アフターコロナ、パラダイムシフト
「業務に支障のない人間は、原則自宅勤務を引き続きお願いします。」
リモートワーク中の営業部会議で、所属長は言った。ハングアウト越しの音声は聞き取りずらかったが、この言葉が胸に刺さった。
そっか、私の業務は、おうちにいながらでも出来る業務だったな。そっかそっか、なんだか目から鱗。気づいていたけど、知りたくなかった事実を突きつけられた気分。私は会社に出勤していなくても、業務に支障がないのか。
(もちろんこんな状況下でなければ、そんなことはないんだけどね、もう少し忙しいはずだ私)
なんだったんだ?私の4年間は??
私は、端的に言うと、とあるコンテンツを世に出すとある会社の一員だ。
プロフィールでは「広告」とごまかしているが、本当はコンテンツを保有する会社。
「会社の一員」と表記しているのは、私はコンテンツを作成する部門に所属していないから。そのコンテンツをセールスするセクションで4年間働いている。
コロナ騒動の最中、薄々気づいていた。私が会社に出勤していなくとも、私の愛するコンテンツたちは世の中に発信し続けられている。(こんな状況だからいつまで続くか分からないけどね)コンテンツを発信する優秀な社員たちが私の会社にはいるのだ。私はその組織の一員なのに、会社に行かなくても業務に支障がない。悔しい。
今の状況で、営業として売り上げを積むことは困難を極めている。得意先に行くことも不可能だし、在宅でする営業の外回りの仕事は、作業でしかない。早く得意先に「まいど!」と顔を出したいし、得意先の悩みを聞いて、私もおもろい土産話をしたい。それで、いい関係築いて、いい提案をするの。それが私の仕事だ。だけどそれが出来ていない。
営業の仕事は私に向いていないと思っていたが、それなりにこの仕事のルーティンワークが体に沁みこんでいることに気がついた。恥ずかしい。私はやっぱり営業マンだったんだな。
営業行為を制限され、自宅で勤務する日々が続くと、考え方が変わってきた。
将来私はどうやって生きよう?
どこに住んで、どんな仕事をして、誰と過ごして何を食べようか?
私はこれまで仕事にかなり熱中していたようだ。仕事での自己実現が、生きる目標の全てだと思っていた。ところが在宅勤務により使わなくなった通勤時間を使ってインプットを増やす。つまんないWEB記事のインプットでもどんとこい。考えることを増やす、というか時間があるから、自然に考え事する時間が増えている。
なんだ、仕事だけが自己実現じゃないんだ。
どんな花買って、どんな本をどんな風に並べるか?そんなことも、自己実現の一つなんだ。そこから生活は始まって、私の日常を作っていく。
リモートワークは働き方改革だと思っていたが、生き方改革だった。
この一ヶ月で物事を見つめる私の見方は変わった。人に対して想像力を持とうとしているし(そもそもなかったのか、問題だな)そして何かを守るように、生きることにした。自分一人が地面の上に立っているのではなく、まず人を立たせることを考えようと思う。
営業をしている場合ではないが、仕事もそんな風に、まわりに気を配れるような役回りを演じよう。まずは演じていいよね、そしてそれが自分そのものになればいいよね。
コロナが終わって世の中が落ち着けば、もっと見え方は変わるはず。今まで通りの業務量が目の前にやってきても、それに対峙する私そのものの考え方も変わっているはず。
多分だけど、大切なことに気づきつつあるから、今。私。
私の中でパラダイムシフトを起こしたコロナ、
多分だけど、世の中をもう少し変えると信じている。
それまで皆さんどうかご無事で。
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