面白い本・好きな本|芸術の世界を覗いてみる?[秘境の藝大、群青の漫画、楽園のカンヴァス]篇
古代日本の色の概念は、4原色だった
その色とは「赤」「青」「黒」「白」の4つ。なぜなら、この4色だけは形容詞としても使える色だから。
「赤い」「青い」「黒い」「白い」
「黄い」と言わないし、「緑い」とも言わない。形容するときは「黄色い」「緑色っぽい」と“色”をつけて表現する。さらに、2つ重ねて表現できるのもこの4色のみ。「真」をつけるのもこの4色のみ。
「赤々と」「青々と」「白々と」「黒々と」
「真っ赤」「真っ青」「真っ白」「真っ黒」
紅白が対の概念になったり、緑のネギを青ネギと言ったり、真っ赤な太陽といったり、腹黒いと言ったり。。この4色が日本語の中に頻繁に出てくる理由がわかり、妙に納得。
気がつけばもう9月。
芸術の秋に向けて、芸術の世界を“色々”のぞいてみるのもいいのでは?と言う話。
ヒトとチンパンジーの芸術比較
天才チンパンジーや、天才オランウータンは絵を描き、天才ゴリラは手話を覚える。では、ヒトとチンパンジーは、同じ芸術センスがあるといえるのか?
顔のないチンパンジーの絵を3歳児のヒトとチンパンジーに渡してみる。チンパンジーは顔の輪郭をなぞり、3歳児のヒトは描かれていない目や口を描き出す。
ヒトは見えていないものを描く「想像力」がある
見えているものを描くチンパンジーと、見えていないものを想像するヒト。その「想像力」の集大成が「文明」となり、その蓄積が「文化」となる。
と、いうことで芸術の世界を覗き見るにはちょうどいい本を3選。ノンフィクションと漫画と小説。
色々な本で、芸術の世界を体感する、読書の秋。
最後の秘境 東京藝大
天才たちのカオスな日常を描くノンフィクション
美術と音楽。同じ芸術だと思っていた二つの芸術が、まったく別物であることがよくわかる面白い本。
「写真を撮った」と言う時に、音校は演奏会の宣材写真。対して、美校はあくまでもつくった作品の撮影となる。自分自身が作品となる音校に対して、あくまでもモノが作品の美校。
それはキャンパスのあり方にも現れる。厳格なセキュリティに管理された音校の校舎に対して、まるで町工場のような美校。きれいな身なりで楽器を片手に颯爽と闊歩する音校の学生と、ペンキや泥や木屑にまみれて、全身ボロボロの寝不足姿の美校の学生。。洗い物さえしない人と、なんでもDIYしてしまう人。
King Gnuの井口が学生だった時に、偶然取材されていることでも有名な本。
ブルーピリオド
大学受験や大学で美術を学ぶ、青春群像漫画
何話目の記載だったか忘れたけど、すごく印象的な言葉。吟味して、検証して、繰り返す。表現することの難しさが、嫌と言うほど伝わる質問。。
建築を生業をしているので共感するところも案外あるし、藝大出身者も身近にいるので、より臨場感をもって楽しめる作品。まだ連載中の漫画なので、この後どうなるかはわからないけど、とてもいい漫画。
ちなみに、YOASOBIの「群青」は、このブルーピリオドがきっかけでつくられたもの。
楽園のカンヴァス
アンリ・ルソーとピカソが生涯抱えた秘密とは‥‥。
著者の経歴に裏打ちされた物語は、説得力抜群。
大原美術館が出てきたり、谷口さん設計によるMoMAの建て替えもポイントになっていたり。現実ともリンクしながら進むストーリーは、どこまでが事実で、どこからが著者の創作なのかもわからなくなるほど、リアリティのある展開。
なんだかウディ・アレンのミッドナイト・イン・パリをもう一度見たくなってしまう小説。
とてもおすすめ。
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