一人旅 ふとくちずさむ あの曲は 歩こう歩こう 私は元気

一人旅 ふと口ずさむ あの曲は 歩こう歩こう 私は元気

旅が好きです。1人も好きです。好きと好きが相まって、今までの人生の旅行は、1人旅率90%を誇る1人上手です。
観光も好きですが、基本、日常と違う環境に行きたいだけなので、近場しか行きません。
行き先は温泉ですね。当時は大酒飲みだったので、24時間中16時間は、アルコールが回った状態での旅でした。
(今はお酒辞めました。また今度書きます。)
当時、我が家(実家)が、なかなか大変な状況だった為、現実から、家族から逃げる。そんな1人旅だったりしました。

4月の熱海、この年は寒さが続いて、まだ桜の蕾も硬いまま。

そんな年の3月。付き合っていた人が、急に居なくなりました。

死んでません。一方的に、メールで別れを告げられ、約30回ほど、電話をかけ続けて、2分程の会話でした。

彼「栃木に帰る事になった。寂しくなるから、もぉ会わないで行くね。忘れて欲しいから、飛行機が落ちてオレが死んだと思うようにして。」
オレ「そんなのヤダよ。ちゃんと顔見て話したいよ。」
彼「ごめんね。今から飛行機落ちるからね。。うわぁぁぁ!!墜落だぁー!!」

プツ、、、、、、、

え?今ので終わり?

まさか2年しっかり付き合って、、週に4回は彼の家に通い、風邪が酷い時は病院に付き添って、頻繁にSEXもして。

え?終わり方。寸劇??
どないだよwww


呆れてものが言えないっていう感覚を、教えてくれました。
ありがとうございます。勉強になりました。人生の偏差値、爆上げです。
心に引っかかるものありましたが、自然に忘れるのを待つ事にしました。
どうしようもないからね。。
さて、1人旅は1ヶ月後。振られた(?)記念に丁度いい。
そんな風に思いながら、少し寂しい夜とか、味気ない食事とか、彼に抱きつかれて眠ってた感覚とか、少しずつ少しずつ、赤く腫れたニキビが治る様に忘れて行きました。
ただ、テレビで飛行機を見ると、イヤな感じでした。
何の罪も無いヘリコプターでさえ、嫌いでした。

そんなこんなの1ヶ月。

来たるは現実逃避の1人旅。
熱海あたりは歴代の彼と来ていたので、当然、先日の「飛行機墜落寸劇男」とも来た事がありましたw
しかも2回。
しばらく降りていくと、お寿司屋さんが見えてくるんです。
味も良く、お値段も良心的。お気に入りのお店で、アジと金目鯛、玉子をつまみに、焼酎をお湯割り。ボクの尊敬する俵万智さんに感化されて、焼酎のお湯割り。
これが定番です。
今回も例外無く、アジから始まり、金目鯛、季節の桜エビ、ここまでにお湯割り2杯。
コハダは、皮を下にして握ってもらうと、先に柔らかさを感じられて好きです。
穴子は甘だれ無し、塩が好きです。
お寿司は、ネタの旨味、シャリの香り、ほどけ具合。
それを無言で、誰かとにんまりしながら。食べる。
言葉少ない分、味と幸せを、顔だけで分かち合う時間です。
旅にはまだ先があります。3杯目はお茶にして、芽ネギを最後に一貫。
「最後は魚以外を食べるんだ。口がさっぱりして終われるよ。」
彼がよく自慢していた知識。
食べ物に関しては、ボクの方が100倍詳しかったんですが、お寿司のウンチクだけは負けたくなかったようです。
ボクは5年も前から、シメはカッパ巻きでした。
ただ、とっておきの芽ネギを披露した彼の気持ちを、大事にしたかった。
芽ネギを食べたら長居はしません。
この後は起雲閣によって、ビールを買って、宿に行こうかな。
お店を出ました。ご馳走さまでしたー。

んー。空が青い。
潮の香り。
開ききらない桜の蕾。
なぜここに?と思うジュエリーショップ。

あーあ。あの日と全部一緒だ。彼と一緒に来たんだ。あーあ。。。

涙が出てきます。込み上げるというより、風に吹かれて、前髪が揺れるくらい、自然に。自然に。でも大量に。
そうだった。思い出した。

彼がこの場所で、満面の笑みで、「最高だぁぁぁ!!」って叫んでた。

あー。。。支えてくれてたんだ。あの声が。
本当にツラくて、何度も消えたいと思っていた頃のボクを。

その頃のボクは、色んな事に疲れてしまい、色んな不安に敏感になり、生きづらい時期でした。
外が怖くてトイレから出られなくなったり、夜中に息苦しくなって泣き出したり。。
そんな時期を、一緒に過ごしてくれた彼。
遠くから応援するだけじゃなくて、すぐそこで、くだらない話をし続けてくれた彼。
ボクのくだらない話を、3倍くらい面白く、返してくれる彼。
何より、並んでカウンターで、にんまりしながらお寿司を食べるほど、近くにいてくれた事。

**そんな人がいなくなったんだ。
**

気付かなかったのか、気付かないフリだったのか。
事の重大さをぶち投げられて、脳の奥に直接ぶつけられたようでした。
赤く腫れたニキビは、奥の方まで化膿していたようです。
ココロの奥はボロボロだった様です。

やっと出てきた涙に安心を覚え、ボロボロ泣きました。
はぁー。好きだったんだ。
何の罪もない飛行機、ヘリコプターまで嫌いになり。
やっぱり最後は芽ネギを食べ。
「最高だぁぁぁ!!」と彼が叫んだ声あの瞬間を。
美化する事も無く、そのまま覚えているほど。
好きだったんだ。

今は消えたいと思う事も無くなり、1人でも大丈夫。いや、1人でやってきた。なんて思ってましたが、

消えたのは彼。たくさんの優しさと芽ネギのウンチクを残して。
いつか、墜落したという飛行機から、奇跡の生還を果たし、また「最高だぁぁぁ!!」と叫んでくれる日が来るなら。
にんまり笑いたい。
桜のシーズンが5回過ぎ去った今でも。






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