リストランテ水宮ができるまで
「おなかすいたなあ〜」
が、急に来る。いま?ってタイミングで。
疲れていたり元気がない時でも、立ち上がってキッチンで何か作り始めるという習い。
作り出して3分くらいしたらもう、がらっと気分変わって夢中になってる。
あれをこうして、そうだこれはさんでみたら?じゃホースラディッシュいるよね?
なんてやってるうちにテンション上がっちゃう。
写真は余りもの切って並べただけ。ズッキーニにたらこ載せてオリーブ油少したらり。
美味しい〜❣️
水曜は言わずと知れた土用の丑の日だった。
ヘトヘト&夏ばてT兄は連日冷やし中華リクエストだが、数週間前にOKで買った爆安うなぎを私が楽しみにしているのを思い出したらしく後で慌てて
「にゃ子はうなぎ食べたいんだったよね、晩ごひんうなぎでいいよ」とLINEしてきてくれた。
「おまかせください。冷やし中華とうなぎ、両方ご用意しております。ホテル猫山 敬具」
と返信。
食に関してはコンサバT兄なので、彼に供するものはスタンダードであればあるほど喜ばれる。なので冷やし中華もいわゆる絵に描いたような味とできばえになるよう心がける。例えば具材は均一に切って美しく配置する、器は冷凍庫で冷やしておく、麺は茹でて水洗い後氷水で締めてよく絞る、など。
基本のこと。これは大きな学びだった。だってうちもだけどどこのうちも母ちゃんの作る手料理って、なんか雑だったり妙だったりするもので。成人後外食して最もショックだったのがお好み焼き。
「え?何コレ具がぎょうざの具使ってないよ?あと酢醤油ないの?」と言って同行者を凍り付かせた。実家でいうお好み焼きとはぎょうざの具が余った翌日の敗戦処理を意味していたのを20歳も過ぎてから知ったのだった。
誰でも安心して「あーコレコレ♪」と注文するようなふつうのもの。どこにでもあるような大衆食。カレー、生姜焼き、ハムエッグ、おむすび、パスタ、サンドウィッチ、きんぴらごぼう、ラーメン、マカロニサラダ・ポテトサラダ、蕎麦、そうめん、玉子焼き、からあげ。
これらのものを誰もが「美味しい」と口にできるように作れるか?
実は難易度の高いことだった。
そこへさらに、こっそり私なりの味つけやスタイルを忍ばせた上で「美味しい」と感じさせられるか?
ってハードルがん上げしちゃったもんだから、すごく楽しいキッチンライフになった。
あとはタイムの課題があるが暑さにお尻を蹴っ飛ばされてるので上がってきてます👌うちキッチン爆暑。ヘルズ・キッチン。
【うなぎ・エトセトラ】※画像なし
買ってきた冷凍のうなぎは安いからたれがない。たれは誰でも簡単に作れる。単純そのものの甘めの煮切りに、私は少し味の素振るリュウジ流。これでしょうゆ、砂糖のカドが取れてぐっと美味しくなる。
うなぎ大変美味しかったです😋山椒に加えて、たれをかけない状態でわさびちょい、も、
美味い。
たれが余りました。
翌日もT兄は冷やし中華オーダー。待て待て待てこの1週間ずっとだよ?
冷凍していた豚ひき肉にすりおろし生姜と余ったうなぎのたれを加えて炒り…ここで冷蔵庫内をラクさせる作戦を発動。(これを冷やし中華に後出しジャンケンしてもイケる。)
T兄が好きな既製品の焼き肉のたれ、彼がお夜食のカップ麺に入れようと買って来ちゃったおろしにんにくのでかいチューブ。を投下。
うちの冷蔵庫は156cmの私のバストくらいまでしかない。鬼👹小さい。
仕方がない、もともと当時独り身だったT兄が主にビール冷やすためにしか使っていなかった男おいどんサイズの旧式なんだから。
それでも車は急に止まれない、好みもいきなり変われない。彼もオイラも楽しめるよう、冷蔵庫(名前はゾーイ。昔のBFの本名)も末永く。
ということで庫内を圧迫してる品々をドーンドーンと注入し、日本酒とすりごまと味噌を加えて炒め煮。
茶碗にごひん🍚をよそい、うなたれをかけた上へこの肉みそ的そぼろを載せる。
さらにもらい過ぎてコレも冷凍しつつせっせと食べてるハバネロ🌶️のみじん切りひとつまみ、白髪ネギ(ちゃんと水にさらして水をよく切る)と大葉の千切りを載せる。
にんにくチューブもさらに絞っちゃえあ〜夏休み〜。
食べて衝撃だった。美味し過ぎて死ぬのかと。
T兄にもちっちゃいの出してみる。食欲、ぐーっと出ると思うんだ。
朝はアイスコーヒー、昼はざる蕎麦、夜冷やし中華だけ繰り返してるけど今にひっくり返る。重度の暑気あたりと疲労で食欲不振は仕方ないが、運動量と疲労を補う栄養素がそれじゃ乏しいと思う。ごまやごま油をちょこちょこ用いたり、肉や薬味の野菜を色々変えたり切り方調理方法も味も…まさに手を替え品を替え載せたり副菜で添えてるのは…
ついうっかりつるんと食べちゃったでいい。知らずと栄養素を補えればいい。サプリよりずっと美味しくて効果絶大、しかも安全なのは私の2年あまりの自分人体実験で立証済み。痩せるしね?
【今日のブランチ・納豆のふしぎサンドウィッチ】※画像なし
やる人はよくやるらしい納豆&キムチ。食パン。
庫内で少し渋滞していた。はーい今行くよ〜今誘導するね〜でYouどうするね?
頭に💡点いた。
だるかったのにもうノリノリ。当然いつものようにダンスしつつ。
やってみようじゃん例の納豆キムチってやつ!
キムチは納豆に合わせて刻んでみた。口当たりいいかなって。
あ、これもT兄が食べ渋ってるにんにくの味噌漬け。を少し刻み、味噌少し、
すりごま大1、ねぎみじん。を混じぇて混じぇて。
↓
食パンに載せて、折ってガブリエル。
うっそお〜うめーー❣️
きゃーデロデロたれてきたあ手で受ける。←尾崎放哉。
手指ごとねぶり食べる。パンがセクシー女優のように柔らかくからまりフリッティ。
うまーーいうまーーい❣️私の手とか指もうまーーい❗️インド?幼児?原始?
体が欲しがっていた食材だったことに加えて、未体験の調理と料理と食べ方で全身の細胞がプチプチ音を立ててよろこぶ感じ。
ありがとう❗️ごちそうさまでした❣️
歯を磨いて麦茶で一服。いまは祇園囃子を流してのんびり。
と、思い当たる。
料理、掃除、花を探して歩く、花を生ける、絵を描く、踊る、文章を書くピアノを弾く。
どれも大好きで始めた途端興が乗り上手くなっていき、日ごと楽しさが増してくる。
これらはすべて。
つらくて苦しくて悲しくて寂しくてこわくて死にそうで、ついにバラバラになってしまっていたかつての私。ほとんど死んでしまったもののうちわずかに生きていた破片は、全力で再生しようとしたのだ。それがアート分野の好きなことと、日常で好きな作業、経験ゼロだったのにふとやってみたらできるようになったダンスだった。楽しい、と感じるほどどんなことでも上達できる。たぶんまだまだ伸びるだろう。
つらさ苦しさ悲しみ孤独恐怖、の地獄から私を救い出したかつての私の残骸の生き残りが、いま毎秒自分自身を最高にごきげんにしてくれている。他におすそ分けしてもしてもなくならないごきげん。
いつもはぶっきらぼうなT兄を笑わせてあげたい。ご機嫌取りはやらないけど、私が彼を好きだから。
何十年も心の檻の中でおんおん泣いていた私は、まだやっぱりしばしば心の檻の中に入ってしまうらしい彼にいつも笑いかける。あらゆる方法で。必要に応じて放っておくことも含めて。
何かくれたから、何々してくれるから好き、という観念を私たちは捨てている。悲惨であるほど可哀想で愛しい、という同情の横すべりも捨てた。そもそもそれは好きとは違う。
捨てられたのは望外の幸運だった。私たちは確かに、暗がりの中でお互いを見た。ほんとうのその姿を。そして愛おしく呼び合って、こうしている。
T兄が他の仕事仲間やかつての仲間、そして親友S兄さんには人当たりよくできても一人になると自分にこもりがちになるのもわかった。過去と未来のブルーをつい現在に手繰り寄せてしまうことも知っている。
ただ、味や見目よい食べ物や飲み物を口にしている時、私たちは穏やかにほほえみ合う。
ああ、泣かないで。大好きなひと。泣き顔でなくてもわかる。泣いているのは。
もう苦しまないで。
私まで泣けてきてしまう。
猫の小次郎と私と、今夜はどうやって笑わせよう。
その始まりはいつも、私のソウルをこっそり散りばめた料理とつめたいビール🍺
毎日ヘトヘト&ブルーの彼とごきげん斜めな私がもしぶつかれば大変だから、私も自分のごきげんはしっかり、安上がりでもちゃんと作ったり歌ったり踊ったりして取っておくの。
ちなみに
「1日に何度、笑いますか?」
というストレスを測る質問がある。
私は日に何度か、爆笑する。ひとりの時でも。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?