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NY発 ジャーナリストによる学級通信

学級通信1号を発行して1年あまりが経ってしまった。その間、コロナ・ウィルスは拡大し、世界は大きく変わった。私も東京でおとなしくしていたのだが、久々にNYに移動し、しばらく住むことにした。果たしてNYは、どう変わったのか。ここから、世界がわかるかもしれない。見えてきたことを皆さんに少しでもお伝えできれば、と思っています。

注)こんなことをテーマにするのが普通の学級新聞と違うところ。詳しくは前回の記事を見ていただきたいのですが、子供たちには地域の出来事だけでなく、グローバルな目で世界を見て、みんなで話題にしてもらいたいというのが、この学級新聞の趣旨です。

茫漠としたニューヨークの年明け

冒頭の写真は、今年1月1日に、去年オープンしたグランドセントラル・ステーションの展望台から見た夕暮れのニューヨーク。今を象徴するかのように、霧に囲まれ、その中でもエンパイアステイト・ビルや、遠くに911同時多発テロから復活したワンワールド・トレード・センターが、暗く厚い雲からてっぺんが突き抜けて見える。古典的な造りで親しまれて来た、このターミナル駅も、隣にガラス張りのタワーが建設され、その対比が一段と鮮やかだ。今や展望台は、新しいニューヨークの観光名所となっている。

右が100年以上の歴史を持つグランドセントラル・ステーション。
その向こうが、新しくできた展望台。いわゆる「サミット」。

また、ここから西へ歩いて30分ぐらいのエリアは、これまで治安さえ心配されていたアブナイ地域だったが、ここも開発が進み、ハドソン・ヤードという巨大ビル群がオープンした。果たしてニューヨークはコロナから復活したのか!

ハドソン・ヤードと言われる新しいビル群

ニューヨークは復活したのか

道はデコボコ、地下鉄はガタガタ。ニューヨークは一体どうなっているんだ、とバイデン大統領が就任早々、嘆いていたものだ。しかし、やればできるじゃないか!とは思ってみたものの、結局、儲かるところにはカネが集まり、そうでない所は取り残されるのがニューヨークだ。先の展望台も上るだけで一人約$54かかるのに、大混雑している。一方、以前、私がよく通っていた朝食を食べさせる街中の小さなレストラン(朝食のエッグベネディクトがおいしかった)は、残念ながら閉鎖されていた。街を歩いていると、イタズラ書きをされ、中が真っ暗な店も多い。

閉店してしまった、お気に入りのレストラン

それでもマンハッタンの家賃は高騰している。大型開発は、もちろんコロナ以前から進められてきたものだが、コロナで撤退した後の空き店舗等は、一部では早くもコロナ後を見込んで投資が進んでいるようだ。世界中のどこからか、余ったカネがここに流れて来る。それに伴い、NYに住み続けていた人々は追い出される。格差は広がるばかりだ。バイデン政権も大型のインフラ投資を行う事になっている。世界大恐慌の最中に、その後、観光名所となったエンパイアステイト・ビルを完成させた歴史を思い出す。
 今、ニューヨークでは、コロナで長い間、閉鎖されて来たブロードウェイが、一度、復活したものの、オミクロン株の拡大で、関係者の間で感染者、濃厚接触者が後を絶たず、一部では、また閉鎖に追い込まれている。しかし最近、ついにニューヨークで感染者が減り始め、もうコロナは終わった、との楽観的な見方も出始めている。ニューヨークにいると、まったくイチかバチか、危険な賭けに巻き込まれている気分になる。

クリスマスのイルミネーションで人気のデパート前

 さて、クリスマスには観光客でにぎわったニューヨークですが、皆さん、街に人が戻っても、一本、路地に入って中をのぞくと、真っ暗なビルも多いんです。観光客が戻ったからと言って、本当にニューヨークが復活したかどうかは、まだまだわかりません。それだけではありません。目を世界に広げると、先進国ではワクチンの接種によって重症化率は減少したものの、ワクチンが行きわたらない国々はどうなっているのか。よく考えてみる必要があります。

 エジプト文明時代から、いくつもの文明の興隆・衰退を見届けてきたカバのウイリアムの目には、今のニューヨーク、そして世界の状況は、どのように映っているのでしょうか。

クリスマス・ツリーが飾られたニューヨーク証券取引所前を歩くウィリアム

 ウィリアムは、古代エジプトに作られたカバの像で、現在、ニューヨークのメトロポリタン美術館に収蔵されています。この名前は、美術館を訪れたある家族が、展示されていたカバの複製を買ってきて、それに付けた名前だそうです。家族で何かを決めるときに、その決定の是非をカバの表情で判断するという話がアメリカの雑誌に紹介され、有名になりました。この日のウィリアムの表情、どう見えますか?私は、このウイリアムと共に、これからも世界を俯瞰して見て行きたいと思っています。


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