世の中に蔓延しているほとんどは二流だというのは言い過ぎだろうか・・・。
2018年7月28日。
フランスでピアノ教師をしているYさんという方からメールをいただいた。
突然のメールを失礼いたします。
インターネットでお名前を拝見して、もしやと思い、メッセージさせていただいております。
私はY.Nと申します。
昭和30年代に大田区の久が原5丁目にすんでおりましたが、お隣に「磯田」様というご家族がいらしたのですが、もしかしてその磯田様でしょうか。
間違いでしたら、大変失礼いたします。
Y.N
【きっかけ屋☆映画・音楽・本ときどき猫も 第8回】
こんなことがあるからネット時代は面白い。
5丁目に住んでいた磯田ですと返信すると彼女から再びメールが届いた。
大分前に昔のオープンリール時代の録音テープがあって、私が学生時代にそれをカセットテープにダビングしてありました。
(ですからその時点ですでに、40年以上前ということです。)
内容は、昭和30年のはじめ、私が赤ん坊の時に、我が家にあった録音機(父は最新のものが好きで)でみんなで遊んで録音したものなのです。
そこに秀人さん(失礼ながら、そう呼ばせていただきます!) と兄・Nなどが登場してそれは面白いテープです。
ただし現在テープも劣化しているだろうし、私が勝手に触るのも怖いです。
秀人さんにもぜひ聞いていただきたいのですが、どうしたものかとも思っています。
(レアです!!)
彼女はその後友人がデジタル変換した20分ほどの音声をメールに添付して送ってくれた。
部屋の奥にあるテレビからは1958年に東京で開催された第三回アジア競技大会の中継が流れているのが生々しい。
ちなみにマニラで開催された第二回アジア競技大会の経緯はNHK大河ドラマ『いだてん 東京オリムピック噺』でも語られた。
彼女の兄妹と一緒に物珍しいオープン・リールのテレコで遊んでいる自分の声としゃべり方には本当にビックリした。
(同じ頃に発売されているオープンリールのテレコです)
ぼくはこんなにお調子者だったんだ。
この頃から落語が好きだったんだ。
シャイなくせにきっかけがあると人を笑わせようとするこどもだったんだ。
とても感謝していることを返信メールでフランスの彼女に伝えた。
それにしても改めて思うのは、62年前に書いた作文を幼馴染みからメールで送ってもらったり、61年前の話し声(を録音したテープ)が外国から届くことがあるなんて、いったい誰が想像しただろう。
いろんな驚きや感動が待ち受けているもんですね人生は。
多くの感動と出会う楽しみを放棄して、食わず嫌いになるのはもったいない。食わず嫌いになる原因はホンモノを味わったことがないからだとぼくは思う。
外見、匂い、雰囲気に惑わされたり、中途半端なものやマガイモノを経験するから嫌いになる。
ものごとを縦に分けて好き嫌いを決めるのではなく、横に区切って一流のモノや人に目や耳を向けてみるといい。
世の中に蔓延しているほとんどは二流だというのは言い過ぎだろうけど、想定できる枠組みを超えた発想ができる人やモノにぼくは惹かれる。
人で言うとグレン・グールド、ジェリー・ガルシア、マイルス・デイビス、ザ・ビートルズ、アストル・ピアソラ、パコ・デ・ルシア、カルロス・クライバーなど。
彼らが超がつく一流だということに異論はないと思うが、ミュージシャンの名前ばかり出てきたのでここでちょっと音楽の話を。
ぼくは1963年、高校一年の時に出会って以来ジャズが大好きだ。
今は色んな音楽や音楽についての情報があふれているしお蕎麦屋さんでジャズがBGMで流れていたりするので昔とは大分事情が変わってきた。
若い人はポップスもジャズもへだてなく聴いている。
ジャズが嫌いとまでは言わないけれどちょっと難しそうな音楽だと思って避けている人が以前はかなり多かった。
音楽はその名の通り音を楽しむものだから難しいとか勉強しなければいけないものではないのだがジャズやクラシックはポップスと比べて演奏時間が長い。
その曲の由来や演奏家の解釈の仕方に馴れ親しむことにより楽しみが倍増することは確かだ。
一曲の時間が短いポップスはラジオやテレビに流れた時一瞬にして聞き手の耳を傾けさせなければならないので、のっけから勝負に出る。
ヒット曲を出すために色んな細工をして毎晩ラジオの深夜放送を駆けずり回っていた1970年代の面白話は『きっかけ屋アナーキー伝』に書いた。
この頃の時代の雰囲気を伝えてくれるのがこの本だ。
ジャズをちゃんと聴いてみたいと思っている人や、ジャズってどんな音楽なんだろうと思っている人に聴いてもらいたい一枚、いや一曲がある。
その演奏が収録されているレコード(CD)のことを書こう。
この続きはまた明日。
世の中の全ては三つに分けられるというお話です。
明日もお寄り頂ければ嬉しいです。
連載第一回目はこちらです。
ここからご笑覧頂ければ嬉しいです。
第1回 亀は意外と速く泳ぐ町に住むことになった件。
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