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詩『number』

上の方に目立つ派手な数字
キラキラと光っている
下の方に埋もれている地味な数字
目に入ることは多分ない
上から下まで比較の世界

ふっと吹けば飛ぶような小さな私
あくせくしながら生きた証が
1から10まで刻まれていく

今すぐこの世界から消し飛んだとしたって
全て無駄だったと思うことは何もない
ナンバーは一つずつ積み重なり
心の片隅から
いつでも私を支えてくれる

何気ない日々のピースの一欠片
心の隙間にぴたりと収まり
綺麗な海を心に作る

そんな小さな波紋が美しく広がって
一つの結晶となってゆく

それが美しいと思えたとき
本当の人間になれた気がする



おしまい。