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物理標問 1日1題 標問5

🐬2021/04/01(木) 更新しました(解答例PDF追加、記事全面リファイン)🐬

受験生の皆さまこんにちは。2020年8月6日(木曜日)、本日も物理標問1日1題のお時間がやってまいりました。本日は標問5となります。
それではさっそくはじめていきましょう!



✅ note記事によるオンライン指導「物理標問1日1題シリーズ」。標問1~標問10は記事見本として無償としています。
✅ 物理標問1日1題シリーズは全ての記事を改訂していく予定です(全問題に対して私のオリジナル解答例PDF追加、記事全面リファイン)。


【はじめに】

当連載を楽しむにあたっては物理標問 六訂版が必須です。まだの方はこちらからご購入ください。重要問題が厳選された素晴らしい問題集です。


【標問5】

【教材】私のオリジナル解答例です

※ 入試問題原題に対する解答例ですので設問番号が標問の番号とは異なっていることをご了承ください。(適宜読み替えてください)


✅ 教材は必ずファイリングしていってください。物理標問の特別解答集が徐々に出来上がっていきます!


■ 出典について
2000年度(前期) 京都大学 第1問 です。


■ 出題テーマについて
「二体問題 3次元バージョン」です。2次元の二体問題はよくあるのですが、難関大学(東大、京大、東北大など)では3次元の二体問題もよく出題されています。


■ (1)(イ)について
問題文に従ってまずは床に対する小球の速度を求めます。
解答例PDFに書いておきましたように、
① 速度の合成
② 相対速度

の2つの考え方があります。どちらの考え方でもいいですが、①の考え方のほうが高校生の皆さんにとっては直観的でわかりやすいかもしれません。
床に対して速度Vで進む水平型エスカレーターの上を、水平型エスカレーターに対して相対速度vで歩く人を想像してみてください。床に対するこの人の速度はV+vとなります。


■ (1)(ロ)について
Y方向の運動量保存則を書き下します。運動量保存則は床に対する速度で立てるのが原則です。

運動量保存則は「はじめ=あと」の順番で書くのが自然です(左辺が「はじめ」で右辺が「あと」)。ただし、はじめが0の場合は「あと=0」と書くことも多いです。

右辺の小球の運動量と台車の運動量のどちらを先に書くかは悩むところですが、原則として私は小球の運動量のほうを先に書くようにしています。
小さいものを先に書くのがおすすめです。小さくてか弱いものが先。レディーファーストは世界の常識です。(なんだその例え?)


■ (1)(ハ)について
標問の解答ではA=ΔV/Δtのように学習指導要領に従ってΔ記号(差分記号)を使っていますが、普通に微分記号を使ってA=dV/dtとしてよいでしょう。高校物理ではなぜか微分禁止令が発令されているようですが、そんなの知ったこっちゃありませんわよ。

【結論】微分積分、いい気分🎵 (←セブンイ〇ブンのリズムで...)


■ (2)(ニ)について
x方向には力は働いていません。0です。


■ (2)(ホ)について
慣性力の考察がポイントです。A>0であることがわかるので(∵台が小球から受けている力NのY成分はNsinθ>0)、小球には-Y向きに大きさmAの慣性力が働きます。解答で描いた図は左向きの矢印で大きさmAとしてあります。

慣性力が出てくるということは、加速度Aで運動する台車に乗った観測者から見ていることを意味します。問題文では「斜面に固定した座標系に乗って小球の運動を考えよう」と書かれています。


■ 運動方程式の書き方について
運動方程式はma=Fの順で書くのが通例です。
もし皆さまの中でF=maの順で書いている人がいらっしゃいましたら、この機会にma=Fの順で書くように直してください。


■ (2)(ヘ)(ト)について
これはただの計算です。
「gsinθ」をくずさないように配慮して最終解答としておきました。

計算するとay<0となるので一安心です。もしもay>0となったらどこかで計算ミスをしていることを意味します(逆に言えば、計算ミスと気づけます)。
このように計算結果の妥当性を都度確認しながら問題を解き進めていけば、雪崩的に詰むことは避けられます。


■ (3)(チ)(リ)について
等加速度運動の式を書き下してしまえばいいでしょう。


■ (3)(ヌ)について
t=2Tのときにy=0になるとして立式しました。先ほど求めたyの式がそのまま使えるので、これが出題者の想定している解法だと思います。

別解として、最高点でvy=0になるとして立式する方法もあります。解答例PDFに青文字で書いておきました。

標問の解答例ではyを平方完成して強引に(?)解いていますが、極度の緊張を強いられる入試本番で平方完成するなんて私には怖くてできません。計算ミスする未来しか見えません。そんなの絶対イヤなので私はできるだけシンプルな解法を選びます。申し訳ないけど平方完成は却下とさせて頂きます💦。

■ (3)(ル)について
台車の加速度Aがわかっているので、V=A・2Tと計算します。


■ (3)(ヲ)について
慣性力の考察がポイントです。(5)と同様に図を描いて加速度0の運動方程式を立てます。力のつり合いの式とみなしてもいいでしょう。


■ (4)(ワ)について
台車の力のつり合いの式を立てます。加速度0の運動方程式とみなしてもいいでしょう。


■ (4)(カ)について
(ワ)の結果からわかります。計算から答えを出せるのは当然として、学習が進んで物理の構造が見えるようになってくると計算なんかしなくても「小さい」のがアタリマエに見えるようになります。このステージに辿り着けると時間制限のある試験ではやっぱり強いです。
似たようなことは我らが物理神のSND😎先生も仰っておられたと思います。


■ 総評
二体問題3次元バージョン(2次元的斜面をもつ可動台上での小球の運動)の問題でした。相対速度、運動量保存則、運動方程式、放物運動の理解が問われました。難関大学では3次元の二体問題もよく出題されるのでしっかりと事前準備をしておきましょう。

《今回の演習を通して学んで頂きたいポイント及びアクションプラン》
①「速度の合成」「相対速度」について教科書参考書で確認しておく。
② 位置の時間微分が速度、速度の時間微分が加速度であることを理解する。
③ 運動方程式はma=Fの順で書く。(F=maとは書かないこと!)
④ 運動方程式で加速度0の特別な場合が力のつり合いの式。
⑤ 3次元の二体問題は慣れも重要なので余力がある人は類題を見つけて演習しておく。


🌟 3次元の二体問題として「2021東大物理対策シリーズ 問題演習96」もおすすめですのでよろしければぜひどうぞ。



今回の記事は以上となります。
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このたびは当記事をご支援頂きまして誠にありがとうございました。

ー 物理標問 1日1題 5日目 完 ー


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