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地下鉄に乗らず御堂筋をわざと歩いて帰ってみるの #この街がすき

地下鉄があまり好きじゃなかったりする。

毎日電車通勤している私。具体的にルートを示すと大阪郊外から難波まで電車移動しそこから大阪のメイン路線・御堂筋線に乗り換えて職場最寄りまで通っている。大阪に勤めている大抵の人はこういう感じで、郊外から大阪中心まで移動して、その後大阪メトロで最寄りまでっていうパターンが多い。

ただ、地下鉄になると一気にテンションが下がる。

というのも、なんかあの暗い空間に居るととてつもなく現実を突きつけられてるような気がして。地下鉄のあの閉塞感がいまだに苦手で。ずっと暗い中北に走ってんのか南に走ってんのかもわからなくなるような密閉空間で、通勤ラッシュのリーマンたちが所狭しと乗っている車両に乗り込むのは、なんともストレスを感じる。

まるで「お前らはこれに乗らなきゃ金を稼げねーんだぞほら乗り込めヨォ」と急かされてるような気がして。ああ、想像するだけで息が詰まりそう。まあ、乗らなきゃ仕方ないんだけども。

あわよくば会社まで、
地上を走る電車でしか通勤したくなかったりする。
そうするには転職するしかないのが残念だが。

だって、地上を走る電車はいいものよ。「そんなこと言ったっていつもみる景色は一緒じゃん」と思うだろうが、それは大いなる勘違いだ。いつも同じ路線、同じ時間、同じ電車。でも、日本には最強の変化要素「四季」ってもんがあるのだ。

朝の光、夜の輝き、全部浴びることができる。景色も変わるから、変化がある。おまけに、春夏秋冬四季の移ろいを体が感じてくれる。夏になれば学校の綺麗なプールや蝉の大合唱。冬はイルミネーション、枯れ木の散歩道、雪へと変わる雨。情緒ってもんがあるのよ地上には。

四季を全く感じない年中冷暖房完備の快適オフィスで働いてると、快適さを得る代わりに自分の感性と人間の本能が腐る気がして、それがどうにもこうにも我慢できない。とにかく、自分の体に変化を与えたくなる。


なので最近、急がなくてもいい帰り道には
わざと御堂筋を歩いて帰ってみている。

考えてみれば御堂筋は歩くだけで楽しい。街路樹は冬になればLEDに照らされ、夏は夕暮れの時間に煌々と輝き出す道頓堀のネオンサインを見ながら酒を飲む。綺麗な路面店のショーウィンドウは夢の玉手箱。ぼんやり眺めれば夢も膨らむ。

「大阪のシャンゼリゼ」とはよく言ったもので、綺麗に整えられた歩道と街路樹のおかげで歩いているだけで映画の主役になれるような、魅力的なストリートだなぁといつも思うのだ。しがない物書き未満リーマンにもひとときのゆとり、そしてラグジュアリーをくれる、それが私の愛する御堂筋だ。

ダラダラ寄り道をしながら30分そこら歩けば、あっという間に1日の目標歩数までクリアする。なんて健康的な通勤だろうか。これはやめられぬ。

これから秋に向かって行けば、御堂筋は銀杏で埋め尽くされ、レッドカーペットならぬイエローカーペットが完成する。買い替えた革靴で主演男優気分で風をきって歩くのを、私は次の楽しみにしている。



おしまい。



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