2023年 読んで面白かった本
⚠️ネタバレ注意⚠️
こちらは昨年の記事です。
📖小説
G.オーウェル「一九八四年」
エンターテイメントとしても面白い一冊でしたが、「言論」や「国家」について考えもさせられる小説でした。
現在進行形で、オーウェルが書いた世界と同じような国家があるということに、この小説の真の意味があるかと思います……。
村上春樹「女のいない男たち」
映画「ドライブ・マイ・カー」の原作も収録された短編集です。『イエスタデイ』の木樽はなかなか味わいのあるキャラクターでした。
『木野』は村上春樹らしい、ホラーとファンタジーの中間にあるような怖さ。
遠藤周作「海と毒薬」
九州大学生体解剖事件をモデルにした、「神を持たない」日本人の倫理観について書いた一作。「いかにモラルは静かに崩壊するか」ということに実感し、背筋に冷たいものを感じる小説でした。
G.ガルシア=マルケス「百年の孤独」
これぞ「マジック・リアリズム」! 昔から挑戦したいと思っていた作品でしたが、ついに読むことが出来ました。
スケールはデカいし、内容は奇妙奇天烈摩訶不思議ですが、ブエンディア一族のバイタリティーにぐいぐいとい引き込まれていきました。
K.ヴォネガット「スラップスティックーまたは、もう孤独じゃない!」
“ドタバタ劇”というタイトルに相応しい、圧倒的な展開の小説。「タイタンの妖女」以上についていけない部分もあった反面、なんだか楽しくなってくるシーンも多かった。
副題の「もう孤独じゃない!」劇中に度々登場するが、なんとも朗らかな勇気が湧いてくるフレーズである。ハイホー。
📖ノンフィクション・エッセイ
石井妙子「女帝 小池百合子」
ベールに包まれた現東京都知事の、その向こうにある衝撃の経歴を明かした一冊でした。読んでてかなりの回数、「おい、マジかよ……」と思う箇所がありました。
平成以降の政治動静を振り返りつつ、そのなかでいかなる道を歩んだ結果、小池百合子が現在の立場に「登りつめたか」を圧倒的な取材量で迫る重厚なノンフィクションでした。
J.バグスター「フェリーニ」
年初に早稲田松竹で大好きな『8 1/2』を再び観た結果、自分のフェリーニ熱が再燃。noteにフェリーニ映画のシリーズを書くべく読んだのが、この一冊。
「映像の魔術師」について文章で読むのはなかなか大変でしたが、知らないことも山ほどあり、あらためて「巨匠」の偉大さの深淵に触れられたと思います。
立川談慶「談志語辞典:立川談志にまつわる言葉をイラストと豆知識で「イリュージョン」と読み解く」
こっちは落語界の巨匠。談志にまつわる得意ネタ、名言、信条、かかわりのあった人物などもキーワードを、あいうえお順に深堀していく面白い視点の本でした。
結構「談志本」は好きで、何冊も読んでいるんですが、これは特にとっつきやすい本だったかなと思います。なにより著者の師匠愛が文面からにじみ出ているのも、いいところ。
松本人志「「松本」の「遺書」」
松ちゃんの伝説のエッセイ、「遺書」と「松本」を一冊の文庫にした本。別の本とごっちゃにしていて、自分のなかでずっと読んだと錯覚していた本。
ネット上にある「松本の名言」の多くの原典を知れました。ちょっといまよりもトゲトゲしつつも、令和でも通じるバラエティ・お笑い論の数々でした。あと松ちゃんが描くイラストが、文章と対照的にかわいい。
📖野球
加藤弘士「砂まみれの名将 野村克也の1140日」
野村本は数多くあれど、ほとんど語られなかったシダックス時代にフィーチャーした一冊。「こんな面白い題材、なんでいままでほったらかしになってたんだ……」という感想。
自ら「月見草」と称し、華やかさとはまた違う部分から野球を突き詰めた名将の、社会人野球という世界でどう指導したかを知れました。
近藤唯之「プロ野球トレード 光と陰」
まるで講談や浪花節のような、「濃い」野球のエピソードが詰まった。近藤唯之の熱い一冊。その文体をなんとなくで「食わず嫌い」してしまっていたのですが、ほかの作家には出せないオンリーワンの迫力をひしひしと感じました。
なかには少々”盛った”話もあるようですが、あの文体で野球を表現できるのは、近藤唯之、ただひとりなのである。
📖マンガ・画集
林静一「赤色エレジー」
昭和マンガの名作。はかなくも美しいラブストーリーに沁み入りました。幸子も一郎も自分の生活で手一杯で、気持ちはすれ違うばかり。なんだか「不器用な男女の恋物語」に年々弱くなっているような気がします……。
いしいひさいち「ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ」「花の雨が降る ROCAエピソード集」
破壊的ナンセンス4コマの鬼才による、また別ベクトルの才能をありありと見せつけられた同人マンガ。
ATG映画のようなカッコ良くもさみしさのただよう青春ドラマを、『ののちゃん』や『がんばれ‼︎タブチくん』と同じ質感をもって表現できるマンガ家はそうそういないはず。
「中原淳一画集」
美術の「ビ」の字もわからないみやまるが、この夏、中原淳一の絵の持つ美しさと凛々しさに突然目覚め、この画集以外にも「それいゆ」に関する本を買うなど、どっぷりハマりました。
眺めているだけで、背筋がピシっとし、色気のある生活をしようという気持ちになる絵だと思います。
📖同人誌
三ル貝/他「大喜利合同誌ExTVol.1」「大喜利合同誌ExTVol.2」
大喜利界の絵回答マイスター、三ル貝さん主催の同人誌。大喜利に関するマンガが集まっています。「大喜利」という狭いテーマでもここまで描く人によって、視点や捉え方が変わってくるんだなと、どちらの本でも感じました。
三ル貝さんは、同い年かつビートたけしと中島らもが好きという共通点があります。(私が言うのも生意気ですが……)大喜利プレーヤーとして目指したいひとりです。また打ち上げ行きましょう!
たさゴー本舗「第十一回 大喜利帝王賞」
こちらはステイゴールドさんが主催するたゴー本舗による、同人誌上で行われる大喜利の大会。みやまるもプレーヤーとして参加しております。
大喜利を募集開始から結果発表までを非常に長いスパンで行う、異色の大喜利が楽しめましたし、思いのほか善戦した自回答もありました。
ステイゴールドさんといえば、(爆笑問題カーボーイのほうの)初代M-1王者。ジョンソンともゆきさんと並んで、数少ない大喜利を始める前から存じ上げていた方でもあります。EOAの会場で「みやまるさんも、最近JUNKで(ネタメールが)読まれてるじゃないですか」と声をかけていただいたのは、めちゃくちゃうれしかったです。ありがとうございました。
シバノソウ「1月/January」
これは4月に足を運んだ、シバノソウ監督の映画上映会で買ったフォトエッセイ集。大学生としての日常あり、新人映画監督としての挑戦記でもあり、「サブカル」を論じたりするのを、喜怒哀楽に満ちた写真とともに読むことができました。
デビュー時中学生だったの彼女も、2024年にはデビュー10周年。……時間経つの早すぎるだろ。そしておめでとうございます。
💻2023年に読んだ本の独立した記事
赤瀬川隼「さすらいのビヤ樽球団」(再読)
村上春樹「風の歌を聴け」(再読)
アントニオ猪木「猪木詩集『馬鹿になれ』」
来年もいい本にいっぱい出会えますように!
……よいお年を!
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