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シュトーレン観察日記①

毎年この時期にパン屋さんに行くと、『シュトーレン予約受付中』なんて書いてあって、あぁその季節か、なんて思う。シュトーレンとはドイツの菓子パン。ドイツではクリスマスまでの準備期間(アドヴェント)の4週間かけて、少しずつスライスして食べるのだ。一度普通にスーパーとかで売られている物を食べたことがあるが、あまり美味しくなかった。硬いしパサパサしてるし。ただ、私は無類のドライフルーツ好きなので、ドライフルーツが入っているという一点においてずっと気になる存在ではあった。
何年か前に友人とシュトーレンの話になって、その子は毎年決まったパン屋さんで予約して食べていると聞いた。私は以前食べたパサパサのやつしか知らなかったので、「美味しいの?」と聞くと「美味しいよ」と。「何日もかけてちょっとずつ食べても、まだ美味しいの?」と聞くと「美味しいよ」と。普通に考えたら、それは無い。パンを買ってきても美味しく食べられるのは最長で3日。ひと月もかけてチビチビ食べてもまだ美味しいパンという物を私は想像できなかった。

先週お気に入りのパン屋さんでパンを選んでいたら、そこに「シュトーレンを取りに来ました〜」というお客さんが来た。そのあともたて続けに2組、やはり予約していたシュトーレンを取りに来た。私以外の世の中の人々はクリスマスシーズンにはシュトーレンをチビチビ食べているのだな。そんなに美味しいのか?それともノリか?シュトーレンを供する私ってオシャレ、的な話なのか?

‥とは言ってもそれでもやっぱり気になる。ふとパンの棚を見ると、そこにはシュトーレンがあるではないか。しかもたったの1つ。予約分ではない、店頭分。しかも残り1つ。

私だ。これは私が買うべきシュトーレンだ。

もう迷わない。私がお店にいる間に何人もがシュトーレンを求めてやってきたのも、私への啓示だ。「シュトーレン買うなら‥今でしょ‥!」‥買いました。シュトーレン1つ1800円。高いのね。値段すら知らなかった。

シュトーレンだけ、可愛いブルーの不織布の袋に入れてくれた。高まる。なんか私、昨日までの私とは違う気がする。だってシュトーレンを買ったのだもの。ドイツ人の習慣を取り入れようってんだから、こりゃもうオシャレでリア充に決まってる。そして、1週間寝かせた12月5日。シュトーレンを初めて切った。続く。

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