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津軽百年食堂 地元で生きる

若い頃は色々な夢を追いかけても、知らぬうちに親とおんなじ職業につき、稼業を継ぐ。地元の顧客の皆様に愛されながら、安定した技を提案していく。頑固で気難しい職人肌の主人。垣間見せる優しさはみんなが応援したくなる魅力。

まさにそんな主人とたまたま出会った。そしてその頑固さに共感しつつ、また自分とは全く違う生き方と対峙した気分になった。

そしてその後に、たまたまこの映画に出会ったことに驚いた。

『津軽百年食堂』2011年公開日本映画。大森一樹監督。青柳佐美子脚本。森沢明夫 同名小説原作。主演オリエンタルラジオ。明治末期の青森県弘前市。日露戦争の高景気の傍らで荷車屋台から蕎麦屋を始めた初代店主を中田敦彦さん。2代目を地元劇団”弘演”を主催されていた秋山博子さん。3代目を伊武雅刀さん。4代目を藤森慎吾さんが演じる。過去と現在をクロスさせながら受け継がれる味や、親子の姿を描く。

津軽には創業百年の歴史を持つ、老舗食堂が点在し、その中で幾つかの店を取材され、小説にされたとのこと。

映画のロケ地でもあり、モデルの一つでもある弘前市の『三忠食堂』さんは、漫画『美味しんぼ』にも掲載された老舗蕎麦屋さん。映画では『大森食堂』の名前で撮影されている。

そのお店で提供されているのが、弘前の郷土料理である、”津軽そば”。麺のつなぎに大豆を使用し3日掛けて熟成、茹で置く独特のおそば。そして、出汁には”焼き干し”と言われる、頭と内蔵を取り除いたイワシの乾物を使用。手間暇掛けて作り出される逸品。

その”津軽そば”を受け継ぐ大森家の人々のお話。

初代を助ける友人や思いびとのこと、初代の思い出を胸に息子や孫を見守る婆ちゃん役は地元の女優さん。弘前の方言が強めでいい繋ぎ役をされている。

3代目は頑固な職人気質の親父。”宇宙戦艦ヤマト”のデスラーの渋い声そのままに、いい出汁を醸し出されている伊武さん。

4代目は小さい頃から蕎麦打ちを手伝い、店の味が大好きでありながらも、うだつの上がらない都会生活をしている息子。同じ弘前出身のカメラマン女子と知り合い、彼女の視点からも故郷を考えている。

なんと言っても、初代と4代目がオリエンタルラジオの2人の好演技。負けず嫌いの意地っ張り、頑張り屋なお2人が時代を超えて響き合っている感じがして素敵だった。

技を受け継ぎ、また自分の技術でアレンジしたりと、後世に伝えていく伝統のお味。現代に生きる私たちが、その技やお味を楽しむことが出来るのも、こうした伝統を愛し継承して下さる方があるからだと改めて思う。

いつか弘前に”津軽そば”を食べに行きたい!

職業や、伝統の継承であるか否かとは関係ない。生き方は違えど、自分が情熱を傾けることに一生懸命であるという点で、時空を超えて響き合って行きたいと思う私がいる。

さぁ、頑張らなきゃ。休暇は終わり。しばらくご無沙汰してしまった原稿に向き合おう❣️


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