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彼女がその名前を知らない鳥たち サオ地獄にいる乙女たちへ

愛なんて見えない。通り過ぎてからでしか気付けないこともある。これこそ誠だと信じてたのに何がが違う。そこにある愛になかなか気付けない。

『あんたは、男に会うと”サオ地獄”にハマる。男に注目されると、自分を忘れて、男の世界にすいこまれる…少なくとも、私はちゃんと自分を見てくれる人を探す。」

”サオ地獄”とは『ワタシが私を見つけるまで』2016年公開アメリカ映画で、主役のダコタ ジョンソンにその友達のレヴェル ウィルソンが言うセリフ。

恋をすると男に夢中になり、自分を見失う人のことを”サオ地獄”にハマると言うらしい。


そして『ホリデイ』2006年公開アメリカ映画では、ケイン ウィンストレットが同僚で恋人だと思っていた人が別の人と婚約したこと知り、失意のどん底に突き落とされるにも関わらず、頼られたり、会いに来られたりすると、心を揺すぶられてしまう。まさに”サオ地獄”に落ちていた。

どのようにして、抜け出すのかと思って興味深々で観ていた。何故って、”サオ地獄”に落ちたことあるもの…誰だってないのかなぁ⁈…一度や二度…いや癖は繰り返す…私はある確かに。

恋すると猿程度の知能になると言うが、”サオ地獄”は最悪だ。そもそもお互いに幸せなら地獄とは言わない。片側だけが落ちるから地獄なのだ。

くず男に惚れてしまう理由とは…”自分なんか”と自分で自分を低くみているから。”自分なんか”に付き合ってくれる相手の素晴らしさに、相手の不誠実な態度に目をつむり、相手を許してしまうから。”自分なんか”と思っていることに相手は気付いている。その隙を不誠実な男に付け込まれるのだ。都合の良い女の役割を押し付けられるのだ。

相手の不当な扱いに気付いているのに、心が傷付いているのに、優しい言葉一つで許してしまい、またクヨクヨ考える。いつか戻ってきてくれることを信じて。最悪の”サオ地獄”に何年もどっぷりハマり、人生を無駄にしている事にも目をつむる。自分は分かっている女だとか、相手にも事情があるのだとか、納得出来ていないことにも、納得しているフリをする。嘘つきな相手に見合う女である為に…

抜け出し方。

①環境を変える。(映画では休暇の間、家交換をしていた。)
②相手の不誠実な態度を数えて、真実を見極める。本当に大事な人にしないことをされていないか⁈不当に扱ってきた人とはキッパリ別れる。
③楽しみを見つける
④自分自身に立ち返る。1人で立つ。”自分なんか”と思わない。自分の価値を見出す。
⑤自分自身を見てくれる対等な相手と新しい恋をする。

そして”サオ地獄”に落ちている主人公の物語。『彼女がその名前を知らない鳥たち』2017年公開日本映画。白石和彌監督。沼田まほかる原作。蒼井優さん、阿部サダヲさん主役。

下品で汚らしいと男を嫌いながら、養ってもらい、自分は働かず、心は随分前に別れた男を思い、体は若い男と情事を繰り返す女。自分を都合よく扱う男ばかりに惚れる女。見た目が良くスマートで頭が良い。そんな男に優しくされることで、自分が素敵な女になったかのような幻想を抱く女。彼女はそのまんま”サオ地獄”の住人だ。

彼女の場合は、自分で何一つ解決出来ない。きっと、それは最高の愛を与えられたとしても…

それとも、今後、環境が変わり、楽しみをみつけ、自分の足で立ち、自分のことを省みて、自分を都合良く扱わない人と出会うことが出来るのだろうか?! 

”サオ地獄”の依存度が高い女。

阿部サダヲさん演じる汚らしい男は私も嫌だった。なんでこんな男に養ってもらってるんだ。嫌なら別れれば良いのに。嫌われて、態度も悪い女にお小遣いまであげて優しくしている男も気持ち悪かった。最悪の2人。ところが、蓋を開けてみれば…大どんでん返しが…

それは映画を観てのお楽しみ。ここにあげた3本の映画の中で『彼女が…』が1番考えさせられた映画。自分の足元を見直した映画。

そして、

”サオ地獄”にハマっている乙女たち!いい恋をしよう!自分を大切に扱おう!男の不誠実に目を伏せてはダメ!私たちにはお互いが幸せになれるベストパートナーがきっといる!


世の中には、遊びたい男女がいる。お互いのニーズが合えばそれで良い。だけど、そうでない場合、片方には重すぎる愛が面倒だし、片方は都合のいいだけの役割に思い悩んでしまうもの。お互いに思い合っても許されない関係ということも…だけど、お互いに本気ならお互いに嫌なことは絶対にしない。お互いを大事にする。片側だけに悲しい思いはさせない。みんながみんな2人ともハッピーになれる関係ならいいけれど…せめて不誠実な相手にもてあそばれないように、自分を大事にしよう。”自分なんか”なんて、言わない。

”サオ地獄”よサヨナラ!


「もうこの歳だし…」「時間がないから…」「お金がないから…」「もう少し可愛かったら…」「…」etc。みんな『私なんて…』の自己肯定感の低さの表れ。知らずに自分を低く見積もってないだろうか⁈

現実離れした夢を観て、足元の幸せにも気付かずにいるのではないだろうか⁈





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