最近の記事

解題「やまとけもの」-あるいは、とけものたちと

「見た通りに描きなさい」 学校の授業で、図工や美術の時間にこのように言われることは少なくない。 見えたものを絵画として紙に描き写す。有史以来の人間の願望だろうか。 私のような真面目すぎてひねくれた子どもにしてみれば、見た通りに描くことが「描く」ことかどうか、とても気になるところだ。 実際、三次元の空間に存在する物を、二次元である平面に表現しようとすることは、なかなか骨の折れる作業だ。 平面に「奥行き」は存在しない。空間には、ある。 奥行きをどのように表現するか。この解である

    • こどものためのアート&パフォーマンスカタログ

      「こどものためのアート&パフォーマンスカタログ」を作成しました!https://botamochidou.tumblr.com/post/739290190452015104/ 小学校入学前の子どもたちが、オモロイひとたちに出会える機会が増えたらいいな〜、というものです。 このnoteは、長い長い趣旨説明をストックしておくために公開しています。詳しい経緯や坂部の考えを読みたい方は、この先にお進みください。 ・・・以下、詳しく知りたい方向けの趣旨説明です・・・ このカタ

      • つなぎめ講座ヤタイ③就労支援リローデッド【アーカイブ】

        ご来場いただきありがとうございます。 アーカイブ視聴をご希望の方は、下記「続きを読む」からご購入ください。 配布資料のPDFと、動画リンクを利用できます。 生涯発達支援塾TANE 坂部認 お問い合わせ info@tanesprout.com

        有料
        2,000
        • 演技-新聞紙とこいのぼり

          鯉のぼりは空を泳ぐ。風にはためいて優雅にたなびく姿は、いくら眺めていても飽きない。やはり動きの面白さだ。風が吹いているあいだはいいが、風が止むと少し物悲しさが出たりもする。 似たものには凧がある。こちらは鯉のぼりよりは小さめで、人が操る必要がある。風の具合と操者次第で、いくらでも高くあがる。こちらは動くことよりも、人が操っていることの方に面白さがあって、落語の「初天神」では息子よりお父っつぁんの方が夢中になってしまうくらいだ。 現代で言うとドローンだろうか。人がコントローラー

        解題「やまとけもの」-あるいは、とけものたちと

          展示-書道/アート・ブレイキーの1枚目ってどんなんだったんだろう

           「アレだろ?ジャズってのは…」「ホラ…アレだ。和太鼓とか、青森の津軽三味線みてえなよ、」「なんかハゲしいやつだろ?」  ジャズをテーマにしたマンガ「BLUE GIANT」の中にこんなセリフがある。主人公が、自分が感じている「ジャズの魅力」を言い表せず、もどかしい思いをする中でバイト先の店長から何気なく出てきたセリフ。この言葉を聞いて、主人公は「近い!」と叫ぶ。  年末に、書道塾の展示をした。  技術を学ぶクラスではなく、参加する人が得意技と今日のテーマを持って集まってくる

          展示-書道/アート・ブレイキーの1枚目ってどんなんだったんだろう

          展示-歯を飾る、糸を紡ぐ

          歯が抜けた。 もちろん自分の話ではない。子どもの話だ。5才の子は、最近立て続けに、下の歯が2本抜けた。ちなみに僕は30歳で、ずいぶん前に全て永久歯に生え変わっている。 本人から歯が抜けたと聞いて、ずいぶん心が動いた。抜けそうなときはどうしたらよいのかと慌てたし、無事抜けたと聞いたときは安心した。 それ以上に、もうすぐ6年になるこの齢まで、この人は生き延びたのだということ。一つ屋根の下に寝ているが、しかし厳然たる別人である彼女が、ここまで命をつないできていることに、ふと烈し

          展示-歯を飾る、糸を紡ぐ

          TANEのコーディネーター講座①-文化と発達のつなぎめ-講座資料

          「つなぎめをまなぶ-TANEのコーディネーター講座-」 第1回 文化と発達のつなぎめ「からだであそぼ・感覚統合って?」 講座資料のPDFを販売いたします。 購入ご希望の方は、「記事を購入する」をクリックしてファイルをご確認ください。 第2回の詳細はこちら https://www.facebook.com/events/269724161068540/ 第2回のお申し込みはこちら https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScwmn1

          有料
          1,500

          TANEのコーディネーター講座①-文化と発達のつなぎめ-講座…

          地霊と構造のあいだに-身体知とSWの発酵-

           昨年の元日に、「茶ノミ、茶カハ」という言葉をテーマに掲げた。これは柳宗悦が民藝を語るキーワードとして挙げたもので、「茶室の中で行われる茶の湯だけがお茶だろうか、いや、田んぼの作業の合間にどんぶりで飲むお茶も、またお茶である」という意味。すなわち、専門職の間で、専門用語と知識・技術を駆使して行われるものがある一方、そうでない人々が何気なく嗜むものの中にも、魅力がある、ということだ。  教育や社会福祉、支援の現場では、専門性が問われる部分は大きくある。しかし、その対象とされる「

          地霊と構造のあいだに-身体知とSWの発酵-

          そーしゃるすなっくたね便り②-旅する「たね」とアセスメント

          徒歩で旅行するひとのことを、「とほダー」と言います。自転車は「チャリダー」で、一輪車なら「イチリンシャダー」でしょうか。これはもちろん、バイクで旅をする「ライダー」をもじってこう呼ばれています。 何を隠そう、僕もその「とほダー」でした。北海道を徒歩だけで旅行したことがあります。なにせ北海道は広いので、2日間ずっと山中の道を歩き続けたこともあります。宿で一緒になったバイク乗りから「とほダー」という言葉を教えてもらった時は、「とほほ」の「とほ」かと思いました。 とにかく、旅は人を

          そーしゃるすなっくたね便り②-旅する「たね」とアセスメント

          そーしゃるすなっくたね便り①-個別最適化された生涯発達の時代

          「生物」が好きな友人(スズキくん)がいます。「いきもの」が好きというよりは「生物学」が好きで、「イヌ」や「ネコ」よりは「コケ(苔)」の方が好き、というタイプです。今は生物の先生になって、それなのになぜか学校で化学を教えています。 スズキくんによると、動物が植物になったそうです。走るのが遅くて食べ物を捕まえるのが難しいひと(動物)が、「自分でエネルギーを作っちゃおう」と思い立って、光をエネルギーに変えられるひと(葉緑体)を味方につけたのが、植物だそうです。間違えているといけない

          そーしゃるすなっくたね便り①-個別最適化された生涯発達の時代

          で、サイン。あー!と。

          デザインとは、物事を整理することだ。 コミュニティデザイナーの山崎亮は、「デザイン(design)とは、記号的な美しさ(sign)を脱して(de)課題の本質をつかみ、解決すること(1)」と捉えている。 デザインは、キレイに絵を描いたり配置すること、と捉えられがちな側面もあるが、それは最後の「アウトプット」の部分でしかない。 発泡酒「極生」のパッケージ、「ふじようちえん」の園舎、ユニクロの店舗などのデザインを手がける佐藤可士和は、自身の仕事を紹介した本で次のように書いている(2

          有料
          500

          で、サイン。あー!と。

          長谷川三郎と計算機の祈り

          午前中、横浜美術館で「イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの(1)」を観る。科学が生活に入り込んできた時代。2人が交流の中でどのように時代を読み、作品を変化させてきたかを捉える。 長谷川三郎の作品は初めて見た。なんか、老師をモチーフにした作品のニワトリがカワイイ。しかも、変なコトをしている。木片をそのままスタンプとして押したり、墨でカンディンスキー(2)のような構成を試していたり。挙句の果てに、丸太をそのまま版木にして「幽」「玄」と掘る。 長谷川三郎はリサーチ

          有料
          500

          長谷川三郎と計算機の祈り