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短歌

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#現代口語短歌

八月の自選短歌⛺️

じゃがりこを咥えて差した方角にあるのがじゃがりこ美味しいね座

君にしか出来ないことと似た意味で君の周りにしかいない人

いま誰の人生に加担したんだろう都会を歩くのは難しい

あ、左頬を掻いてる。記憶とは僅かな音ではじまる世界

しりとりのために覚えた街だった こんなに美しいとは知らず

パフェグラスに盛り付けましょう私だけ思い出と呼んでいた出来事も

七月の自選短歌🍑

お金では買えないものを考える 君に会うには飛行機がいる

レジ袋お付けしますか その調子 いまあの人のこと忘れてた

レジ袋お付けしますか 助手席に座ってるのは愛人ですか

未来っていつからだろう どうせこのカルピスを飲み干すのは私

思い出の亜種が横切ることがある一人で都会を歩いていると

レジに立つ君は友達ではなくてどこにでもいる店員だった

連作「23卒」

パンプスで走れるようになった頃お祈りメールに泣かなくなった

やりがいを感じましたで締め括る(大事な思い出なのに)苦しい

十五分早く終わっただけなのに絶対落ちたと思ってしまう

働いている人ばかり 私だけ自動ドアが反応しない

祈るなら本気で祈れこの先の未来を共に生きるのだから

立ち上がる私のために買い足したパンツスーツで向かう面接

いま生まれた短歌

こんな日のためにスタバはあったんだフラペチーノと混ざる寂しさ

僕だけがタネを知らないマジックのように進んでゆく学級会

アンパンマン、新しい一人称よ!俺様、アンパンマン!本当に?

初恋は二十五階の橋田くん【開く】に背伸びすれば届いた

各停を選ぶ日もあるあなたから届いたプレイリストの為に

ケーキ屋が乱立してる町があり夢は叶うと鳴く鳥がいる

私だけ思い出せないことがあり例えばディズニーシーの

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五月の自選短歌🎏

「コンビニ」が指すのは角のローソンでしかない町で二十二になる

ありきたりな日々に僕が含まれているとわかった 三マス進む

あなたとの記憶の底に紫陽花が咲いてしまって手が届かない

車窓から届くひかりのいくつかがあなたのようで捉えられない

全米が震えてる間に私らは遠い方のコンビニへ行く

四月の自選短歌🎒

メリーゴーの合図で君は駆け出して世界が丸いことに気が付く

この日々を照らす或いは燃やすための炎を少しずつ集めてる

副題のような喫茶店に来てあなたは春の一節になる

ショッピングモールに生まれたかったの 空が見えない街に降る雨

コーヒーを小さな闇として飲み干した 東京に白夜が来る日

元クラスメイト以外の呼び方をOK Google教えて欲しい

三月の自選短歌🎓

なみだっていちばんちいさなうみだからかんじょうというさかながおよぐ

私たち、にはならなくて思い出の中のあなたを笑わせている

二重窓を叩いてくれた人がいる全ての過去を武器にして立つ

新しい顔のあなたがこれまでのことを忘れてぼくを助ける

イヤホンを外して驟雨 目の前の全てをジョークと思って笑え

二月の自選短歌🍫

いま月が笑ったねって言ってみるあなたと同じ場所を見たくて

肉眼で見たことのないものばかり好きになるから不安になった

ごみ箱を飛び越えた先の未来がごみ捨て場でも生きる覚悟

ごみ箱もおしゃれな部屋でハーブティー飲まずにずっと頷いている

遠吠えのようだね「メッセージの送信を取り消しました」ばかり続いて

私なら諦めていることで傷付いているからあなたは強い

連作「ガム」

友達から貰ったお題で詠みました☁️

絶対に当たりが出ないフィリックスガムを三割引きでどうすか

ドラえもんが中古で買える時代でもガムは吐き出す以外出来ない

なんとなく持ち帰ったガムシロを積んであなたの横顔に似る

チューイングガムで世界を救いたい 洋画のノリで高く飛びたい

焼肉屋で貰ったガムが美味しくてさっき言われたことを忘れる

連作「ごみ箱」

友達から貰ったお題で詠みました☁️

ごみ箱を飛び越えた先の未来がごみ捨て場でも生きる覚悟

ごみ箱に入れた瞬間ごみになるなんて素敵なシステムでしょう

ごみ箱を抱えて校舎裏へ行く上履きで踏む花びらはきれい

ごみ箱があふれかえっている部屋で丁寧に撮影するケーキ

ごみ箱になった段ボールが天地無用を主張し続けている

ごみ箱もお洒落な部屋でハーブティー飲まずにずっと頷いている

ごみ箱と理解してい

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一月の自選短歌🍲

雨よりも先に生まれた傘だから太陽と少しだけ話せる

けどそれが遺影になって誰にでも微笑むようになったあなた

ごめん 君からの手紙を君よりも大事にしてた十年だった

宛先のない祈りでも地平線に届いて朝を呼びますように

くもりのちあなたの傍で昔見た景色を歌にしながら進む

12月の自選短歌♨️

二ページで滅んだ国の詳細を語る教師を信用してた

双子には生まれなかった弟と同時にお茶を飲み終えること

街中の梱包材を買い占めてあなたにも愛 あなたにも愛 

その日だけ買ってしまったじゃんけんで得た権限を覚えていない

そういえばLOVEと入れてたメルアドに届く不幸のメールの続き

私の身体が島になる時に生まれる浅瀬 生まれる孤独

通販のお礼に載せた短歌🏙

『雲海ギャルズの課外学習』を通販で購入していただいた方にランダムで添えた短歌をまとめました☁️

君がよく眠れるように選ばれた羊は優しいことだけ喋る

スケールのとても小さなヒーローとしてまず拾うそこのレシート

そういえばLOVEと入れてたメルアドに届く不幸のメールの続き

その日だけ勝ってしまったじゃんけんで得た権限を覚えていない

旧姓を持たない人が歩いてる分岐点のないような道

あなたって

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11月の自選短歌🍠

語呂合わせばかり覚えて戦争が起きた理由は曖昧に書く

泣かないで ポンデリングがポンとデとリングになって旅に出ちゃうよ

乗り換えの要らない街に住んでいてあなたを送る理由に迷う

太陽系から書かないと届かない年賀状を束にして出す

録画するのはやめたけど途中から結局観てしまうドラえもん

道徳の授業が全部なくなってみんなで体育祭の練習

通過した駅の全てに日常があること 例えば煮物の匂い