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後に日本推理小説の四大奇書と言われている本の作者との出会いから・・・。


2016年に『涙香迷宮』で「このミステリーがすごい!」2017年国内編第1位に選ばれ、2017年には同作品で第17回本格ミステリ大賞を受賞した竹本健治さん。

竹本さんと初めて会った時のことを電子書籍『きっかけ屋アナーキー伝』にはこう書いている。

本日のBGMをバックにお読み下さい。

【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第67回】


どこからも執筆の依頼がないんですか? ~竹本健治さん~

 ある日編集プロダクション「綺譚舎」の秋山協一郎さんが「推理小説雑誌「幻影城」に一年間連載された新人の小説がすごいって噂ですよ」と耳元で囁いた。
 神保町の『幻影城』編集部でその小説が連載されている11冊をまとめ買い。正月三が日をかけ1,200枚のその大長編を読破した。
 オモスゴイ!
 のちに小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、夢野久作の『ドグラ・マグラ』、中井英夫の『虚無への供物』にくわえて四大奇書と称されるようになった『匣の中の失楽』の衝撃は大きかった。
 超弩級新人に各出版社から執筆の依頼が殺到していることを覚悟しながら竹本さんに会いにいった。
 「有り難うございます、『匣の中の失楽』を最後まで読んでくれたのは磯田さんで4人目です」
 大柄でのほほんとした竹本さんからこの言葉を聞いて拍子抜けした。
 「え? どこの出版社も原稿の依頼にこないんですか? 次回作は書いていますか?」
 「いえ、なにも依頼がありませんので」
 「今はなにをしていらっしゃいますか?」
 「いや、別になにも。アルバイトをしてます」
 「??????????」
 「CBS・ソニー出版という新参の出版社ですが、新作を書いていただけませんか?」
 「いいですよ」
 竹本さんからすんなり小説執筆の許諾をいただいた。
 素人出版プロデューサーの初仕事だ。
 打ち合わせを重ね竹本さんがもっとも得意とする囲碁を題材にした推理小説を書いてもらうことにした。
 1980年に発売した『囲碁殺人事件』は評判も良く、重版も重ねて1万部を超えたので、『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』と続けてゲーム探偵シリーズとして刊行した。
 竹本さんとの付き合いがきっかけとなり、後に綾辻行人さん、我孫子武丸さん、歌野晶午さん等々「新本格派」として売り出された作家マネージメント業務へと繋がっていくのだが、それはまたあとの話。
 竹本さんからの紹介で「幻影城」から単行本として一度発売されていた連城三紀彦さんの『暗色コメデイ』を発売し、その後雑誌連載後単行本化の決まっていなかった新井素子さんの『扉を開けて』、栗本薫さんの『魔剣』、佐々木譲さん初の書き下ろし長編小説『振り返れば地平線』、鴻上尚史さんの書き下ろしエッセイ『嘘が大好き』などをプロデュースして、CBS・ソニー出版から発売した。

竹本さんや友成さんはスプラッターものやゾンビ映画が大好きでぼくはほとんど興味がないけれど友成さんのことは鮮明に覚えている。

ぼくの頭の片隅には「そんな体験をした人を他には知らない人名録」があって友成さんはそのリストにしっかり記録されている。

友成さんはモノホンのアル中だった。

正確に言えばぼくと出会った時には無事現世に帰還していた。

一番ひどい時には丸々一ヶ月間の記憶が失くなっているんです」という話にビックリしたので、早速リストに加えさせていただいた。

友成さんとは最近Facebookで再会してネット上でお友達づきあいをしている。

彼がバリ島に住んでいることや福岡の実家に時々帰ってくることや電子書籍で本を読みまくっているなどの近況も読んでいる。

Kindleからのお知らせメールでKindle Unlimitedのリストに友成さんの「世界無頼旅 友成純一エッセイ叢書 (3)」を見かけたので早速ダウンロードして読み始めた。

テンポも文体も軽やかで読みやすくてすいすい読める。

“まえがきに代えて”を読んでいたらこんなことが書いてあった・・・。


最後までお読みいただき有難うございました。

この続きはまた明日。

明日もお寄り頂ければ嬉しいです。


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2002年から書き始めたブログ「万歩計日和」です。




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