クレームも計算済み!アパホテル成長の戦略とは?
「私が社長です!」
アパホテルを始めて知ったのは、駅前にドカーン!と掲げられた、アパホテル社長、元谷芙美子さんの顔写真の看板でした!
「え~!何故この方の写真を!?」
という衝撃と共にすごく記憶に残ったのを覚えています。
今、もうその看板を見掛けることはないので、20代以下の方はご存じないかもですね。
そもそも社長さんの写真が載ったホテルの広告看板なんて見たことなかったし、印象的な帽子をかぶった、美人とは言い難い社長の顔写真。
(失礼とは存じながら当時の印象をそのまま書かせて頂きました)
でもこの仕掛け、戦略の意味や価値を知ったのは、後に元谷社長の講演を聞いた時でした。
🔶「JAPAN」の真ん中3文字「APA」は日本一!
アパホテルは今年、50周年!
ホテルグループは、全国最大となる662のホテルで客室数10万超え、売り上げは、2019年には1300億円(2020年904億)に達する勢いです。
1971年5月、創業者の元谷外志雄氏が北陸で住宅販売、不動産業のデベロッパーとして展開した後、1984年にホテル事業に参入した企業。
「APA」とは、”Always Pleasant Amenity”の頭文字をとっていて、”いつも気持ちの良い環境”という意味だそうですね。
さらには、「JAPAN」の真ん中の3文字でもある「APA」。
「日本の中心として頑張っていこう」という意味も!
これ、幕張にある、アパホテル&リゾート東京ベイ幕張のお手洗いに貼ってあったポスターで知りました。
また「APA」という名前は外国の人にとっても読みやすく、覚えやすいですね。
もちろん日本人にとっても。
「JAL」「ANA」のような航空会社の表記も、空港の「KIX(関空)」「HND(羽田)」「HNL(ホノルル)」もアルファベット3文字です。
🔶クレームからの顧客獲得戦略!
私も当初、「私が社長です」の看板を見て衝撃でしたが、元谷芙美子社長が、帽子に派手なスーツやミニスカートという姿で、新聞広告やメディア、TV番組にもどんどん出て行く姿に、「不愉快だ!」などのクレームが本社に殺到したそうです。
でも、それに対しての対処法は、
「ご気分を害して申し訳ありません。お詫びに割引券をお送りします」
のような対応。
その後の出来事、イメージ出来ますよね。
「折角、割引券もらったんなら行ってみるか」
「へ~、結構いいじゃないか!大浴場もある!また来よう」
あの、インパクトあり過ぎの看板で強烈な印象を残し、クレームを言ってきた人も顧客にしてしまうとは。
そして、こんな出来事があったら、ついつい、人に話してしまいますよね?
数多あるホテルの中で、名前すら憶えてもらっていない、つまり選択肢にも入らないホテルよりも、まず、知って覚えて頂きたい、という広告塔戦略だったんですね!
創業者である夫の元谷外志雄氏から、ホテルの経営を任された芙美子夫人。
「お前、社長やれ。ホテルでお客をもてなすのは女将や」
ということで1994年、アパホテル社長に就任されたそうですが、その決意の表れだったんだな、と今になって思います。
🔶変形地を格安購入!
1984年12月、アパホテル1号店が誕生。
ホテルにとって、立地選びは重要です。
実はアパホテル東京進出は、変形地に建てられたホテルからスタートしたというんです。
変形地とは、きれいな四角、長方形ではない、いびつな形をした土地。
以前TBSの番組「つぶれない店」でアパホテルが取り上げられていたのを覚えてますが、中には、L字だったり、卍のような形だったり、まるでテトリスの駒のような形の土地も!
都内の候補地を見に行った際、他にも見に来ていた人達は
「こんな変形地は無理!」
と、次々に帰って行く中、元谷社長は即決し、購入したそうです。
変形地は、相場の1~2割ほど安く購入することが可能。
例えば新宿御苑付近の土地ならば、本来40億円する土地が変形地では32億円と、その差8億円にものぼります。
その分を次の土地購入の費用に充て、チェーン展開をスピードアップしていく、という戦略。
確かに、今までに見たアパホテルも、大通りに面した入り口から見たら、さほど大きく見えなくても、実は中に入ってみると大規模で、別の通りに面したところにも入り口があるとか、見たことある~!
「ハッ!ここにもアパホテルが出来てる!」
気が付いたらあっちこちにアパホテルが誕生してた、というのもしばしば。
ある程度の部屋数の大きいホテルなら、事前に建設中の広い敷地を見て、
「あら!ここは何が出来るんだろう?」
と気が付くはずが、アパホテルの場合、特に都市部であるほど、
「え!いつの間に!?」
というのは、その理由もあるかもしれません。
もちろん、変形地ともなると、設計の難しさ、北側斜線のルール、建築法、防火・防災など、様々なリスクも伴います。
でも、アパは元々不動産業で得意とする分野だからこそ、出来た技なのでしょうか。
また、オーナー自ら土地を選定し、その場で即断即決して土地を購入できるスピードもその強みだといいます。
🔶「新・都市型ホテル」でいいとこ取り!大浴場のすごいメリット
シティホテル、ビジネスホテル、旅館と、用途によって使いわけが普通。
でもアパホテルは、「新・都市型ホテル」なんです。
✅シティホテルの要素
立地、外観、エントランス、ロビーなどの利便性やクオリティ
✅ビジネスホテルの要素
企業が出す出張料金の相場約1万円に合わせた料金設定
✅旅館の要素
お部屋には折り鶴が置いてあったり、落ち着く「和」のテイストを散りばめ、300室以上のホテルには大浴場を設置
ビジネスマンにとっても、足を伸ばしてゆったり入れる大浴場は嬉しい!
しかも、大浴場を利用する宿泊客は、お部屋のユニットバスは使わないケースも多く、清掃もシンプルになって1室あたりの客室清掃時間も短縮し、稼働率アップにもつながるんだそうです!
どひゃ~!
【温泉・スパ特集】大浴場がある65のアパホテルから15ホテルを地域別にご紹介(公式HPより)
アパホテル&リゾート東京ベイ幕張の大浴場は、以前行ったことがありますが、大きかったな~!
🔶会員カードの始まりはアパホテルだった!
今では当たり前のホテル会員カード。
実はこのシステムは、アパホテルが創業当時に初導入したものだというんです!
仕事でホテルを使う場合は会社の経費。
でも、「ホテル選びはビジネスマン次第」という事に着目し、会員カードでポイントが貯まり、宿泊料金の10%をキャッシュバックするシステムを導入したそうなんです。
そう!現金で!
5万使えば5,000円のキャッシュ!
普通は無料宿泊券などを渡してリピートを狙いそうですが、あえてキャッシュで渡して飲み代など自由に使ってもらう、その満足感がポイント!
ホテル業界では、企業が副業でホテルをやっている、というのも多いといいます。
でも、アパホテルは1号店からチェーン展開をする方針だったため、とことん「リピーター戦略」にこだわりまくった戦略だったのですね!
🔶料金の変動制もアパが初!
年末年始、GW、お盆、クリスマスなどに旅館やホテルの料金が高くなるのは、今や当たり前。
この料金の変動制「レベニューマネジメント」は、航空業界で既に導入されていたもので、それをホテル業界で初めて採用したのがアパホテル!
しかも、アパでは、各ホテルの支配人が周辺のイベント・催事などの情報を得て料金を設定しているんだそうです!
あらま~!
🔶「集団」から「個」、おひとり様へシフト!
最近では修学旅行でも一人部屋で宿泊するという学校も多いそうです。
昔は、広~い和室に布団を敷いて、夜は枕投げして怒られる、という構図でしたが、随分と様変わりしているようです。
アパホテルでは、世の中の「集団」から「個」への変化をとらえ、おひとり様利用の方に焦点を当てた戦略を取っています。
そのポイントとなるのが、高機能・高品質・環境対応型の3つ。
✅高機能
卵型ユニットバスを使用することで湯量20%をカット!
定量止水栓を設置して無駄を省き、CO2を削減。
✅高品質
オリジナルベッド「クラウドフィット」を開発!
雲の上の寝心地で入眠スピードをアップ!
✅環境対応型
おひとり様向けで必要以上に広くないお部屋でエアコンの効きもよく、1室あたりのエネルギー効率がいい。
40型以上の大型TVとゆったりベッド、スイッチ類は全てベッドから手が届く範囲で完結!
CO2の排出量は、一般的な都市型ホテルの3分の1!?
照明等のスイッチや携帯電話の充電コンセントなど必要な機能をコンパクトにまとめて、ベッドに寝ながら必要な操作ができるようになっています。
🔶満足度がリピーターを作る!
アパホテルのリピート率は約70%!
また、その予約は、その90%以上がインターネット経由。
元谷芙美子社長の戦略通り、日本国民でアパホテルを知らない人はいないでしょうし、選択肢に入るどころか、泊まるならアパ、と決めているリピーターも多いでしょう。
アパホテルグループ社長の元谷一志さんは、人は、得た満足度でリピーターになるかどうかが決まる、とおっしゃっています。
🔶1棟ごと1改善のイノベーションポイント!
662にものぼるアパホテルは、1棟建つごとにイノベーションポイントを加え、それを全国のスタンダードにしていくのです。
✅Wifiの設置
✅作業がしやすい明るさ
✅ベッドの上にシーリングライトをつけてベッド上でも仕事ができるルクス
✅USBの充電ジャック設置
など、一つのホテルで改良して良かったものは、次に建設されるホテルから採用。
古いホテルを改築する時にももちろん導入してどんどんそのスタンダードが上がっていくんですね!
古いホテルに行くと、ベッド周辺にコンセントがない、少ない、USBジャックない、で不便を感じることがあるし、自分でたこ足にするためのトリプルタップを持ち歩いたりしてます~。
🔶客室稼働率105%ってどういうこと?
ホテルが満室、ということは、稼働率100%、ってことですよね。
でも、アパホテルでは、105%だというんです。
「え!?どういうこと?」
実は、前の客のチェックアウト後~次の客のチェックイン前、の時間を使った、日帰りサービスを提供することで、1部屋を1日で2回転させているから、というんです!
日帰り入浴プランが作れるのも、大浴場を併設するアパならでは!
確かに、夜からのチェックイン、早朝出発、あります、あります。
1日に1室1回転、という常識にとらわれない考えが1部屋を2度売りすることを可能にして全体的な稼働率をアップ!
🔶アパホテルを見下ろすアパホテル
新大阪駅から見えた超高層の「アパホテル」。
「ん!?アパホテル!?」
「確かあそこに建ってたホテルはWBFホテルじゃなかったっけ!?」
そうなんです!
2020年1月に開業したWBFホテルに、昨年食事に行ったんです。
最上階のレストランからの眺めが素晴らしく、屋上にはおしゃれなルーフトップバー!それが。。。
「いつの間にかアパホテルになってる~!」
実は、今年3月にアパホテルが買収してました~。
早速、アパになったホテルの32階のレストラン「KIRAKU 楽(がく)」にランチに行って来ましたが、このレストランのブルーのインテリアが好き~☆
残念ながら、屋上の超かっこいいルーフトップバーはクローズ中でしたが、また行ける日を楽しみに。
新大阪駅周辺には、既に2つアパホテルがあるんです。
🔵アパホテル新大阪南
🔵アパホテル南方駅前
アパホテル新大阪駅タワーからは、2つのアパホテルが見下ろせちゃうんですよ。
なんだかその光景にすごくAPAの力を感じたのでした。
そして、当然、この新しいホテルでも新しい試みが!
✅アプリチェックイン専用機を導入
完全非接触による「待たない」「並ばない」チェックインを実現
✅チェックアウト処理の自動化
ルームカードキーを投函するとリアルタイムでチェックアウト処理が行われるエクスプレスチェックアウトポストを設置。(特許出願中)
🔶100年後でも変わらないものは?
人には未知のものを見たい、知りたい、という欲求があります。
アパグループ社長元谷一志氏は、100年後のことを聞かれた質問に対し、こう答えていらっしゃいます。
「体験型ビジネスはなくならない」
海外旅行に行けない昨今でも、オンライン旅行が増えていたり、なかなか実際には行けない人でもVRで体験出来る旅行もありますよね。
今回、アパホテルのことを色々知るうちに、また泊まりに行きたくなりました。
視点が変わると見えるものが変わって面白いですね!
⭐⭐戸川みゆきのインスタグラム⭐⭐
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