【家計管理】リタイア家計の『エンタメ係数』は何%が適正か?
『エンタメ係数』とは
『エンタメ係数』とは、家計消費支出に占めるエンタメ費の割合で定義される家計管理の指標である。
エンタメ係数 = エンタメ費/家計消費支出✖100%
限られた資金を有効活用して満足感を高めるには、『エンタメ係数』は大事な指標となり得る。
特に、人生の『白秋』期を過ごしているリタイア世代にとっては、QOL (Quality of Life) を高める上で、『エンタメ係数』を一定比率以上に保てるように家計管理することが重要であると考えられる。
『エンタメ係数』については、別記事でも詳しく書いている。
この記事では、『エンタメ係数』を『白秋』期における家計管理のKPI (key performance indicator) と定めたとき、具体的な目標値として、何%が適正かについて考えてみる。
家計調査ではどうなってる?
まず、現状、世間一般の家計において『エンタメ係数』はどのような値になっているのだろうか。
こういうときに役に立つのが、総務省統計局の家計調査だ。
家計調査は、下記にあるように、我が国の政策決定や研究など様々に活用されている基礎資料である。
早速データを見てみよう。ここでは、最新の2023年の結果を使用する。
総世帯の平均値
まず、総世帯の平均値である。
資料では、総世帯の平均値と、その内訳である二人以上の世帯と単身世帯の平均値がそれぞれ示されている。総世帯の平均値とは、勤労者のいる現役世帯もリタイア世帯も全てひっくるめた日本全体の家計傾向を表す値である。
エンタメ係数=エンタメ費/家計消費支出✖100%
の定義に従って、それぞれのカテゴリーの『エンタメ係数』を計算してみよう。なお、ここでは便宜上、教養娯楽費をエンタメ費として取り扱う。
総世帯:25,945円/247,322円=10.5%
二人以上の世帯:29,765円/293,997円=10.1%
単身世帯:19,425円/167,620円=11.6%
『エンタメ係数』の総世帯の平均値は10.5%であることがわかる。
単身世帯の方がやや高めの値を示しているが、これは近年流行している押し活の影響なのであろうか笑?
リタイア世帯の平均値
次に、リタイア世帯の平均値を見てみる。
資料では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯と65歳以上の単身無職世帯に分けて、平均値が記載されている。無職世帯とは、リタイア世帯を意味していると考えられる。
同じように、それぞれのカテゴリーの『エンタメ係数』を計算すると、以下のようになる。
夫婦のみの無職世帯:24,690円/250,959円=9.8%
単身無職世帯:15,277円/145,430円=10.5%
リタイア世帯の『エンタメ係数』の平均値は約10%で、現役世帯を含んだ総世帯の平均値と、ほぼ同等の値となっている。
現役世帯と比べて、収入が少なく子育て費用等も必要ないリタイア世帯の『エンタメ係数』の値が、総世帯の平均値と変わらないのは、意外な結果である。
収入に関係なく、『エンタメ係数』が一定の値に収束するような要因が何かあるのだろうか?
目標値を何%に設定すべきか?
家計調査で確認した『エンタメ係数』の値は、総世帯で見てもリタイア世帯で見ても、はぼ変わらず10%程度であった。
したがって、10%という値が『エンタメ係数』の最低ラインと考えられる。『白秋』期を充実したものとするためには、当然、これ以上の目標設定が必要だろう。
何の根拠もないが、ここでは、わかりやすく2倍して下記を目標値としたい。
『エンタメ係数』 ≧ 20%
翻って、自分の現状はどうかという話になるが、マネーフォワードMEでつけた2023年トータルの実績で計算すると、
『エンタメ係数』 = 13.5%
であった。
意識してエンタメ費を使うようにしていたが、まだ足りていないようである。
最後に
本記事では、家計管理のKPI (key performance indicator) として『エンタメ係数』を取り上げた。
リタイア世帯の家計管理では、収入も限られるため、無駄な出費を削り適正な支出水準に保つことが重要である。
しかし、同時に、QOL (Quality of Life) を高めるためには、一見、無駄に見えるかもしれない出費(エンタメ費)を意識的に増やす必要があるのだ。
これは、相矛盾する行為かもしれない。
しかし、お金は墓場までは持っていけないのだから、リタイア世帯の家計管理は、節約一辺倒にならないように、慎重かつ大胆に取り組みたいものだ。
※本記事は、お金に関する個人の見解を綴ったものであり、特定の手法や商品などを勧誘するものではありません。お金の管理は自己責任でお願いします。
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