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[理系による「アート」解説] デビット・ホックニーとコラージュ

自身が、まだ存命のアーティストの中で一番好きなのは、ホックニー、になります。

自身の認識では、ホックニーは完全な絵画マニアで、原始の壁画から近代の絵画、そして写真までマニア目線で、かつ趣味で、研究し、その膨大な知識とバックグラウンドに自分なりのアレンジを加えて自身の作品をアウトプットしています。作風が時代毎に異なるのは、その時得た新たな知識から思いつくアイディアをすぐに試したくなるためだと思います。

ホックニー作品で自身が一番驚愕したのは、キュビズムに新しい概念を加えた"コラージュ"という分野を確立したことです。

コラージュの説明の前に、まずはキュビズムに関してです。キュビズムは下記のように遠近法ではないやり方で、3次元を2次元で表現する手法です。

ですが、ホックニーは、あくまで画像のみを再構築するキュビズムの手法に"時間"の概念を持ち込みました。それが、コラージュ、になるのですが、手法としては、まず同じ風景を分割して写真で撮りまくります。そしてその写真をオリジナルの風景に再構築するのですが、写真を撮っている時刻は明確に異なるので、それを再構築した時点で、1枚の作品の中に"時間"の概念が生じるのです。

例えば、下の”Walking in the Zen garden at the Ryoanji”が分かりやすいのですが、作品の下のほうに自身の足が撮影されています。これは、写真撮影の際の自身の歩みの経過を表したもので、左から写真を撮っていたこと(つまり時間経過)が分かるようになっています。つまり、庭という3次元のモノを、複数の視点から見て得られる画像を再構築して2次元にする、という従来のキュビズムの概念に、時刻の概念を加えることにより、4次元(3次元+時間)を2次元で表現することに成功したのです!

しかも、コラージュを発明した当時、デジカメなどないので、撮った画像をその場で確認できるはずもなく、どこをどのように撮ったかはもはや本人の勘で、フィルムを現像したときに初めてわかる、というもやは常人では出来なことをやっているのです。

ちなみにホックニーによると、なぜそんな表現ができたかは、初めは本人も分からないそうです。で、後でよく考えてみると分かるそうで(恐らくブラックやピカソをマニア目線で、趣味で、研究しまくっていたからだと思いますが)、他のアーティストも同じだろう、とのことでした。

と記載してたら、下を7月からやるみたいです。”Walking in the Zen garden at the Ryoanji”も展示されるそうなので、ぜひ~。


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