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「静か」となる618EC商戦と進化する中国マーケティング最前線(1)

去年の派手な巨額の現金ばら撒き施策がピークに、 今年18年目を迎える618キャンペーン施策は表面上やや「静かな」状況を呈する。 ネット人口ボーナスのメリットがなくなった現在、 データドリブンの「プライベートトラフィック重視」への方針転換は、「苦肉の策」なのか、 中国ECの野蛮の開拓期から質的な変化を迎える成長期への「転換の兆し」なのか。 Tiktokなどの「インタレストコマース」の新勢力は、 果たしてアリババやJDのEC帝国を揺さぶり、新時代を築けるかどうか。 今後も注目すべきところであろう。

★2021年618キャンペーンハイライト

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  ■各プラットフォームのキャンペーンスケジュール

アリババは例年より宣伝を早めにし、キャンペーン期間も20日まで延長した。 初参戦のTiktokはインターラクティブの施策とライブコマースを中心としたシンプルな構成で、 あえて山を作らない常時の盛り上げのキャンペーンムードで他と一線を画す。

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  ■各プラットフォーム速報-天猫

・予約販売開始後1時間、1,700個ブランドの取引金額は去年同時期の一日分に達成。  ・Taobao Live配信開始1時間で、Taobao Liveの取引金額は今日年同時期一日分になり、1時間半で20億元を突破。 ・ブランド自身の店舗取引は去年同時期より100%以上増加。 ・88VIPの消費額は前年比+221% ・25のブランドは予約販売の初日で取引額1億を突破。 ・140万個の新商品はこの618で登録され、去年の2.5倍。 ※88VIP:Taobao、Tmall、Tmall国際等で特別価格などでブランド日や生活用品を購入できる会員サービス。

  ■各プラットフォーム速報-JD

・JDインテリアは6月1日10分前の取引は前年比+120%
・JD健康の予約販売は前年比+364%
・JD生鮮食品の予約販売は前年比+156%
・100以上のアパレル旗艦店の予約販売は前年比2倍達成
・JDお酒は17分間で昨年618一日の売上を達成
・当日キャンパスの注文金額は、前年比90%を超えた
・多くのブランドはキャンペーン開始1分間で売上1億を突破、
特に新興ブランドにとって主戦場になりつつである。

  ■各プラットフォーム速報-Tiktok(Douyin)

・douyinで実施したlive配信の総時間は2,852万時間 ・メーカー自身のlive配信総時間は、1,647万時間 ・累積視聴者数:372億人 ・live配信1回につき、取引金額は1,000万元(億突破も含む)のliveルームは153個 ・KOLだけではなく、多くの著名人もdouyinのライバーに なっている。

■初参戦となるTiktok

ショートムービーやライブコマースなどのコンテンツを中心とした「インタレストコマース」の 代表格とした「Tiktok(抖音)」は今年初参戦。 「618良いもの祭」とネーミングし、ブランドライブ、タレントライブ、ショートムービー話題チャレンジなど Tiktokらしさを強調したインタラクティブな施策を展開。

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■ライブコマース連動強化した「618」テレビ特番

恒例のキャンペーン特番も一層各PFのライブコマースの企画連動を強化。 多数のタレントが登場し、オンラインとオフライン&バラエティ番組とライブコマースを融合した 様々なクリエイティビティな企画で、商品のプレースメントを行い、インターラクティブの番組構成となる。

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★618から見える中国マーケティングの注目トレンド

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■静かとなる618キャンペーン

去年のコロナ消費刺激施策で各社100億元を超える現金ばら撒き施策から一変し、今年の各ECプラットフォームの現金ばら撒きキャンペーン宣伝が沈静化し、一段と静かに感じる。その理由としては、ライブコマースなどにより日常の値引きキャンペーンの日常化と、各PFのマス施策からよりクローズドでセグメンテーションされた施策への戦略転換だと思われる。

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■大規模なIMCから精緻な会員マーケティングへ

近年中国のインタネット人口の新規増加率はほぼ0に近くなり、ECトラフィック争奪戦で新規ユーザーの獲得コストもどんどん高騰していく一方である。広告などで獲得する「パブリックトラフィック」(公域流量)の争奪から、会員データやSNSファンなどブランドの「プライベートトラフィック」(私域流量)の活用がここ数年重要視とされてきた。

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■大手プラットフォームのCDP活用で「プライベートトラフィック」の育成に助力

2018年からアリババの「ブランドデータバンク」を初め、大手プラットフォームがCDPの開発・利用普及が進んでおり、蓄積された会員データなどの「プライベートトラフィック」のアクティベーション施策が今年618商戦マーケティング領域の大きなポイントとなる。

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■事例

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<続く>

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