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エッセイ 散文 日記

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#エッセイ

【#6】霽れを待つ僕/エッセイ

【#6】霽れを待つ僕/エッセイ

 羨ましいと言われる、みずいろちゃんはいいよなって、恵まれてるって、自由で良い人生だよなって、羨ましい、僕みたいになりたい、ここ二、三年ぐらいだろうか、散々そんなようなことを言われる。僕の中の上ぐらいの容姿? あるのか無いのかわからないような才能? 正直で真っ直ぐで素直で純粋で総じて度が過ぎて滑稽な性格? 自信が無いから着飾る為に身に付けたセンス? 自由な生活って? もしかして毎日昼からしか活動出

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【#5】ツキヨミ/エッセイ

【#5】ツキヨミ/エッセイ

——ずっとそうだった、目に見えるものよりも目に見えないものが好きだった。

 小学校の頃、僕は空を見上げるのが好きだった。
 そこに神様がいると思ったから。そうして、地上の景色を見る度に、僕は自分が持っている確かな、無限の可能性と自分が一生かけても知ることが出来ない世界の全貌と、僕が特別だと思っている僕自身が、無限にある世界では矮小なものに過ぎないかもしれないと云う考えを常に思い出して、武者震いを

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【#4】人生の春/エッセイ

【#4】人生の春/エッセイ

 僕の季節は今は何であろうと考えていた。

 僕の人生の季節は春であろうか、夏であろうか、秋であろうか、冬であろうか。

 僕の人生の夏は二十一歳半の頃に過ごしたとある夏の数ヶ月間であったように思う、その夏に出逢った人が僕の人生を変えた。今までの人生は序章の序章に過ぎなかったのだと思った。その頃まで僕が夏だと思っていた季節は夏では無かった、本物の夏は青春の香りと色彩を放っていた。

 人生に運命の

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【#1】自分が介入する余地の無い事柄への口惜しさ/エッセイ

【#1】自分が介入する余地の無い事柄への口惜しさ/エッセイ

僕は時々、生まれた時代を間違えたと思うことがある。

好きな小説家の三島由紀夫や太宰治が僕が生まれるもっと前に自殺して亡くなっていて、感想もファンレターももう本人に届かないとき。

物心がつく前から当たり前のように日常風景に溶け込んでいた『笑っていいとも』が終わる日、新宿アルタ前に集ってタモリさんや歴代いいともメンバーの勇姿を見届けて心の中で「お疲れ様」と「今までありがとう」を伝えられるような金銭

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