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食事療法スタート

味覚改善

父が退院したその日から、私の食事療法が始まりました。
胃がんの原因はピロリ菌と言われますが、長年の食生活や生活習慣も無関係ではないでしょう。
我が家は基本的に和食中心で、母も料理は得意な方。
家庭での食事内容が悪かったとは思えませんが、何と言っても父は昭和から平成の時代を生きてきたサラリーマンです。現役時は接待に会食に忙しくて、胃腸への負担が長年続いていた可能性は否めません。
孫が生まれると同時にタバコはすっぱりやめ、お酒もそれまでよりは少なくなりました。
ただし外食で培われた嗜好のせいか、味付けは濃い目が大好き。すでに味がついているお浸しや塩分の多い焼き魚にも醤油をかけてしまうほど。
まずは、この味覚から改善しなければいけません。

こんな時、持つべきものは友人だとつくづく思います。
自分の親も癌だった、あるいは自分自身が癌を克服したという友人たちが、食べ物では何が良いか、そして今後どうすべきかをいろいろ教えてくれました。
同年代の友人たちが結構な確率で家族のガン闘病を経験していることに驚きましたが、それぞれ説得力があり、心強いことと言ったらありません。
彼女たちの助言や、自分で調べたことを総合して、下記の5つのポイントにたどり着きました。

⒈塩分を減らす
⒉添加物や化学調味料を避ける
⒊四つ足動物(赤身の肉)は食べない
⒋とにかく野菜を積極的に摂る
⒌一度の食事量を少なくして回数を増やす

父の場合は胃の出口が狭くなっているので、最初は消化に良いものを少しずつからスタートです。
抗がん剤の副作用で、ただでさえ食欲がない上に薄味のものばかりで、ますます食欲が低下するのは必至ですが、仕方ありません。
最初の1〜2週間は必要なカロリーをフルーツや補助食品で補いながら、お粥と野菜、豆腐や白身魚を中心に。補助食品は栄養士に勧められた市販の栄養剤でも良いのですが、私は父の好きな「はったい粉」(おちらしとも言います。北陸育ちの70代は子供の頃のおやつだったそうです)や、ベビー用おやつ(卵ボーロや赤ちゃんせんべい)、フルーツゼリーなどを準備しました。
そして飲み物は緑茶か番茶。高カロリーの甘酒(飲む点滴と言われる)もほぼ毎日。
毎食何を食べたのか写真を撮って、体重、体温、お通じの状態、体調に関しての全てを事細かに記録しました。
何よりも、本人が本気で治したいという意志のもと、素直に私の食事を受け入れてくれたことは幸いでした。毎食、時間が来たらしっかり食卓につくことができ、多少残すことはあっても、吐き戻すことは一度もありませんでした。

私の課題

こうして闘病食に取り組みつつ、他の家族は肉も食べたいし塩分も欲しいので、必然的に二種類の料理を毎食作ることに。
これは正直言って、キツい。
でも母に手伝ってもらうのはどうしても抵抗がありました。
実の母娘だからこそ、一つのキッチンを共有することは不可能と思ったのです。
中途半端に一緒にやると、どうしたって冷蔵庫の使い方から食材の選び方まで、意見が分かれて衝突することは目に見えていたので。(私自身、相当頑固ですがそれを生んだ母も相当なもの。出来るだけ事務的に合理的にと言っても、いったん衝突すると大変な状態になる事は間違いない)
ただ、母もそろそろ年齢的に家事を全て賄うことに疲れていたのでしょう。多少の葛藤はあったようですが、意外にもすんなりと交代に応じてくれました。

同居し始めてからのここ数年、一切家事をしていなかった私にとって、三食プラス闘病食だなんて、本当は無理難題です。ピアノの練習と一緒で、料理の手際の良さだって、ブランクが開けば本来ならリハビリが必要なのですから。
父の闘病食は夜寝る前に仕込んでおき、他の家族の分は朝早くに夕食の分まで下ごしらえするなどして、要領良く時間を使えばいいのだけれど、やはり体力的に結構シンドイと感じました。
せめて、夕食の後片付けは手伝ってほしい・・・と、家族にもできる家事の協力をお願いして、やってもらっているのに、どこか落ち着かなくて常にイライラするのを抑えられませんでした。
忙しくなったから、というより、もっと根本的なところでいつも不安が渦巻いていたのです・・・。

そんな私に対して娘が、ズバッと
「何よりもまず、ママにはやることあるんじゃないの?」と。
・・・そうなんです。
実はビビリな私は、胃カメラを想像するだけで恐ろしくて、これまで検査を避けてきました。しかし、父の胃がんが発覚した以上、子である私自身にもリスクはあるわけです。
娘から、
「自分と同じ思いを私にさせたくないなら、ちゃんと検査して」
と言われてしまい、とうとう3月下旬、45にして初めての胃カメラ検査をすることになりました。


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