遠い記憶 三十話
その頃の母は、お前は片輪だから、まともな所には行けないのだから、
この言葉が口癖の様だった。
何故、そこまで言えるのか。
言われる度に、自分を否定された様な惨めな気分になる。
それでも、反抗はしなかった。無駄な事と知っていたからだ。
そんな時、時々今の主人から電話が来る様になった。
お茶でもしませんか?
映画でも観ませんか?と言う様なお誘いだったと記憶している。
それが、デートと言う物だったか今でもその認識は無い。
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