見出し画像

任せる、でも見守る 覚悟(vol 182)

性善説と性悪説

孟子荀子が中国で大昔に唱えたと言われます。
欧米では、ダグラス・マグレガーが1950年代に唱えた「X理論とY理論」があります。

ここカナダでも大半のマネジャーは言葉としては、知っているようです。
どちらの考え方が正しいとか間違っているといったものではありませんが、こうした視点についての議論はあまりなされていないように感じます。

議論がない一方で、私の拠点のマネジャー達の議論を観察すると、性悪説やX理論の視点に偏っているように感じます。
「やってもらおう」「任せてみよう」「自負や誇りに期待する」といったトーンよりも、「〇〇するかもしれないからXXの管理が必要だ」「XXを防止するルールがないと実行できない」といった見方からの議論が中心です。

私自身の拠点運営スタイルは「性善説寄り」だと思っています。
私の考え方が甘い、という方がいるかもしれません。
私の視点とマネジャー達の基本姿勢が異なることが多くて、私の視点から観ると、どうしても「冷たい議論が中心」になっているように感じるのです。
これは、カナダだから(お国柄)?、拠点の文化の特質(拠点特有)?、それともたまたま、似た価値観のメンバーがマネジャーになったから?日本本社の文化が移植された結果?もう少し広い観察が必要だろうと思いますが、まずは、私の価値観をマネジャー達にぶつけてみようとしたのが今回の社内ツイートです。

権限委譲を進めようとすると、相手を「信用」して任せることになります。
一定のルールや背景の共有が必要にはなりますが、最後は関係者、チームメイトを信用するしかありません。
とはいえ、一人ひとりのTM全員との信頼関係ができているわけではありません。

結果、
  「任せるけれど放置しない」
といった姿勢覚悟して前に進むのです。

チームメンバー(TM)が
  「まだ未熟だから」
  「過ちを起こすかもしれない」から
  「管理ルール」がないと任せられない
とのアプローチはリスク管理重視の観点では正しい方法かもしれません。
他方、TMに「故意にトラブルを起こす」人はいないと信用して任せてみるけれど、マネジャーとして、ミスが起きないように見守りを続ける。こんなアプローチも長期視点、人材開発の観点としては必ず必要です。要はバランス。

それぞれの考え方やアプローチには必ずトレードオフの関係が存在します。だからこそ、時々「議論してみる」姿勢も必要だと考えています。

Inherently Good & Inherently Evil
How much do you put credibility in people to do their jobs?
If you stand on the theory of inherently evil, you can't delegate authority but will try to control it.
If you want to leave the job, you have to stand on the theory of inherently good.
Even if we trust people and leave them to work, they may make "errors" or "mistakes".
Consider that risk and don't leave unattended them even if you delegate.
Credibility and relying on should be considered separately, and work should be delegated with keeping an eye on it.
I think this is one of the ways to be prepared when delegating authority based on the inherently good theory.
性善説と性悪説
あなたはどれくらい人を信用して仕事を任せていますか?
性悪説に立つと、管理することばかりを考えて権限を委譲できません
仕事を任せようとすれば、性善説に立つ必要があります。
人を信用して仕事を任せたとしても、「ミス」や「まちがい」を起こすかもしれません。
そのリスクを考えて、委譲したとしても放置してはいけません。
信用と信頼は別に考えて、見守りながら仕事を任せる。
これは、性善説に立って権限委譲するときの覚悟の一つだと思います。

権限委譲は難しい、失敗した、といった話を聞きますが、だからと言って全ての事態を想定したルール設定は難しいでしょう。
組織のトップとして「コンテキスト共有に力を注ぐ必要があります。
また、権限委譲と丸投げ(責任放棄)を混同してはいけません。

「権限委譲」を念仏として唱え始めて感じるのは、情報共有を面倒がらず、見守りを続けるには結構エネルギーが必要と言うこと。「覚悟」が必要です。

覚悟を持って性善説で対応する。
そんな拠点長を目指しています。
最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?