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そーしゃるすなっくたね便り①-個別最適化された生涯発達の時代

「生物」が好きな友人(スズキくん)がいます。「いきもの」が好きというよりは「生物学」が好きで、「イヌ」や「ネコ」よりは「コケ(苔)」の方が好き、というタイプです。今は生物の先生になって、それなのになぜか学校で化学を教えています。
スズキくんによると、動物が植物になったそうです。走るのが遅くて食べ物を捕まえるのが難しいひと(動物)が、「自分でエネルギーを作っちゃおう」と思い立って、光をエネルギーに変えられるひと(葉緑体)を味方につけたのが、植物だそうです。間違えているといけないので、詳しいことはスズキくんに聞いてください。

えーと、なんだっけ。「生涯発達」と「コーディネート」について書きます。

「発達=Development」の語源は、「de(ほどく)+velvo(包み)」で、「包みをほどく」「ベールを脱ぐ」からきていると言われています。「脱皮」とか「一皮むける」とか、そんなイメージです。
対して「成長=Growth」は、「生育」「増加」。背が伸びる、重くなる、数が増える、というイメージですね。発達のことを「質的」、成長のことを「量的」と言ったりもします。
植物で言うと、水があって、太陽の光を浴びてぐんぐん伸びる!と言うのは「成長」です。「発達」のイメージに近いのは「芽が出る」「花が咲く」です。今までの状態とは全く違う変化です。
さるかに合戦の「はーやく芽を出せ柿のたね、出さぬとハサミでちょん切るぞ」ってやつですね。この場合、おどして芽を出させようとしているので、あんまりいい例ではないかもしれないけど。

ちなみにスズキくんに教えてもらったのですが、芽が出る条件は「温度」「光」「水」だそうです。学校でも習ったのかもしれないけど忘れてました。カニのように脅かさなくても、適切な条件になったときに、たねは芽を出します。だから「発達」は「環境への適応」だと思ってください。ただし、植物の種類によって発芽の条件は違うので、それを見極める必要があります。
ひとの場合も、同じようなことが言えると思います(他生物と人間を比較してひとのあり方を論じるのは、あまりいいことではないとムツゴロウ先生も言っていたので、たとえ話と思って読んでくださいね)。

ひとには、そのひとの得意なことや苦手なことがあります。ほかの人と比べて「良い悪い」があるのではなく、その人の中に「得意不得意」があるのです。見るのは得意だけど聞くのは苦手とか、運動は得意だけど忘れ物はするとか
得意不得意は「できるできない」ではありません。適切な「見立て」と「方法」があれば、そのひとにあった方法で環境に「適応」することができます。目が悪いひとは、メガネをかけるとよく見えるようになります。
※「目が悪い(得意不得意の見立て)」「メガネをかける(方法)」「よく見える(適応)」です。
もう少し複雑な場合(障害の診断を受けたとか、病気があるとか)でも、考え方は一緒です。そして、適切な条件を整えて、「適応」のお手伝いをするのがコーディネーターです。日本語にすると「調整するひと」です。分かりやすい!

日本人の平均寿命は毎年伸びていて、平成29年時点で男の人は81歳、女の人は87歳です。今でも16人に1人は100歳まで生きていて、平均寿命はさらに伸びると言われています。
ひとの「生物としての成長」は、身長でいうとほとんど思春期まで、多く見積もっても20歳です。しかし脳には可塑性(変わる性質)があるので、「条件を整えながら、環境に適応する」という意味では、何歳になっても「発達」できるはずです。
僕は体育が苦手でしたが、25歳でタイ舞踊を踊れるようになりました。片付けが苦手でいつもカバンはごちゃごちゃでしたが、27歳で、手ぶらで旅行ができるほど整理が得意になりました。今は、「時間に遅れない」に挑戦中です。

人生100年時代、それぞれにあった「発達」で、困らず楽しく過ごしましょう。

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