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島那三月
2019年3月31日 03:04
靴紐を固く結んで部屋を出た。ゆっくりと扉を閉めて鍵穴に鍵を差し込む。ドアノブを捻ってちゃんと閉まっていることを確認すると、階段を降りて鍵をポストの中に入れた。そのままキャリーケースを引いて歩き出す。途中、一度だけ振り返って、遠ざかるアパートの姿を写真に収めた。 電車に揺られながらぼんやりと外の景色を見つめる。春先の青空が、遠くに建ち並ぶ鉄塔を飲み込むようにして広がっていた。この街に越してきて
2019年3月16日 17:31
栄養ドリンクとチョコボールと履歴書が入ったレジ袋を持って、わたしはコンビニを後にした。ゆっくりと歩き出し、街灯も疎らな夜の道を歩く。袋を持つ手とは反対の手をパーカーのポケットに突っ込み、スマートフォンを取り出す。時刻は午後十一時二十二分だった。 大学四年生になって三ヶ月近くが経ち、周囲の学生たちは段々と内定を決める、もしくはインターンを始めるなどして、着々と自分たちの今後を見据えていた。そんな