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連携できないのは、組織の仕組みがないから

記事の更新がだいぶ滞ってしまいました。
その間にも1800名を超す方々にフォローしていただき、感謝しております。

さて、私ごとですが、約13年間務めた会社を4月末で退職し、とある都内にある社会福祉法人に在籍する傍ら、これまでのように福祉経営に関わるコンサルティング業務に携われる環境で働くことになりました。
新たな環境とはなりますが、より現場に近い環境に身を置きながらも、客観的な視点で福祉現場が抱える悩みや実態を踏まえた記事をアップしていきたいと思います。

4月末で退職と書きましたが、4月に入ってから前職の有給休暇を消化しながら、新しい職場で働いていたのですが、2日目あたりから前職では当たり前だったことが、「福祉の常識、世間の非常識」と揶揄されるような違和感を感じ始めました。

福祉現場で働いている方からすると、そんなの当たり前と思われるかもしれませんが、逆に言えば、客観的な視点で現場を見れる立場なので、その違和感に気づけるかどうかが、経営課題や業務の効率化を進められるかどうかに影響するのではないかと感じています。
その状況を改善するだけでも業務改善や労働環境の改善につながるのではないかと思っています。


さっきまでいたけど、どこいった?

私の仕事場は特養内の事務所です。
施設長や事務長、生活相談員、ケアマネジャー、管理栄養士、機能訓練指導員などの介護・看護以外の多職種と一緒に仕事をしているのですが、知らない間に多職種の皆さんがいなくなっているではありませんか…。

前職ではGoogleのカレンダー共有と"LINE WORKS"で誰が、どこで、何をしているのかを共有できていたため、ほとんどお客様訪問をしていた私のスケジュールありきで、社内メンバーとの打ち合わせの日程を調整をしたり、お客様から電話がかかってきても然るべき対応(返事)が出来ていました。

朝礼では各自の予定を口頭で共有はしているものの、突発的に現場に行かないといけないこともあり、「いつ相談の時間をとってもらえるだろうか?」「あいにく席を外しているため、折り返しさせていただきます」といった対応を余儀なくされています。

前職では研修講師を務める中で、「良い組織をつくるためには多職種連携が要です!」「加算を算定するには多職種とどう連携取れているでしょうか?」と言ってた立場でしたが、現場の実態として、目の前に多職種はいるものの、連携するための組織的な仕組みに脆弱さがあるのではないかと感じたのです。

可視化しなければ、共有できない

そこで、まず取り入れたのが前職でも使用していた"LINE WORKS"です。
"LINE WORKS"でなくても、いわゆる組織を管理するツールとしてのグループウェアだったらなんでも良いと思います(使い勝手や特徴など細かい違いはあると思いますが)。
現在は多職種に限定し、日々の情報共有とカレンダーの共有を中心に活用しています(ちなみに無料版です)。

私も施設の中にいる日と他法人のお客様訪問のスケジュールとが入り混じっているので、シフト表はあるものの、施設の方に迷惑をかけてしまう可能性もあるため、"LINE WORKS"にスケジュールを入れて、共有できるようにしています。

介護支援ソフトにも掲示板機能やスケジュール管理機能が含まれているようですが、特に重要視したのは「どこでも情報を共有できる」こと。
介護支援ソフトの掲示板機能やスケジュール管理機能では、施設のパソコンの前にいないとソフトを起動することが出来ないため、「どこでも情報を共有できる」という要因を満たすことが出来ません。
将来的な在宅勤務の可能性も視野に入れながら、施設にいなくても「どこでも情報を共有できる」体制を構築していきたいと考えています。

私は個人のスマホに"LINE WORKS"のアプリをダウンロードし、「どこでも情報を共有できる」にしていますが、他職員さんも同様にしている方がいます。
業務とプライベートの線引きなどの課題はあるものの、そこは自己管理してもらうことを前提に導入を行いました。

「申し送りノートに手書きしていたことがLINEで共有できるようになって楽になった」
「出勤途中に情報を確認することができるので時間を有効活用できる」
「休日でも、隙間時間に情報共有できるので便利になった」

職員さんからも好評の声をいただくことが出来ました。
お休みの時は確認しなくても、他者がフォローできるように"LINE
WORKS"を導入したので、業務上の多職種連携が機能し始めました。

アジャイル的運用で組織へ段階的に浸透させる

ソフトウェア開発において「アジャイル」というキーワードがあります。
アジャイル(agile)とは直訳すると「素早い」「機敏な」「頭の回転が早い」という意味。

アジャイル開発(アジャイルソフトウェア開発)は、現在主流になっているシステムやソフトウェアの開発手法の1つで、『計画→設計→実装→テスト』といった開発工程を機能単位の小さいサイクルで繰り返すのが最大の特徴です。 優先度の高い要件から順に開発を進めていき、開発した各機能の集合体として1つの大きなシステムを形成。
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素早くリリースしてからブラッシュアップしていくことが可能。つまり、サービスインまでの期間を短縮することができ、ビジネスのスタートを早めることができます。

モンスターラボ

福祉・介護現場の意思決定には時間を有するケースが多く、導入するまでに数ヶ月かかってしまうなんてことはザラなので、私の座右の銘「やってみなはれ(やらなわかりしまへんで)」精神で、とりあえず導入して、何か不具合があれば、その都度、短期間で修正やルールを決めていき、組織全体に浸透させていく手法を取りました。

導入にあたっては、多職種ごとにログイン・パスワードのやり方をレクチャーし、グループトークやカレンダーの活用を促し、とりあえず触ってもらうことを1ヶ月間進めてきました。
今ではさまざまな情報が共有されつつありますし、案件や担当者ごとに別のグループトークを立ち上げ、前職のような「どこでも情報を共有できる」環境を構築することが出来ました。

ちなみに2日程度で導入することが出来ましたので、皆さんの施設でもグループウェアの導入を検討されているのであれば、サクサクっと導入してみてはどうでしょうか。

なお、現在は多職種に限定して運用していますが、

①"LINE WORKS"を見る習慣が現場職員にない
②ずっとPCの前にいないのでタイムリーに返信できない
③確認できる端末をPC以外に職員が業務用に携帯しているスマホや記録を入力する用のタブレットでも確認できないか

といった現場に導入する上での課題や運用上の注意点に関する意見も収集できつつありますので、現場への"LINE WORKS"の導入も1ヶ月中には完了できそうな予感がします。

共有する仕組みにより"暗黙知"から"形式知"へ

今回"LINE WORKS"を導入してことにより、多職種が積極的にグループトークを活用し、どんどん情報共有をしてくれたことがターニングポイントになりました。
どう言う意味かというと、「多職種=1人もしくは少人数」のため、介護職とは情報共有したり、呼ばれて現場に行くことはあっても、多職種同士が利用者や家族、サービスに関する情報を互いに共有するってことはケース記録で確認することはあっても、その都度共有されるってことはなかったのではないかと思いますし、確実に1日に共有する情報量は増えたのではないかと感じます(私も利用者の顔も名前もわからないなりに、共有される情報をなんとか整理しつつ、反応できるように奮闘中です)。

これは、”ナレッジ・マネジメント”のSECIモデルに当てはめれば、”暗黙知から形式知への置換(①共同化→②表出化)”へ変わった瞬間でもあります。
せっかく専門性の高い知識や経験値、ノウハウがあっても、共有する仕組みがないために、ずっと”暗黙知”の状態から抜け出せず、会議の中では必要最低限の発言はするものの、気になっていたけど他者をフォローするまでには至らなかった状態だったと思います。

”LINE WORKS”を導入したことで、”暗黙知”を共有できたことで”形式知”へと変わり、多職種同士で”形式知”の獲得と統合が進んだことで”③統合化”に至ったのです。まだ導入して1ヶ月程度なので、本当の成果が現れるのはもう少しかかると思います。ゆくゆくは”④内面化”まで行けば、多職種連携がなお一層進むと考えています。このように、多職種連携を機能させるためには、"ナレッジ・マネジメント"のプロセスが必要だということです。

福祉・介護業界の「多職種連携」がこれほどまでに"言うは易し、行うは難し"ことだというのは、現場にいるからこそ感じることができた実態でした。

今後は研修でも「多職種連携」と言うキーワードを用いるとは思いますが、真に機能させるためには一筋縄ではいかないということを肝に銘じて発言するようにします。

管理人

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