美術館で日本刀を見つけた場合は、手作業による造形美と、それにどんな装飾をすればお洒落になるかな~、と想像しながら鑑賞されるとより楽しめる、という提案でした~。
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