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"もったいない人生"って。

■母との電話

週の半ば、離れて暮らす母から連絡が来た。

こんばんわ!
地震の後なんか不穏なんだけどどうしたらいいかしら?

夕食を食べ終えて、ソファでうたた寝をしていた時だった。こんなこと言うのは珍しいから、すぐに電話した。

最近疲れている、仕事で若い子の面倒を見るのが大変など一通り話を聞いた。「夏の疲れがでたんだよ。ゆっくりしなよ。」そう伝えた。

母はその日もばりばりと肉体労働をこなしてきたはずなのに、話す口調は不自然に元気だった。

話は止まらず、母はむかし話をはじめた。最近よく語られる独身時代のはなし。自分はどれだけいろいろな経験をしてきたかということ。

私も1日を終えた疲労感と若干寝起きのために余裕がなかったんだ、と、今になれば思う。繰り返し聞かされて来たむかし話に苛立ってきた。気持ちをやり過ごすためにとった行動は、必殺生返事。

「ちょっとー聞いてるー?」
さすがに、母も何かを察したようだった。
そしてむかし話はこう締め括られた。

「あなたはさ、もっといろいろ行動したらいいのに。もったいないなーって思うよ。」

■母のこと

私は母が好きだ。

人としてとても相性がいいんだと思う。(同じO型だし。)昔からずっと友達のような距離感で接してくれていた。
反抗期はなかった。だって反抗する理由がなかった。「〇〇のほうがいいんじゃない?」とさりげない道を示すことはあっても、「〇〇しなさい!」と道を決められたことはなかった。そこら辺は母は上手かった。

小学1年生の私への意思確認も怠らず、習い事もやりたいと言ったからと環境が許す範囲でやらせてくれた。

学校も習い事も、車での送迎が必須の僻地(地元大好き)での子育ては大変だっただろう。しかも、働きながら。しかも、妹と私2人分。

尊敬と感謝はしてもしてもしきれない。

そして、前述の"むかし話"について。

母は自分のやりたいことをやり切ってから結婚したという自負がある。

母のむかし話を一部紹介する。専門学校を出て、専門職に1年従事した後、興味のあった勉強がしたいとまた学校に通った。そこで知り合った人達と大阪でレストラン経営をしたり、縁あって広島の高校で働いた。日本中、旅行に行った。外人の友達も多く、海外にもよく行った。

そんな母からすると私の人生は"もったいない"らしい。


■私の想い

母からの電話のあと、いろんな感情が私の中に渦巻いた。

なんでそんなこと言われなきゃならんのだという憤り。私の人生を否定されたような悲しさ。もったいないと言われてしまうような人生を生きているという情けなさ。母の経験を羨ましく思う気持ち。行動できない悔しさ。

それらのモヤモヤを通り越して思った。

今度母に会ったときに、怒りではなく自分の想いちゃんとぶつけられるように、自分の気持ちを整理しようと。

まず、母は母、私はわたし。母の影響は色濃く受けて育ってきたし、親子だけど、違う人間。それを忘れちゃいけない。
"もったいない"というのは母の考え。
私が憤る必要は何もない。

2つ目。憤ったということは、図星ということ。行動力の無さは自覚がある。わたしは面倒くさがり。そこは自分の弱さとして認めよう。

3つ目。私が体験していることの全てを母に伝えている訳ではない。18歳で家を出て8年経つ。1ヶ月に一度は実家に帰るように心がけているが、それでもゆっくり話せない時もある。そもそも全てを伝えるのは不可能だ。だから、どれだけ私が日々感動し、楽しかったり嬉しかったり(もちろんそれだけではないけれど)して生きているかを母は知らないのだ。母にもっと楽しい話を発信できたたらいいかな。

最後に、生きていく上で何を大切にしているか。母はどういうスタンスで生きているのか。
これは直接聞いたことがないからわからない。機会があればぜひ聞いてみたい。生きていく中で大切にしていることは何なのか。

わたしは。
人と縁。人が好き。自分1人じゃ自分のカタチがわからない。出会いが人生の全てって結構本気で思っている。私がやりたいことは、誰かが喜んでくれること。旅行もお酒も美味しいものを食べるのも映画館で映画を見るのも、私は絶対1人より誰かとのほうが楽しいし記憶に残る。

社会にでるにあたって決めたことは、大切な人をちゃんと大切にできるオトナになること。
近くなればなるほど慣れとか、いるのが当たり前になってしまう。家族とか特に。

ちゃんと大切にするってなんだろう?って考えた時に出したひとつの答えが、"会いにいく"だった。家族も友達も恋人も私は直接会って、顔を見てその人を感じて話をしたい。
漠然と海外で暮らしたいなと思ったことも無くはなかった。でも、大切な人たちに会えるこの距離の中で生きていようと、今のところ考えている。

■さいごに

ここに吐き出せて、頭の中を整理できた。
学生の時だったら、モヤモヤしたまま終わってた。少しはオトナになれてるかな。

頭でっかちにならず、まずやってみる。
これ、心がけること。

人生良くも悪くも何が起こるかわからない。

だから、したたかにしなやかに迷ったらわくわくする方へ進んでいけたらいいなと思う。

そしてこれからも、母をはじめ、大切な人たちをちゃんと大切にしていきたい。




長くなりました。
最後までお付き合いくださったあなた。
ありがとうございました。

春瀬

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